あらすじ
日本の長期停滞の原因は日本経済に急ブレーキをかけてきた日本銀行にある。しかし現行の日銀法では、政策が明らかに失敗であっても日銀総裁は責任を取らなくていい。首相ですら日銀総裁をクビにはできない。そのうえ、総裁の年収は3492万円。まさに「貴族」という言葉に相応しい特権階級ではないか。日銀総裁を始めとする「日銀貴族」たちの“トンデモ発言”を吟味し、日本の未来にとって何が必要なのかを具体的に考える。【光文社新書】
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Posted by ブクログ
上念司氏の日銀批判本。
日銀を批判しているところは基本的に他の著作とほぼ被るので、それほど目新しさはないが、なぜ日銀がこれほどまでにデフレ下でインフレ対策をするのかに迫っているくだりなどは面白い視点であり、純粋に読み応えがあった。
白川前総裁を「白川法皇」と名付けたり、タイトルにもあるように「日銀貴族」としてコケにするあたりはやり過ぎ感もあるが、日銀の過度の独立性によって言いたい放題、でもデフレ脱却はしませんというスタンスを、下部組織である日銀に対して政府も突き崩せない状況を端的に表しているという意味ではありなのかなとも思う。
ついでに、今後出す本の中でも良いので、白川前総裁が退任し、安倍首相の意向に沿った政策を推し進めてくれるであろう黒田新総裁になったとたんに手のひらを返すようになびいている日銀審議委員についても書いてくれると、さぞかし面白いのではと変な期待をしてしまう。
Posted by ブクログ
「官僚はデフォで神」という言葉、ショッキングではありましたが、そう考えると世の中おかしい!訳が分かってもきます。偏差値の高い人が敬われ、そういう人たちの考えだけで成り立ってきた国家の病を解説した本。
金融政策の失敗に対し、日銀がとった態度;通貨を発行してもデフレ解消は無理⇒でも、欧米は通貨発行で解消済み⇒生産性への地道な取り組みが必要⇒だから、日銀は責任をとらなくていい、なんてどこまでいっても言い逃ればかりは、官僚を身近に持ち、育った私から見ても「うん、うん」とうなづける内容。
日本経済の脱却への道のり;日銀が硬貨を30兆円⇒政府が一万円札30億枚に両替⇒20万円/年の定額給付をマイルドな(=3~4%)インフレになるまで続けること