【感想・ネタバレ】1秒で答えをつくる力―――お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年07月07日

欲しい答えをあげられる人になるために
1.想定は超えるが、理解はできる。「常識」という確かな土台。
2.自分の力を発揮できそうなところに集中する。1回の短い時間で自分を印象付ける。
3.まずは自分に求められていることに集中
4.反応、返答、考える
5.常にどうしてなんで、で論理的に考えることで調子の...続きを読む波が減る
6.常に自分の話を整理し、それを素早く表現する速さ
7.すべることを恐れない
8.やることを一つ決める。やらないことを決める。
9.テーマを一言でまとめる
10.専門性を高める準備と平均値を上げる準備

◎まずは相手の想定は何か、それを超えることは何かを想像する癖をつける。逆の発想、違う視点からの見方、色々。
◎いろんな先生の授業のマネ、言葉がけのマネをしてるなーってちょっと罪悪感を感じることもあったけど話し手が私に代わってる時点でオリジナルになってるからいいか。いまはたくさん学ぶ時期だと思う。ありがたや。
◎つまり抽象化。前田さんの抽象化ゲームを思い出す
◎「これなら話せるぞ」っていうネタ作り。引き出しを増やす。その引き出しになることをkeepに記録していく。

1
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月28日

理由はシンプルで、テレビでのネタ披露を想定すると、お笑い芸人は1秒で「おもしろそう」と思わせなければ、見ている人にチャンネルを変えられてしまうからです。
お笑い芸人であればわずかな時間でも自分の特徴や強みを相手に知ってもらわなければいけません。 ですから、いつ、どんな形でチャンスが訪れてもいいように...続きを読むお笑い芸人は常に頭を働かせているのです。山里くんの話は本編にも出てきますが、彼は頭の良さに加えて、「周到な準備」と「行動力」、そしてなにより「粘り強さ」を持っていました。

一度、舞台を降りれば、そこにいるのはテレビ局のスタッフや事務所のマネジャーなど有名大学を出て有名企業に勤めているような大人ばかりがいる世界ですから、人として非常識な人には仕事は回ってきません。 

「反抗的な態度を見せたらどう対処しよう」と不安に思っていると、川島くんは「はい」と素直にチェーンを外したのです。その後も話をするときは完璧な敬語とまではいかないまでも「業界の先輩」としてきちんと私を立てて丁寧に話をしてくれます。 「いかつい」外見とは裏腹に川島くんは実に常識人です。それが先輩芸人からも好かれる大きな理由なのでしょう。

大事なことは「常識を土台にして非常識をつくる」ということです。 さて、漫才やコントのボケで笑いが起こるのは、なぜでしょうか。 簡単に言うと、観ている人の想定を超えた意外なワードやフレーズが出てくるからです。 ですが、この「想定を超える」というのにはポイントがあります。それは、「想定は超えるが、理解はできる」範囲にとどめることです。渾身のボケで笑ってもらえるかどうかは、このポイントを押さえているかどうかで決まります。どんなに気の利いたことを言っても相手に伝わらなければ、意味不明な無駄口になるだけです。ここを見誤らないでください。

このように、ボケと呼ばれる非常識に聞こえる発言について考えてみると、実は破天荒な発言が受け入れられるわけではなく、「常識」というたしかな土台があってはじめて相手に伝わる言葉であることがよくわかります。 これは、ボケに限ったことではありません。人の心に刺さることを言えたり、気の利いたことが言えるのも同じ原理です。相手の想定を超えつつ、それが相手の理解の範疇だからこそ、「すごいね」と思われるわけです。
ですから、ここで紹介した、朝の挨拶が「おはよう」なように、普段の会話においても、常識をひとつでも多く知っていると、それだけ非常識、言い換えれば、人の想像を超えつつ、理解もされることが言えるチャンスは多くなります。

腕時計→気軽に時間を計るもの→腕にこだわらなくてもいいもの ペットボトル→水を飲むためのもの→水がなくなったらゴミになってしまうもの スマートフォン→電話するためのもの→直接人と会う機会を減らしてしまうもの そのモノの役割が終わったあとのことやそのものが役割以外に影響を与えていることなどを考えてみるのがコツです。少し難しいかもしれませんが、焦らず考えてみましょう。

ですが、まったく興味のなかったことのなかにこそ、これまでの自分にはなかった考え方や知識が落ちていることが多々あります。 頭の回転の速さはほとんどの場合、情報量に比例します。なぜなら、どんなに頭の回転が速くても頭の引き出しに情報が入っていなければ何も出てこないからです。

「模倣」=「真似」と考えていいでしょう。 最初から特別なものをつくるのはよほどの天才でもない限りかなり難しいことです。 それにもかかわらず、多くのお笑い芸人志望者が最初から「特別」を求めて、自分だけの答えを得ようとしてしまいます。目立ってなんぼのお笑いの世界ですから、焦る気持ちはわかるのですが、はっきり言うと、それは間違いです。 なぜなら、どんなオリジナリティも多くの経験を積んだ先に結果として得ることができるものだからです。

そのオリジナルになるために経験を積む行為が「真似」だと私は考えています。矛盾していると思うかもしれませんが、むしろ、真似をした数で、オリジナルになれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。

なぜかと考えてみたところ、そういった生徒は、憧れの人の真似をすることで、お笑いのコツを掴むまでにあまり時間を必要としなかったのです。その生徒は失敗も含めて、真似によって得られることが非常に多く、他の生徒を置き去りにしてどんどん経験を積んでいきました。 加えて、興味深かったのが、真似をしていたはずの生徒が、経験を積んでいくうちに徐々にダウンタウンの型を崩して自分たちのやりやすい型に変化をさせていったことです。 最終的にはダウンタウンを目指していたとは思えないオリジナルネタを披露するようになっていきました。講師として「芸は模倣から」を目の前で感じることができた瞬間です。 もうお気づきの通り、真似には2つの利点があります。 利点1 成長速度が上がる。 利点2 真似をしたものは自分のやりやすいように自然と変化し、結果としてオリジナルなものになる。

仕事でも私生活でもこの人を真似すると決めたら一度、全部真似をしてみましょう。その人が企画をつくるのが上手だったら、企画書の構成をそのまま真似してみたり、話し方がうまいのであれば、口調を真似るのも効果的です。 一度、その人になりきって、自分のなかに情報をインストールすることによって、一時的に自分にはない思考を借りることができます。 そのうえで、その人だったら自分の企画はどのように考えるか、自分の話はどのように話すかなど、その人のことを考えながら、どこがポイントになっているのか考えてみましょう。

コントづくりを例にしましたが、ビジネスでも同じです。以下に、5ステップをビジネス用に言い換えたものを掲載しますので参考にしてみてください。

「とりあえず、あとで……」とならないためにも、少しずつ前に進むクセをつけていきましょう。

お笑い芸人たちは、その場で瞬間的にエピソードを考えているわけではなく、話の流れを見ながら、自分が活躍できそうな話に参加しているのです。そのため、自分には合わないトークテーマのときはアピールを控えめにして、代わりに、自分に合うトークテーマのときに100%の力を発揮できるよう「準備の時間」に当てています。 トーク番組のような目に見えて大きな機会であればあるほど、つい前のめりになってしまい、すべてのチャンスをものにしようと考えてしまいますが、はっきり言って間違いです。できれば言うことはないのですが、まず無理です。 ここで大事なことは、自分の力を発揮できそうなところに集中することですNSCの生徒にも教えていることですが、ダラダラと長く話すよりも、1回の短い時間で自分を印象付ける方がインパクトがあります。,,
5分のアピール時間があったら、一言(一瞬)他人の記憶に残ることができればそれだけで大丈夫です。それ以外は、「自分の活躍できそうな話か」「話せるならどんなことを言えそうか」など準備の時間だと割り切って自分のペースで考えるようにしましょう。

「自分のペースで考える」と連動していることですが、失敗を重ねる人、失敗を続ける人は、焦って、同時に多くのことをこなそうとし、結局ひとつもこなせていないことが多いように感じています。
実際に、あれもこれもやろうとなっている生徒に、「君ら焦らんでも大丈夫や」と言ったことが何度かあります。 前のめりになることは悪いことではありませんが、なんでもかんでも欲張りに考えてしまうと、かえって自分の良さや強みが消えてしまうこともあるので要注意です。
私の仕事をこの3つに当てはめると次のようになります。 1.やること:番組Aの企画を書く 2.どの時間に取り組むか:午前10〜12時 3.求められていること:芸人〇〇でオチをつけつつ、若手の見せ場をつくる
その際のポイントは、時間の「解像度」を上げることです。ひとつの仕事を「今日中」と区切るのか、「業務時間中の7時間」と考えるのか、小さく見えるこの差は非常に大きいと感じます。 ざっくり考える人の仕事はその分、質も粗くなります。「今日中」ではなんとなくしか人は動けません。小さな差ですが、影響は大きいので、意識するようにしましょう。

求められていること 仕事の依頼内容とは別に「なぜ、その仕事が自分のところにきたのか」考えるようにしましょう。 時間が少ないなかで、最高の仕事をするためには、無駄なことを削らなければなりません。それこそ、あれもこれもとならないように、自分が必要とされた理由を明確にしましょう。 つい張り切って、「こうした方が相手は喜ぶのではないか」といろいろ足していきたくなる気持ちはわかりますが、まずは自分に求められていることだけに集中です。

当時の私のように言葉に詰まってしまうということは漫才師にはありません。なぜなら、黙るということは仕事をしていないことと同じになってしまうからです。 そのため、彼ら彼女らは、沈黙の時間をつくることのないように訓練をし、たとえ的外れでもまずは反応できるよう強く意識しています。 過去の私がそうであったように言葉に詰まってしまう人の多くは、1回で正解を出そうとしてしまいがちです。「どうしたらいい?」という質問に対して1発で最もいい答えを返そうと無意識にしてしまいます。 ですが、先ほどのような状況で大事なことは、すぐに答えを出すことではなく、会話を続けることです。
先ほどのような、自分が答えなければいけない会話における返答のプロセスは、 「反応する→考える→返答する」のように思われますが、そうではありません。 「反応する→返答する→考える」が実は最もいいプロセスです。 まずは、反応、返答をして、相手との会話をスムーズにはじめ、「なにが悩みなのか」「どんな解決策があるのか」会話のなかで正解を探していくようにしましょう。
大事なことは、自分が笑っているかどうかではなく、笑っていることが相手に伝わることです。表情で損をしないように意識しましょう。

どちらでも構いませんが、こういった「好き嫌い」のような感情的な判断の「要因・原因」を知るのは非常に大切なことです。
売れている若手芸人となかなか芽が出ない若手芸人の差は、この要因・原因を考え抜く力にあります。舞台でしっかりと結果を残す若手芸人は、自分たちのネタがウケた場合もウケなかった場合も、その理由がなぜなのかを徹底的に追求することが習慣になっています。そうです。分析できるのです。 要因・原因を論理的に考えることができると芸に再現性が出てきて、どんな場面でも、調子の波が少なく、常に力を発揮することができます。なぜなら、「どうして、自分たちのネタがウケたのか、もしくはスベったのか」の理由がわかるので、成功はそのままに失敗の修正ができるからです。 論理的に分析ができていないと、仮に笑いが取れたときも、「たまたま調子が良かったから」と運任せで終わってしまいます。

トレードマークの人気芸人です。彼はすぐには理解できないようなハチャメチャなネタをすることで有名で、世間一般では行き当たりばったりの破天荒な芸をしていると思われがちです。 しかし、実際は誰よりも論理派であり、舞台裏で徹底的に考え抜くタイプであるのは有名な話です。彼が生徒だった頃も意味不明なネタがほとんどでしたが、ネタの理由を聞くと、ちゃんと自分の世界「天竺ワールド」を持っていました。行き当たりばったりではなく「飛んだネタでも、どこまで理解してもらえるのか」のボーダーラインを知るためにネタをしていました。 つまり、講師である私はボーダーラインを知るための実験台にされていたのです。ひたすら「考えること」を続ける川原くんだからこそ今や人気芸人のひとりになれたのでしょう。 私自身も、駆け出しの頃は、分析が甘く、なんとなくおもしろそうだからと場当たり的にネタを考えていたことがありました。そのため、仕事のクオリティに波があり、安定感を出すのに苦労しました。 そのことに気がついてからは、調子の波をなくすために多くの漫才師のネタをビデオやカセットに録音してひたすら分析をして、「笑いのパターン」を覚えました。大変でしたが、お笑いで飯を食っていく「プロの仕事」だと自分に言い聞かせました。

好きなことや苦手なものの分析には、自分を知るヒントがたくさん詰まっています。自分の強みや好みがどこにあるのか論理的に理解するためにもひとつずつ実践していきましょう。 仕事とも日常とも違うことをするためには、半ば強制的に考えることもときには必要だと思います。それが「いい気分転換」になることもありますし、皆さんが自分のストロングポイントやウイークポイントに気がつくきっかけにもなるかもしれません。 まず、はじめてみましょう!

どのように捉えるかは人それぞれでしょうが、私には「いつも貪欲で、上には上がいる、自分が正しいと思うな」と読めました。成功してもさらに高みを目指そうとする彼の情熱が強く感じられる言葉です。 ですが、常に貪欲であるというのは意外と難しいものです。慣れてくると人はうぬぼれる生き物ですし、それは自然なことだと思います。しかし、それをそのまま放っておくと人の成長は停滞、もしかしたら後退するかもしれません。

でしょう。 ですが、成功パターンを見つけること以上に「変化に敏感である、次の成功やステップアップを目指す」のは大切です。 そこで、私がNSCの生徒に教えていることが、「固定観念を捨てなさい」、言うなればアホになってみなさいということです。 見たものをそのまま解釈するのではなく、あえてアホになることで、新しい発見を見つけることが狙いです。言い換えると「アホ思考」でしょうか。

視点を変えることができればアホの疑問が別の正解を導き出してくれることがあります。 このように「ハサミ=切れる」ということがときに私たちの思考を停止させてしまうことがあるわけです。

ですから、自分の考えていることを相手に正確に伝えるためには「具体的なイメージ」と「正確に伝える表現力」の2つが重要になるわけです。 この2つの条件を同時に満たす方法が「口に出して(言葉にして)考える」ことです。

言葉にすることで、頭のなかで考えていることが整理できます。それまで、なんとなく考えていたことも口に出したときから言葉として頭の外に出てくるので、「言語化」処理がなされ、矛盾や違和感に気づくことができます。

実践トレーニング「誰が」「どこで」「どんなことを」を意識する 口に出して考えるときのステップは、3つあります。それは「誰が(誰と・誰に)」「どこで」「どんなことをするのか」を意識しながら口に出すことです。この3つを意識すると自分の考えていることに具体性が出てきます。順番に見ていきましょう。

常々思うのですが、日本人は真面目すぎると思います。それ自体は優れた長所ではあるのですが、そのことが足枷になっている場合があると思うということです。 たまに、若手芸人のなかで抜群の実績を残しているのにもかかわらず、「まだまだです」と答える生徒がいます。すごくいいことです。うぬぼれて自らを見失うことなく成長に貪欲であることは非常に大事なことです。 ですが、一方で、もう少し自らのことを評価してもいいのではないかと思います。自分に厳しすぎるとかえって自らの可能性を狭めてしまうことがあります。 それだと結果として、うぬぼれて自分を見失うことと同じだと私は思うのです。ですから、皆さんも反省するのと同時に、できたこともしっかりと意識してみてほしいと思います。

ですが、お笑いに正解はないわけですから、反省ばかりしても仕方ないのです。私は講師ですが、これまでも私のアドバイスと逆のことをして売れた芸人は何人もいます。ですから、「できた」と思うことは胸を張っていいと思います。 人生はもっとそうだと思います。正解なんてありません。皆さんの進路や決断に周りの人はいろいろ言いますが、あくまでそれはアドバイスですから、決めるのは皆さん自身です。 もちろん、人の意見に耳を傾けるのは大事ですが、自分のことを自分でも評価して前に進んでいくことも必要です。


シンプルですが、「できなかったこと」と合わせて「できたこと」を意識することで、自分の強みも自覚できます。それさえわかれば、強みを伸ばすのもいいですし、弱みを修正していくこともできます。 漠然と「もっと良くしていかなければ」と考えているだけだと、気持ちも続かないので、自分のモチベーションを高く保つためにも実践していきましょう。私も反省をしているだけだと気持ちが続きません。 受験勉強や部活動などを頑張るお子さんがいらっしゃる方はお子さんと話すときも同じことをしてみてください。 反省しつつもモチベーションを保つことができるのでおすすめです。 小さな成功体験の積み重ねがないと大きな成功へと繋がってはいきません。 MLBとNPBで4000本以上のヒットを打ち続けたイチロー選手も「すべては1本1本の積み重ね」と話していましたが、これはどの職業にも当てはまることだと思います。 焦ることなく粘り強くやっていきましょう。
ですから、頭の回転を速くすることのなかには「タイミングを読む力」も含まれているということを覚えていただきたいと思います。 そのタイミングを読むための方法が「頭をアイドリング状態にしておく」というものです。皆さんが毎日のように目にするお笑い芸人のほぼ全員がこのスキルを身につけています。
芸人たちの頭の回転の速さは「ゼロから考える速さ」だけでなく「すでに準備していたことを素早く表現する速さ」も含まれています。 これまで考えていたことを頭の引き出しから素早く取り出し、適切な場面で表現するのは状況判断をはじめ頭の回転が速くなければできません。 つまり、トーク番組などでの彼らの頭のメカニズムを説明すると、 「考えはじめる→思いつく→発言する」のではなく、頭をアイドリング状態にしておくことで「どの話をするか決める→発言する」の2つで思考が完結するようになっています。 1秒以内で実行するために行動をシンプルにすることで、タイミングを逃さずに、おもしろい答えを出すことができています。 もうおわかりの通り、大事なことは、「チャンスかも?」とゼロから考えはじめるのではなく、常に自分の話を整理し、それを披露できそうなタイミングを探し続けること


話を聞くときには、必ず頭のなかで「はい」と返事をするようにしましょう。「はい」は一例ですので、「うん」や「そうそう」など皆さんのやりやすい言葉でも大丈夫です。 バカらしく思えるかもしれませんが、効果は抜群です。返事は不思議なもので、反応するだけで、意識がそちらに向かいます。 また、「はい」という返事は、自分が納得できることにしか言えません。違うと思ったものには、無意識でも人は「はい」とは言えず、「あれ?」と疑問を抱きます。 ですから、「はい」をセンサーにしておくと違和感や気になった箇所には「あれ?」と自然と頭が反応できるようになります。

チャンスを見極めるために必要なことは、自分にできることを知ることが大切です。なぜなら「チャンスだ!」と思って飛びついてみたら自分の苦手なことだったという場合があり、結果として損をしてしまうからです。

つまり、自分にとって馴染みがあるジャンルや仕事でも「できること」と「できない」ことは意外とはっきりわかれており、どこまでが自分の守備範囲か正確に知っておく必要があるのです。 そのことがわからないと結局は損をする、「チャンスを逃す」ことになってしまいます。 ですから、「チャンスに反応する力」と同様に「チャンスを見極める力」も非常に重要なのです。

チャンスを見極めるためには、自分にできることを3段階で判断するのが良い手です。 具体的に言うと「絶対にできる」「多分できる」「頑張ればできる」の3段階で自分にできることかどうか判断してみましょう。もしどれにも当てはまらないようであれば、自分の守備範囲外なので、基本的にスルーして大丈夫です。

頭の切り替えと頭の回転の速さは密接な関係にあると私は思っています。なぜかというと、頭の切り替えが遅いと、その分、反応も鈍るからです。私の感覚だと切り替えが遅い人はどんなことにも2〜3テンポほど遅れてしまう印象です。 ですから、頭の回転を上げるために、失敗してもしっかりと切り替えのできる頭をつくっていきましょう。

それでも彼は、「自分のために」飛ばないことを貫きました。これは素晴らしいことです。 「バンジージャンプを怖くて飛べなかった濱家くん」と「バンジージャンプを頑として飛ばなかった濱家くん」では、結果は同じでも感じ方はまったく違うのではないでしょうか。 ネガティブもポジティブも紙一重です。訓練をすればネガティブ思考に縛られず、切り替えができる頭をつくることができます。

ひとつミスしたからといって、仕事に向いていないわけではないですし、ましてや人格を否定する必要はありません。 ミスが起きたら「確認を怠った」「時間の管理ができなかった」とミスの原因となった事実だけに向き合うようにしましょう。感情的になることはダメではありませんが、必要以上にミスを引きずってしまう原因になってしまうので要注意です。
ネガティブなことをそのまま「終わり」と済ませるのではなく、次のきっかけのスタートラインとして捉えてみましょう。 失敗を俯瞰して、「これは未来に向けて必要なプロセスだった」と言ってみるのもいいでしょう。ポイントはその瞬間だけを見るのではなく、これから先のことも踏まえて、長い時間のなかでその事柄を見てみることです。

「人生にリセットボタンはないけれど、スタートボタンは何度でも押せる」私はこの言葉にいつも勇気づけられています。いつまでもくよくよするのはやめてスタートボタンを押しましょう。


どんなに優秀な人でも「一度も失敗をしたことがない!」という人は存在しないでしょう。 仮に失敗しても次のステップで成功すれば、その失敗は「経験」に変わっていくはずです。

アドバイスや助言をもらえる瞬間があったとしたら「ふむふむ」「なるほど」と思うだけでなく、「それであれば、こうしてみるか」と次のことを想像しながら話を聞いてみましょう。「そんなことを私はしない」と自分はアドバイスを聞き入れないと決意するのもまた正解です。大事なことはアドバイスを聞いたあとの自分のアクションを決めることです。 アドバイスを聞いて終わりの人と実行する人の思考の違いを比べてみると次の通りです。 アドバイスを聞くことで終わってしまう人 ・聞く→納得する→次の機会に備える

アドバイスを実行まで繋げられる人 ・聞く→できることを考える→実行のハードルを検討する→気になることは質問する→試せそうなときを考える

「本を読むとき」「講演を聞くとき」など、「いいことが書いてあるかな?」「役に立つことを言ってくれるかな?」という受け身の姿勢でいるのではなく、自分に役立つことを「読み取ろう」「聞き取ろう」と攻めの姿勢を持つようにしましょう。

「人生にリセットボタンはないけれど、スタートボタンは何度でも押せる」私はこの言葉にいつも勇気づけられています。いつまでもくよくよするのはやめてスタートボタンを押しましょう。

彼ら彼女らがこちらの思うようなことを先回りして行動できる理由は状況を「予測」しているからに他なりません。

予測は必ず「観察」からはじまります。相手の様子や性格、その場の雰囲気など、状況を把握してはじめて予測を立てる準備が整います。 観察が完了したらそのあとに起こりそうなことを2〜3つ想定します。「そんなに?」と思うかもしれませんが、特殊なことを考える必要はありません。 たとえば、飲み会だったら、「あの人、飲むペース速いからグラスそろそろ空きそうだな」や「さっきから時計見ているから終電近いのかな」のようなシンプルなもので構いません。 この2つができてはじめて予測ができている状態の完成です。

私の教え子のなかでも予測する能力が高いと思うのがナインティナインの矢部くんです。彼は今もそうですが、相方である岡村くんがしそうなことを3手先くらいまで予測しているように思います。実際にはじめてナインティナインがいるクラスを担当したときのことです。 最初の授業は「自己紹介」でした。挙手制で「我こそは!」と次々と生徒たちが自己紹介をしていくなか、終了時間が近くなり「最後のひとり」で大勢のなかから「君!」と私が指名したのが偶然にもナインティナインの矢部くんでした。 立ち上がって、矢部くんが話しはじめるその瞬間、離れたところから背の低いやせた子が突然立ち上がり「岡村隆史です!」と自己紹介をはじめました。 「お前ちゃうやろ! 俺の番やろ!」と矢部くんがツッコむと、「かまへんやないか!」と岡村くんが返し、教室の空気は一瞬で彼らのものになりました。 矢部くんを指名したのは偶然でしたが、のちに岡村くんに話を聞くと「矢部が指名されたら割って入ろうと決めてました。矢部にも言っていません」ということでした。 つまり、岡村くんのアドリブに矢部くんが見事なアドリブで対応した形になります。 冷静に相方や教室内を観察していたからこそできた秀逸なツッコミです。

営業職であればお客さんの要望を先読みしたりできますし、世の中のトレンドを読まなければいけないマーケティング職の人には必須の能力でしょう。

これは機転の利いた返しや、当意即妙な受け答えができるようになる練習にもなりますからぜひ挑戦してください。 「1、3、9の法則」ということを私の授業では教えています。 「1、3、9」とは「1フリ、3ボケ、9ツッコミ」というものです。 ひとつのフリに対して、3つのボケを考えて、ボケひとつひとつに3つずつ(合計9つ)のツッコミを考えてみる」というものです。

続けていくうちにフリを見ただけで、「こんなボケが来そうだな」と先が読めるようになってきます。 これは会話のなかでも同じです。相手の性格や状況を鑑みて、どんなことを相手が言いそうか考えてみましょう。粘り強く続ければ必ず力が身につきます。 ちなみに、私は40

皆さんの気持ちひとつで、立派な学習教材にもなるのです。大切なのは「意識を変えること」です。 意識が変われば街中が皆さんの「勉強机」にもなります。

営業職であればお客さんの要望を先読みしたりできますし、世の中のトレンドを読まなければいけないマーケティング職の人には必須の能力でしょう。

皆さんの気持ちひとつで、立派な学習教材にもなるのです。大切なのは「意識を変えること」です。 意識が変われば街中が皆さんの「勉強机」にもなります。

トーク番組で聞きやすい話の法則を皆さんにお教えします。 「結論1つ、短文3つ、装飾品3つ」です。 簡単に説明すると結論1つに対して、話の軸となる短文を3つとオリジナル情報である装飾品3つを加えて話をすると聞き取りやすくなるというテクニックです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

若い頃の恥ずかしい話がある。 昔、好きな子がいて、その子は地域でも有名になるぐらいかわいかった。 当時の僕は告白したけどフラれてしまった。 あとから知ったが、その子は妹の親友で、告白したことも妹にバレてしまい、恥ずかしかった。

試行錯誤を繰り返してようやく見つけ出した答えが、「知識がない人が聞いてもわかるように話す」でした。 シンプルですが、はじめて自分の話を聞いてくれる相手に対して、頭のなかで翻訳が必要な話し方はNGです。たまに難しい言葉や専門用語をたくさん使って話す人がいますが、勉強はできても、人のことを考えていないのだなと少し残念に思います。 前のレッスンでも言った通り、自分の頭のなかにある考えがシンプルに相手に伝わってはじめて、「頭の回転が速い」は成立します。

「アジェンダ」「オーソライズ」「エビデンス」など言い出したらキリがありません。 これらの言葉を使うことが悪いわけではありませんが、別の言葉でも表現できるよう意識をしてみましょう。イメージとしては皆さんのところに高校や大学を卒業したての新入社員がきたと考えてみましょう。今のような用語は伝わることの方が少ないと思います。 繰り返しになりますが、これらの言葉を使うことが悪いわけではありません。私も知らない言葉は、その都度覚えるようにしています。ここで言いたいことは、これらの言葉に依存することなく、きちんと簡単に言い換えることができるようにしておくのがベストということです。
ポイント2 難しい話はたとえ話にする 話の内容そのものが難しい場合もあると思います。たとえば、インターネットのシステムの話や経済の仕組みなどが考えられます。正確に説明をするためには専門用語は必須ですし、複雑な話になってしまうこともあります。 そういった場合は、なるべく「たとえ話」をしながら話すようにしてみましょう。もちろん間違った情報を伝えないよう慎重になる必要はありますが、たとえ話にすることで、理解が促進される場合はたくさんあります。

このように「スベる」というのは、どんな状況においても強制的に空気を変えることができる特殊な技術です。バラエティ番組でいじられ役の芸人が笑いを取るのも同じ原理です。 彼ら彼女らがお笑い芸人として魅力的なのはもちろん大事ですが、なんの脈絡もないことを言ったり、やったりすることで、周りの芸人たちが反応せざるを得ないため、場の空気が一気に変わり笑いが起きるのです。

ですから、生徒たちにはスベることを恐れずチャレンジしてほしいと教えています。精神論のように思えるかもしれませんが、なにかすれば、なにか起きるのが人生です。

会議の席や営業の場などでは「遠慮と躊躇は敵!」以外のなにものでもありません。勇気を出して一歩を踏み出してみましょう。

「大きく議論を前進させる」と気負うのではなく、あくまで「きっかけ」のつもりで以下のようなことを言ったらどうでしょうか。 例 人類最大の議題ですね……

リフレッシュに5時間の休憩(トイレタイム)を取りましょう (会議の議題になってることに)関連するものを山手線ゲームで言っていきましょう (会議にまったく関係ない)昨日の夕食は何を食べました? 朝食はパン派の方? ご飯派の方?

彼は居酒屋でお酒を飲んでいるときでも、会話のなかで知らない言葉が出てくるとわざわざ席を立ってトイレでその言葉を調べることを若手時代から現在までずっと続けています。 彼は典型的な頭の回転が速いタイプです。出演する情報番組でも見ているこちらがストレスのないような表現でスラスラと言葉が出てきます。最初は才能かと思っていましたが、しっかりと裏で努力していることが彼を今の立場へと押し上げていることがわかりました。 語彙力を上げるというのはすぐにできることではありませんが、山里くんのように着実に進んでいけば必ず力になるはずです。 焦らず、皆さんにも語彙力を上げていってほしいと思います。

人気お笑い芸人の多くが、自分だけの特徴を持っています。それが一発ギャグの芸人もいれば、決めゼリフや話し方そのものを武器にしている人もいます。 売れっ子芸人の誰しもが、「必殺パターン」を持っていて、そのパターンにはめ込むことさえできれば、かなりの高確率で笑いを取れるという確信を持っています。

ただ、すべてに共通することは、「クセが強い」のように簡単な言葉である、もしくは共通認識がある言葉であることです。そのため自分がつくった造語や特殊すぎる言葉を使うのは控えましょう。工夫をするのはあくまでそのあとです。

第一印象=最初の一瞬の印象 第二印象=最初の一瞬以降の印象 となります。 「第二印象」という言葉はトミーズの雅くんが生み出したものです。 お笑いの世界でいうと「ハイどーもー! 〇〇です!」が第一印象です。この「最初の一瞬」の立ち振る舞いで、おもしろそう、おもしろくなさそうをお客さんが直感で判断します。 第二印象はこの直後のネタの入りからはじまります。人気商売のお笑いの世界ですが、第一印象が悪くてもそのあとおもしろければどうにかなります。

短所を直すよりも長所を見極めて伸ばすことのほうが本人たちも楽しくできて新しい発見もある

ですから、生徒たちにはスベることを恐れずチャレンジしてほしいと教えています。精神論のように思えるかもしれませんが、なにかすれば、なにか起きるのが人生です。

会議の席や営業の場などでは「遠慮と躊躇は敵!」以外のなにものでもありません。勇気を出して一歩を踏み出してみましょう。

ですから、無理に自分を取り繕って第一印象を良くするよりも第二印象で相手にありのままの自分を知ってもらうことを意識してみましょう。 頭の回転とは関係ないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。一流芸人のほとんどはこの第一印象と第二印象を一瞬で使い分けています。「賢そうだけどバカ」「破天荒そうだけど実は常識人」「ツッコミなのに天然」これらはすべて、第一印象と第二印象の組み合わせで生み出したギャップです。

そういったゼロの状態からしっかりと自分たちのことを覚えてもらいながら本番で笑ってもらえるようにパスを出す。このことができるようになれば自然と本番でチャンスをもらえる日がくるわけです。 私は、はじめましての人との会話も同じように場を温めることが大事なのではないかと感じています。 どういうことかというと、会話のキャッチボールをはじめるときに、相手がボールを投げやすい空気をつくることで、スムーズに会話が弾んでいきます。なかなか会話が弾まないとき、相手は自分に心を開いていません。そんなときになんの工夫もなく話を進めようとしても効果的ではないでしょう。状況を把握し、まずは、相手が話しやすい空気をつくることが大事だと思います。

普通は A:「注意事項があります」 B:「よく聞いてくださいね」 程度で進めていきますが彼らは、 川西:「注意事項があります」 水田:「守らないと今日は家には帰れません」 川西:「帰したげて、ずっとスタジオにおられても迷惑やし」 という風に前説を、ただの前説では終わらせず、漫才風に仕立てて大いに盛り上げてくれました。

基礎フレーズ 最低限覚えておきたい前置きです。フォーマルな場でも使えるものです。 気になることがあったらいつでも言ってください お話しながら一緒に考えたいと思いますので、意見があれば、ぜひお願いします 気軽にお答えください

リラックスして聞いていただけると嬉しいです 早口になってしまうかもしれないので、聞き取りづらかったら言ってください 応用フレーズ 少しレベルが上がります。聞いている側がクスッと笑えて自然と肩の力が抜ける言い方も入れていますので、後輩や若手など、まだ環境に慣れていない人と話すときにおすすめです。 今からおかしなことも言うかもしれないので、その際は遠慮なくツッコんでください 〇〇さんとは仲間だと思っていますので、ぜひ意見があればお願いします
私も同じ立場だったら緊張するので、気持ちがわかります。気になることがあれば遠慮なく、言ってください 私から一方的に話すというよりも、会話しながら進めていきましょう 聞いているだけだと疲れると思うので、途中休憩しながら進めていけるといいなと思っています どれも難しい言葉ではないと思いますので、積極的に使っていきましょう。私が駆け出しの頃、大先輩の芸人さんたちに、こういったちょっとした一言でフォローしていただき、何度も気持ちが楽になりました。皆さんにもおすすめです。

違いがあるとすれば、その経験をただの「思い出」としてストックしているか、自分の引き出しとしていつでも取り出せるようにしているかということです。 トーク番組などで、売れっ子芸人がなんということもない旅行の話や家族との話をエピソードとして多くの人に届けることができているのは、経験を引き出しのなかで準備し、編集することができているからです。

せっかく、楽しい経験をしてきたわけですからそのことが相手に興味を持ってもらうように伝わった方がいいですよね。 そこで意識したいポイントはひとつです。自分の感想に加えて、相手にとって興味がありそうなことや自分が知り得たお得な情報を盛り込みましょう。

相手 「北海道旅行どうだった?」 あなた 「すごく楽しかったです。札幌の有名店でラーメン食べたらめちゃめちゃおいしかったんですけど、すごく混んでいて、あとでお店の人に聞いたら16時台が空いているらしいので、もし行くことがあればその時間がおすすめです!」


私も講演会で話をするときは冒頭の3分は意識をして丁寧にゆっくり、客席の方の表情を見ながら話すようにしています。 「最初の3分」でしっかりとキーワードや大事な要素を伝えることができたときと、できなかったときでは、同じ話をしてもアンケートの結果がまったく違うものになります。当然、冒頭3分を思っていたよりも丁寧に話せなかったときのアンケートの結果が悪いのは言うまでもありません。

NSCの生徒や若手芸人にも、コンビニ、ファミレス、デートなど定番のネタ設定をする際は、ネタに入れる言葉(ソフト)を変化させれば、ネタ全体の形は変えなくても、時代に合ったネタにリメイクできると指導しています。 これは逆を言えば、シニア向けの舞台なのであれば、ソフトを古いものにしていけばよいということです。 このような形で、ハードはそのままにソフトの使い分けができるようになると、相手の年齢などに合わせて、伝わりやすい適切なネタをつくることができるわけです

緊張を飼い慣らし、自分の実力を発揮するためには、最初に「緊張」と「余裕」は違うものではなく、表裏一体のものだと考えるところからはじめましょう。

わかりやすくいうと、「緊張=余裕を持てるチャンス」であるということです。 解説がてら、最初に緊張のメカニズムを考えてみましょう。 皆さんはなぜ、緊張するのでしょうか。私も自分があがり症なことに加えて多くの生徒を見てきたなかでわかったことがあります。 緊張とは「理想の自分」と「現実の自分」のあいだにギャップを感じ、恐怖が頭をよぎったときに起こるものです。

逆に余裕のある状態は、理想の自分になるまでの道筋がはっきりと見えているときです。「この順番でこうやって話せば大丈夫」と、やることが明確であれば人は余裕を感じることができます。 それぞれ、共通点は「理想の自分」のイメージがあることで、相違点は、実現までの道のりが見えているか否かという点です。

緊張しても実力を発揮できる芸人は、パニックになった状態でも頭を働かせて「自分にできること」だけは徹底して実行しようとします。焦ったときでも「やること」が変わらないのは、あらかじめ成功までの道が見えているからでしょう。 NSCの生徒にも、「段取りや準備」は緊張して焦ってしまったときに自分を助けてくれるものだと教えています。

ですから、「やらなくてもいいこと」、いわば捨てるものを決めることで、意図的に完璧主義から脱却し、成功までのハードルを下げましょう。 「やらなくてもいいこと」が決まれば7割は準備完了です。 次に「やるべきこと」を決めましょう。コツは非常に単純です。やることをひとつだけ決めましょう。大きな声とか自分らしい表情でいるとか、簡単なもので構いません。「これだけはやるんだ」というものをひとつにします。 そのひとつができると、緊張状態のなかでも「自分にはできる」と達成感を得ることができるので、自分の気分を保ちながら、話を進めることができます。最初からあれもこれもと欲張りにならずに、1点に集中しましょう。

緊張すると実力が発揮できないと悩む方は多いと思うので、ぜひ「やるべきこと」、「やらなくていいこと」を意識してみてください。


頭の回転が速いことと表現力が豊かであることはセットであり、たとえるならば、頭がコンピューターで言葉にすることがプリンターです。頭のなかで生成されたものが、言葉というプリンターを通して人に伝わってはじめてアウトプットしたことになるわけです。 ですから、「思いついたこと・考えていること」を「なんとなく」で終わらせないために正確に言葉にして発信することにこだわりましょう。

なにより、頭の回転を速くするうえで、「方言→標準語」に頭のなかで変換する時間は無駄な作業です。自分の思っているニュアンスが伝わるのであれば、標準語でも方言でも構いません。短時間で答えをつくるのであれば、言葉を変換することに必要以上にエネルギーを使うのではなく、なるべくシンプルに考えたいところです。

方言は弱点ではありません。コミュニケーションに役立つ大きな武器です。大切なのは大多数かどうかではなく、「わかってもらうための工夫」です。「わかりづらい表現であれば、説明する」「ジェスチャーを交えて勢いでニュアンスを伝える」などやり方はいろいろあります。方言は自分のキャラクターを特別なものにする武器であり、シンプルに考えるためのカギだと思って大切にしましょう。

わかると思いますが、「行き止まり」を意味する言葉です。 ジェスチャーで表現できる言葉でもなければ、感情を表す言葉でもありません。こういった場合は、「方言」のあとに一言添えましょう。 添え方は「どんつきって『行き止まり』いうことですわ」とシンプルに伝えれば大丈夫です。きれいに翻訳できない言葉は、粘り強く説明するのもひとつの手です。

緊張しても実力を発揮できる芸人は、パニックになった状態でも頭を働かせて「自分にできること」だけは徹底して実行しようとします。焦ったときでも「やること」が変わらないのは、あらかじめ成功までの道が見えているからでしょう。 NSCの生徒にも、「段取りや準備」は緊張して焦ってしまったときに自分を助けてくれるものだと教えています。

頭の回転の速さに求められるのは、満点を出すことではありません。安定して7割の結果を出す力です。 当然、満点を取れるに越したことはないのですが、短い時間のなかで、毎回満点の答えを出すのは現実的ではありません。

が出せるわけではありません。 お笑いの世界では大爆笑を取ることは野球にたとえてホームランだと言われます。加えて、その場を和ませる笑いはヒットです。 大きな笑いを取ろうとしてホームランばかり狙っていると、タイミングが遅れ、「ヒットなら打てたのに……」と、チャンスを逃してしまうことがお笑いでもよくあります。 こういった博打スタイルだと、テレビや舞台では安定して起用してもらえません。調子にムラがありすぎるからです。私がプロデューサーやイベントの主催者だとしてもかなり起用しづらいと感じてしまいます。 ですから、チャンスを掴み続けるという意味では打率の高い芸人であることがなによりも重要です。自然と次のチャンスが舞い込んできます。

話を戻しましょう。頭の回転を速くするということにおいても、7割の答えを出す意識でいることで調子の波をなくすことができます。毎回うまいことを言ってやろうと肩肘を張る必要はありません。 あわせて、「なにをもって7割なのか」の基準もここで示したいと思います。ズバリ、基準は「論理的であること」です。 相手の話や議論の流れに沿って論理的に考えることができていれば、それはヒットを打っていたと十分評価することができます。 ここで多くの読者が、「今さら論理的思考なんて……」と思うかもしれませんが、ただの論理的思考ではありません。「論理的思考」を「1秒で完結させる」ことが大事なの

1秒で頭の回転を速くするために「適当に反応する」のもダメですし、いい答えを出すために「時間をかけすぎる」のもダメです。 あくまで、その両方を両立してはじめて、合格点である7割の完成度を常に維持できるようになります。 「スピードとクオリティ」両方にこだわった考え方を一緒に学んでいきましょう。

「俯瞰の視点」は場の空気を把握するうえで欠かすことはできません。「反応はどうか」「お客さんに理解されているか」「失礼なことはしていないか」と主観ではなく、冷静に状況を理解することで、その場の空気に合った温度で自分を表現することができます。 NSCで授業をはじめた頃は、私はこの「俯瞰の視点」を持つことができていませんでした。自分が話すことに精いっぱいになってしまい、生徒たちの反応や、その反応に対しての対処、そして自分の姿勢などを考える余裕はまったくありませんでした。

そのときに、師匠方の漫談を見て「なぜ、自然と引き込まれるのか」を徹底的に分析して見つけたのが、「自分をプロデューサー目線で見る」ことでした。

1秒で頭の回転を速くするために「適当に反応する」のもダメですし、いい答えを出すために「時間をかけすぎる」のもダメです。 あくまで、その両方を両立してはじめて、合格点である7割の完成度を常に維持できるようになります。 「スピードとクオリティ」両方にこだわった考え方を一緒に学んでいきましょう。

「俯瞰を手に入れろ」と言っても、鳥になれるわけではありません。大事なのは、まるで鳥のように「全体の状況」を観察することです。 師匠方がスタッフの表情まで意識できるように、皆さんにもプレゼンや会議のときに全体の状況を把握できる目を持っていただくためのポイントが2つあるので紹介します。

ポイント1 あらかじめ見る場所を決めておく どこを見るか最初から決めておくことで、焦ることなく全体の状況を見渡すことができます。私が講演のときにやっていることですが、「入口付近にいる4人家族」「最前列右端にいるカップル」などあらかじめどこを見るか決めておくと全体を見るクセがついていきます。 その際、同じようなところばかり選ぶのではなく、なるべく会場の四隅を見るようにしています。 舞台に立つと普通は客席の真ん中に目線がいきますから、四隅を意識できれば、それだけで満遍なく会場内を見渡すことができます。

ポイント2 定点観測する 加えて、気になる人や場所(あまり反応の良くない集団など)があれば、定期的に見るようにしましょう。頻繁に見る必要はないですが、こまめに見ることで、反応は良くなったのか、変わらないのかなど、時間の経過とともに状況を把握することができます。 私は授業を行うときに、反応の良くない生徒をひとり見つけたら定期的に確認するようにしています。定期的に観察することによって、「自分の話が理解できないのか」「興味がないのか」など、原因を考えることができます。

これだけ重要視される「準備」ですが、2種類の準備があることを皆さんはご存じでしょうか。 「専門性を高める準備」と「平均値を上げる準備」です。この2種類を理解していないとどんなに準備をしても効果的ではないことがあるので要注意です。 「専門性を高める準備」はひとつのことへの対策を徹底するやり方です。たとえば、受験勉強などで、苦手な科目を集中的に学習するのはこの準備に該当します。 それに対して、「平均値を上げる準備」は多くのことに満遍なく対応できるよう備えることです。受験勉強だと対象科目すべてをバランスよく学習することになるでしょうか。 この2つを混ぜて考えてしまうと、自分では準備をしているつもりでも、余計な準備をしていたり、必要なことに対応できていなかったりとずれた準備をしてしまいます。

お笑いの世界だとネタの披露に必要なのは「専門性を高める準備」で、テレビや舞台でのトークなどに必要なのは「平均値を上げる準備」です。ビジネスの世界だとプレゼンが前者で、議論の席が後者でしょうか。 それぞれ状況に適した準備をすることが大切ですが、頭の回転の速さに直結するという意味では「平均値を上げる準備」の方が圧倒的に大切だと思います。

ネタやプレゼンのように自分のペースがつくりづらい議論の場では、いつどんな話になって、どのタイミングで自分にチャンスがくるのか予測ができません。ですから、幅広く多くのことに対応できるよう準備の網を張っておく必要があります。

ベターな状況に備える 考え方はシンプルです。「ベター」はベストの次にいいと思ったもの、思いついたことをそのままストックしておきましょう。 私の例で考えると「ボケの数が少ない」や「声が小さい」などの答えを用意できていたらベストとまではいかないまでも、なにを言うか悩んでしまう事態は防げたでしょう。 バッドな状況に備える 「バッド」は最悪の状況に備えるものです。答えを複数用意していても思わぬことが起きる場合はあります。そんなときにも焦って無言になってしまわないことが大切です。黙ってしまっては、なにも残りませんから不測の事態が起きてもなにか言葉が出るように備えましょう。 予測ができないわけですからピンポイントで準備をすることもできません。ですから、お笑い芸人に不測の事態が起きた場合どのように乗り切るか紹介したいと思います。 芸人もコンテスト用に用意したネタが直前のコンビとかぶることがあります。まさに不測の事態です。 そんなときに機転が利く芸人は次のように乗り切ります。 乗り切り方1 「ネタがかぶってしまいましたが、こんなこともあるんですね。前のコンビは忘れてください」 前のコンビのネタをなかったことにせず、受け入れたうえで自分たちのネタに入ることでスムーズに不測の事態を乗り切っています。 乗り切り方2 今までで一番印象に残ったコンビは次のように不測の事態を乗り切りました。

「今までがネタ振りでここからが本番です」 このように、不測の事態をそのままネタとして利用し、瞬時に「つかみ」に変えてしまうパターンです。 どちらの乗り切り方も不測の事態を無視するわけではなく、受け入れたうえで一言添えています。皆さんも同じような状況に置かれたら不測の事態をそのままネタとして活用してみましょう。会議での挨拶や披露宴のスピーチなどにも応用できるかと思います。

調子がいいときの頭が働く順番 調子がいいとき、頭が働く順番は「反応する→言葉が出る→考える」です。 考えるよりも先に言葉が出てきます。もしくは言葉を出しながら考えることができます。言った内容が当たりかハズレかはさておき、速度という面においては文句のつけようがありません。 こういった場合は、置かれている状況や相手の言っている内容をほぼ完璧に理解できています。結果として、状況の理解に必要な思考を省くことが可能になり、いきなり言葉が出るようになります。皆さんも得意分野の話をしているときは話を細かく聞かなくても、話の内容が理解できてしまうときがあるかと思います。まさに、その状態です。


調子が悪いときも「考える」というプロセスをあとに回すようにしましょう。 頭の調子がいいときとまったく同じ思考を再現するのは難しいですが、似たような状態にすることは可能です。以下の3点がポイントです。 置かれている状況はどんな状況なのか理解する(例:友達と映画の話をしている) 今の自分はボケとツッコミ、どちらの役か理解する(ボケ役なら話題提供、ツッコミ役なら話のまとめ) 真面目な話かゆるい話か理解する(真面目なら真剣な表情、ゆるいなら柔らかい表情) この3つです。どんなシーンでも構わないので、頭のなかで適当なシーンを思い浮かべてこれらを当てはめてください。おおよその状況が自然と見えてくるはずです。状況を掴むことができれば、「考える」時間を大幅に削ることができます。


先ほどは5秒のフリ、5秒のボケ、5秒のツッコミの合計15秒でワンセットとしましたが、ビジネスの世界ではボケとツッコミはいらないと思いますので、普段の仕事でも使えるように変化させました。「5秒で話題設定、5秒で自分の意見、5秒で懸念点」です。それぞれ見ていきましょう。

他にも、「5秒で目的、5秒で過程、5秒で結果」などそれぞれを自分に必要なものに合わせてカスタマイズすることで、より実用的なものになっていくはずです。

どんなときも次の展開を読んでいてそのリアクションをもまた読んでいて自分達の世界に引き込んでしまう

中川家ごっこで予想外を楽しむ

くだらないことと思うかもしれませんがこの数秒があるだけで、自分が相手の話を聞いていたことも伝わります。些細なことですが、効果は絶大です。 今出した例以外にも「すごくいいですね」や「お気持ちはわかります」など、自分の意見を伝えつつ時間を稼ぐ言葉はいくつもあります。

つまり、ダラダラと話をしている暇はなく、最短で笑いを取りにいかなければいけません。これは日常会話においても共通する部分があると感じています。相手が忙しい人であればあるほど、ゆっくりと話している暇はありません。ですが、結論だけ伝えるのではこちらの意図が上手く伝わらない。そんな瞬間が皆さんの周りにもたくさんあると思います。 自分の考えていることを短く正確に伝えるのは自分の頭のなかにある情報のおいしいところだけを取り出す作業ですから、そのことを短い時間で行うというのは、紛れもなく、頭の回転が速いということのひとつの形です。

伝えることはそのままに、言葉を短くするというのは明確な技術であり、このレッスンではそのテクニックを紹介したいと思います。 皆さんにもう少しイメージをして

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Posted by ブクログ 2023年03月21日

1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術
著:本多 正識

お笑い芸人は「ネタそのもの」「話し方」「立ち振る舞い」「姿格好」など、どんなことでもいいので、「もう少し見てみたい」「なんか聞いてみたい」とお客さんに一瞬で思わせなければいけない。

毎回即座に頭を働かせ、そ...続きを読むの都度「笑い」や「ビジネス」の答えを作り出すことは、形は違えど、ビジネスパーソンとお笑い芸人に差はない。

本書の構成は以下の5章から成る。
①殻を破るための「頭を柔らかくする」レッスン
②状況を素早く理解するための「分析する」レッスン
③自分の必殺パターンを見つけるための「言い換える」レッスン
④端的に情報を伝えるための「言葉を操る」レッスン
⑤1秒で答えをつくるための「洗練させる」レッスン

芸人とビジネスパーソンも差はないという著者の言葉へは激しく同意する。置かれた立場や環境の違いにより捉え方は違うかもしれないが、お笑い芸人も「おもしろい」という点では、自分よがりではなくて、相手から「おもしろい」と思ってもらえてナンボである。

相手が求めることに対しておもしろさや興味等があってはじめて相手とのコミュニケーションが始まる。

コミュニケーションは聞くが9割とはいうものの、1割の話の中で本書のエッセンスから研ぎ澄まされた言葉であったりやりとりを出せるかどうか、相手との関係性も大きく変わる。

自分に相手を合わせてもらうというような高等テクニックではなく、相手を観察し事前準備し、仮説に合わせた対応を行い鍛錬する中で自分のイロを出しながら、さらなるコミュニケーションを図ることは次のステップとして必要となる。

真似る・実践する・編み出す
この繰り返しとあくまで相手を軸とした意識を持って、相手に気持ち良くなってもらうことを前提とした言葉と気持ちのやりとりが今後もさらに大切となっていく。

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

お笑いだけじゃなくて、ビジネスにもめちゃくちゃ使える。
アイデア(思考)のトレーニングの仕方や仕組み作りに活かせる。すべて戦略的に行うことで再現性高く再現できる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月12日

頭の回転を早くする48のテクニックを中心に書かれた本
実践しやすいものからそうでないものまで様々あったが、自分が印象に残ってるのは以下3点。
1、見切り発車を防ぐために間を作ること
  →深呼吸するだけでも、冷静になれる
2、相手の話を聞きながら頭の中で「はい」と相槌を入れること
  →人は無意識に...続きを読む他の話を考えてしまうので、これを意識することで相手の話に集中できる。違和感に反応できる
3、常に頭をアイドリング状態にしておく
  →自分の勝ちパターンを持ち、自分が入りやすい話題か?雰囲気か?を常に意識。これによりチャンスを逃さず、ここぞというときにカットインすることで、会話がうまくいくし、自信につながる

総論として、頭の回転の速さとは常にアンテナをたくさん張り巡らせ、自分が反応できる引き出しの数を増やすこと、そして、場の空気を読み話の流れに合わせることだと理解。

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Posted by ブクログ 2024年02月11日

漫才作家・NSC(吉本総合芸能学院)講師である著者が、芸人に教えている話し方のテクニックを講義形式で紹介した1冊。
全体の流れを若手芸人に教える、難易度ごとに入門、基礎、実践と章分けした上で、それぞれの項目ごとに、講義や事例紹介によるレッスン→トレーニングという構成のため、取り組みやすく、実践的な内...続きを読む容だと感じました。
内容も興味深いのはもちろんですが、時折紹介される人気芸人の現在の評価や若手時代のエピソードなどが面白く、本書の内容がより具体的に感じられます。また、「NSCで指導していることの多くはお笑い以外の仕事にも活用できる」と著者が指摘するように、なかには芸人ではなく違う道に進んだ生徒のエピソードがあり、決して芸人だけのテクニック論だけでなく、広くコミュニケーションを学ぶには秀逸な内容だと感じました。
ここ最近読んだ話し方、思考法、コミュニケーション関係の中で、最も面白く、実践的だと思います。

▼頭の回転の速さはほとんどの場合、情報量に比例する。どんなに頭の回転が速くても頭の引き出しに情報が入っていなければ何も出てこない
▼表情には常に「客観性」が必要。
 大事なことは、自分が笑っているかどうかではなく、笑っていることが相手に伝わること
▼日本人は真面目すぎると思う。それ自体は優れた長所ではあるが、そのことが足枷になっている場合がある
 自分に厳しすぎるとかえって自らの可能性を狭めてしまうことがある
 結果として、うぬぼれて自分を見失うことと同じ
▼結果を残す芸人は、アドバイスを聞いている最中に、次に自分がすべきことをすでに考えはじめている
 気持ちひとつで、立派な学習教材にもなる。大切なのは「意識を変えること」。意識が変われば街中が「勉強机」にもなる
▼売れている芸人のほぼ全員が相当な語彙力を持っている。便利な言葉がダメではないが、多くの選択肢を持ったうえで、そういう言葉を選ぶようにしなければ、いつまで経っても頭の回転は速くならない
 頭の回転の速さには、状況に合わせて言葉を選ぶ力が必ず必要
▼話が得意ではない人の共通点として話の入口の部分で雑に話してしまう人が多いように感じる
▼頭の回転が速いことと表現力が豊かであることはセット。「思いついたこと・考えていること」を「なんとなく」で終わらせないために正確に言葉にして発信することにこだわる
▼頭の回転の速さに求められるのは、満点を出すことではない。安定して7割の結果を出す力
 7割の基準は「論理的であること」。「論理的思考」を「1秒で完結させる」ことが大事。芸人のなかでも両方を同時にこなせる人は少数派で、シンプルながら究極の能力だと言える
▼「答えを出すべきタイミングなのか」「相手に気持ちよく話してもらうタイミングなのか」状況を見ながら判断をするようにする。
▼「漫談にはうまいへたがもちろんあるけれど、それ以上にお客さんの温度に合った噺ができるかどうかが何より大事」
▼重要視する「準備」には2種類あり、「専門性を高める準備」「平均値を上げる準備」
▼私は明日やろうと思ったことをできたことがありません。今はじめたことだけが私を形づくっています。今の自分には無理だと勝手に納得をして、未来の自分に期待するよりも、今の自分で挑戦してみる確率の方が圧倒的に高いです。

<目次>
第1章 殻を破るための「頭を柔らかくする」レッスン
第2章 状況を素早く理解するための「分析する」レッスン
第3章 自分の必殺パターンを見つけるための「言い換える」レッスン
第4章 端的に情報を伝えるための「言葉を操る」レッスン
第5章 1秒で答えをつくるための「洗練させる」レッスン

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Posted by ブクログ 2023年12月29日

子どものころ、「勉強せーへんかったら、吉本入るで」と言われた関西人の方も多いと思います。

でも実際は面白い芸人ほど、頭は切れる。
極める人はどの分野でもそう。

なんか、納得の一冊です。

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Posted by ブクログ 2023年12月23日

1秒で答えをつくる力はトレーニングによって鍛えられることがわかった。お笑いはビジネスと共通しており、対人関係を良好にする知識や技術がこの本で養われる。
また、切り返しの技術だけでなく、人として成長するために必要な考え方も勉強になった。
もう一度読み返したくなる内容だ。

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Posted by ブクログ 2023年09月18日

言葉を生業としているだけあって、とても読みやすくかった。芸人の切り返し力は、ある種のセンスかと思っていた。だが、芸人はネタや言葉に対し論理的に考え、分かりやすさと世間が理解できるボーダーラインを常に見極めていることがわかった。鍛錬の何物でもない。

ビジネスに通ずるものをたくさんあった。是非お笑い好...続きを読むきな方だけでなくビジネスマンにも読んでほしい。

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Posted by ブクログ 2023年06月04日

頭の回転が速い人は、あらゆる分野の知識量や経験量が多い。自分自身の、人との会話での反応の悪さを振り替えると、その分野に興味がかなかったり知らない、ということが多い気がした。
相手に気持ちをうまく伝えるためにも、知識量語彙力感情理解表現方法知ってる必要がある。
今はとにかく広範囲の分野の読書をしようと...続きを読む思った。

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Posted by ブクログ 2023年04月22日

特に目新しいことや、斬新なことが書かれている訳ではないが、内容がしっかりと入ってくる感じで、とても納得させられた。ボクサーに例えれば、基本のワンツーを毎日、如何にしっかりと繰り返し練習してきたかが最後に勝敗を別ける、そんなことなのかなぁと、勝手に解釈して自分なりに落とし込むことが出来た。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月27日

 常識は非常に大事ですが、一方で常識だけでは、おもしろくならないので、大事なことは「常識を土台にして非常識をつくる」ということです。
 さて、漫才やコントのボケで笑いが起こるのは、なぜでしょうか。
 簡単に言うと、観ている人の想定を超えた意外なワードやフレーズが出てくるからです。
 ですが、この「想...続きを読む定を超える」というのにはポイントがあります。それは、「想定は超えるが、理解はできる」範囲にとどめることです。渾身のボケで笑ってもらえるかどうかは、このポイントを押さえているかどうかで決まります。どんなに気の利いたことを言っても相手に伝わらなければ、意味不明な無駄口になるだけです。ここを見誤らないでください。
 たとえば、朝の挨拶をボケの題材に考えてみましょう。
 朝起きたときの挨拶は「おはようございます」です。決して「おやすみなさい」ではありません。だからこそ、朝に「おやすみなさい」と言うと「起きたばっかりやないかい!」とツッコミを入れることができます。
 ですが、朝起きて「りんご!」と叫ぶボケがあるとします。こちらはなんの脈絡もないので、ツッコミようがありません。しいて言えば「なにをいうてんねん?」と疑問ツッコミになってしまい、お客さんもポカンとしてしまいます。
 どういうことかというと、朝の挨拶で「おやすみなさい」というボケには、「おはようございます」というのが常識という前提があります。対して「りんご」のボケにはその前提がありません。
 もちろん理解ができないボケが笑いを取るという例外もコンビのスタイル・キャラクターによっては成立することもありますが、ここではあくまで一般論として紹介しています。
 このように、ボケと呼ばれる非常識に聞こえる発言について考えてみると、実は破天荒な発言が受け入れられるわけではなく、「常識」というたしかな土台があってはじめて相手に伝わる言葉であることがよくわかります。
 これは、ボケに限ったことではありません。人の心に刺さることを言えたり、気の利いたことが言えるのも同じ原理です。相手の想定を超えつつ、それが相手の理解の範疇だからこそ、「すごいね」と思われるわけです。
 ですから、ここで紹介した、朝の挨拶が「おはよう」なように、普段の会話においても、常識をひとつでも多く知っていると、それだけ非常識、言い換えれば、人の想像を超えつつ、理解もされることが言えるチャンスは多くなります。
 これまで、うまいことが言える人は、そもそもの頭の作りが違うと思っていたかもしれませんが、この理屈を知って、自分にもできるかもしれないと思ったのではないでしょうか。

「芸は模倣から」と芸能の世界では言われます。皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
「模倣」=「真似」と考えていいでしょう。
 最初から特別なものをつくるのは余程の天才でもない限りかなり難しいことです。
 それにもかかわらず、多くのお笑い芸人志望者が最初から「特別」を求めて、自分だけの答えを得ようとしてしまいます。目立ってなんぼのお笑いの世界ですから、焦る気持ちはわかるのですが、はっきり言うと、それは間違いです。
 なぜなら、どんなオリジナリティも多くの経験を積んだ先に結果として得ることができるものだからです。
 ですが、授業では無理やり変えさせるようなことはしません。自分で納得して腑に落ちない限り前には進めないので「好きなことしや」としたいことを優先させます。そうしないと必ず「思うようにやっておけば良かった、やりたかった」と後悔するからです。
 少し脱線してしまいましたが、話を戻します。
 そのオリジナルになるために経験を積む行為が「真似」だと私は考えています。矛盾していると思うかもしれませんが、むしろ、真似をした数で、オリジナルになれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
 そのことに気がついたのには理由があります。
 ダウンタウンが大人気になった頃のNSC生はネタ見せをするコンビの多くが「ダウンタウンもどき」でした。ボケは真顔でシュールに、ツッコミは勢いのある関西弁というのがひとつの形でした。ほとんどの生徒が同じことをしていたため、まったくダメなように思えました。
 しかし、実際は私の予想に反して、ダウンタウンもどきの生徒の成長が非常に早いことに気がつきました。
 なぜかと考えてみたところ、そういった生徒は、憧れの人の真似をすることで、お笑いのコツを掴むまでにあまり時間を必要としなかったのです。その生徒は失敗を含めて、真似によって得られることが非常に多く、他の生徒を置き去りにしてどんどん経験を積んでいきました。
 加えて、興味深かったのが、真似をしていたはずの生徒が、経験を積んでいくうちに徐々にダウンタウンの型を崩して自分たちのやりやすい方に変化させていったことです。
 最終的にはダウンタウンを目指していたとは思えないオリジナルネタを披露するようになっていきました。講師として「芸は模倣から」を目の前で感じることができた瞬間です。
 もうお気づきの通り、真似には2つの利点があります。
利点1 再調速度が上がる。
利点2 真似をしたものは自分のやりやすいように自然と変化し、結果としてオリジナルなものになる。
 成長速度は先ほどの話からもわかるように、誰かが10
年かけて見つけ出した技術や考え方も真似するだけであっという間に自分のものとして吸収できます。
 もし、売れっ子芸人を目指して20歳のときから、お笑いの勉強をしたとして、ノウハウを見つけるまでに10年かかったらスタートラインに立てるのが30歳のときです。下積みは大事ですが、少しもったいないような気がします。
 一方で、人のことをどんどん真似をして、技術を身につけることができたら、1年程度で基礎を学べるので21歳でスタートラインです。どちらにチャンスが多いかは言うまでもありません。
 また、真似をしたからといって自分の個性が消えてしまうわけでもありません。ましてや、真似したからといって、その人と同じになれるわけでもないということもすでにおわかりいただけたはずです。
 人には個性があるように、どんなことでも真似をしているうちに自分の個性に合わせて真似たことが変化していきます。
 私自身も意識をしていることですが、これまでの経験に誇りを持つのは非常に大事なことだとしても、それが余計なプライドに変わってしまい「自分はこれでいく」「このやり方は自分に合わない」と決めつけてしまうのは危険です。どんなことも成功事例を参考に真似してみるのが大事ですし、同時に自分を表現するいちばんの近道でもあります。
 もちろん、真似してみて合わなければ、やめればいいだけの話ですから、「最初は真似」の意識を持ってみましょう。

 皆さんには好きなお笑い芸人はいますか? もしくは嫌いなお笑い芸人はいますか?
 もしいるとしたら、そのお笑い芸人のどこが好き、もしくは嫌いでしょうか。
 どちらでも構いませんが、こういった「好き嫌い」のような感情的な判断の「要因・原因」を知るのは非常に大切なことです。
「自分の好き嫌いの理由はわかっているから大丈夫」と思っている方もいるかと思いますが、一度立ち止まって考えてみましょう。
 たとえば、皆さんがAという芸人を好きだったとします。
「その芸人が好きな理由はなんですか?」と聞かれて、「おもしろいから」と答えました。
 一見、正しいように思えますが、これでは十分な理由とは言えません。
 たとえば、この場合で言うと、具体的に何がおもしろいのでしょうか。
「おもしろい」というだけでは、ネタなのか、姿格好なのか
フリートークの上手さなのか、どんなことをおもしろいと思ったのかわかりません。
 仮にネタだとすれば、ネタのどの部分がどうおもしろいのでしょうか。どんどん深掘りしていくと意外と答えられなくなる人が多いと思います。
 売れている芸人となかなか芽が出ない若手芸人の差は、この要因・原因を考え抜く力にあります。舞台でしっかりと結果を残す若手芸人は、自分たちのネタがウケた場合もウケなかった場合も、その理由がなぜなのか徹底的に追求することが習慣になっています。そうです。分析できるのです。
 要因・原因を論理的に考えることができると芸に再現性が出てきて、どんな場面でも、調子の波が少なく、常に力を発揮することができます。なぜなら、「どうして、自分たちのネタがウケたのか、もしくはスベったのか」の理由がわかるので、成功はそのままに失敗の修正ができるからです。
 論理的に分析ができていないと、仮に笑いが取れたときも、「たまたま調子が良かったから」と運任せで終わってしまいます。
 このように感情的なことを論理的に分析することで、若手芸人でも着実に力をつけていくことができます。
 これは頭の回転を早くすることに直接繋がってはいませんが、頭の回転が速い以前に、考えることは大切なことです。速さ云々の前の土台固めとして覚えていただけると幸いです。
 論理的に考える芸人として、天竺鼠の川原くんがあげられます。ナスの被り物がトレードマークの人気芸人です。彼はすぐに理解できないようなハチャメチャなネタをすることで有名で、世間一般では行き当たりばったりの破天荒な芸をしていると思われがちです。
 しかし、実際は誰よりも論理派であり、舞台裏で徹底的に考え抜くタイプであるのは有名な話です。彼が生徒だった頃も意味不明なネタがほとんどでしたが、ネタの理由を聞くと、ちゃんと自分の世界「天竺ワールド」を持っていました。行き当たりばったりではなく「飛んだネタでも、どこまで理解してもらえるのか」のボーダーラインを知るためにネタをしていました。
 つまり、講師である私はボーダーラインを知るための実験台にされていたのです。ひたすら「考えること」を続ける川原くんだからこそ今や人気芸人の一人になれたのでしょう。
 私自身も、駆け出しの頃は、分析が甘く、なんとなくおもしろそうだからと場当たり的にネタを考えていたことがありました。そのため、仕事のクオリティに波があり、安定感を出すのに苦労しました。
 そのことに気がついてから、調子の波をなくすために多くの漫才師のネタをビデオやカセットに録音してひたすら分析して、「笑いのパターン」を覚えました。大変でしたが、お笑いで飯を食っていく「プロの仕事」だと自分に言い聞かせました。
 好きなものや嫌いなもののなにがその要因・原因になっているか考えてみると、これまで漠然と考えていたことにもしっかりとした理由があることに気がつくはずです。人間は誰しも感情がありますから、その感情に至る「要因・原因」がわかるようになれば、それは大きアドバンテージです。
 常に論理的に「要因・原因」を考えられるようトレーニングしていきましょう。

 NSCからではなくオーディションを勝ち上がって劇場の本出番を勝ち取った漫才コンビ「ミキ」。
 スターダムを駆け上がる彼らを待っていたのは、「お前らの漫才はやかましすぎる」「慌ただしすぎる」「もっと落ち着いてゆくリやれ」という否定的な意見ばかりでした。
 オーディション段階では肯定されていたものが、現場の劇場関係者やスタッフからは打って変わって完全に否定されました。
 そんななか、私ひとりだけが、「そのままやったらええやん、それが勝ち上がってきたスタイルやねんから変える必要はない」と言っていたそうです(後にミキから聞いたことですが……)。
 その後、どのように漫才のスタイルを確立していくか彼らと話をしました。そのなかで、「亜生くんに責められて困ったときに昴生くんが、ただ大声で返すだけではなく、子供のときに『バリア張った』言うて、遊んだやろ? あんなんで『雑然』とした漫才のなかに昴生くんが逃げ込める『静寂』の部分をつくったら漫才全体にメリハリつくんちゃう?」とアドバイスしました。結果、そのバリアはすぐに採用されていました。
 たったひとりの肯定者の意見を聞いてくれたのも、何かの縁かもしれませんが、短所を直すよりも長所を見極めて伸ばすことの方が本人たちも楽しくできて、新しい発見もあったのでしょう。
 芸人にとって「ウケない」のが悪なのではなく、「改善しない」ことが悪です。粘り強く考え続けることを本当の意味で「お笑いセンス」と呼ぶのでしょう。

 知っている言葉の数が多ければ、頭の回転は速くなります。逆に知っている言葉が少なければ、なかなか頭の回転は速くなりません。なぜなら、語彙が多ければ多いほど、表現の幅も広がり、素早く正確に自分の思っていることを相手に伝えられるからです。私の知る限りでは、売れている芸人のほぼ全員が相当な語彙力を持っています。
 いつの時代もそうですが、「ヤバい」「エグい」などの便利な言葉の登場によって、話す側の思考が停止してしまうということがあると感じています。便利な言葉がダメなのではありませんが、多くの選択肢を持ったうえで、そう言った言葉を選ぶようにしなければ、いつまで経っても頭の回転は速くなりません。
 何を聞かれても、何を食べても「ヤバいっすね」と答えている人を頭の回転が速い人だと誰も思わないはずです。
 若手芸人や20代前半の生徒と話していても「エモい」や「エグい」などの表現が頻繁に出てきます。当然「ヤバい」も定番です。
 お笑い芸人は相手を楽しませるのが仕事ですから、自分の発言したことを相手にストレスなく理解してもらわなければいけません。そう考えると「ヤバい」はストレスを感じやすい言葉です。なぜなら、話をしている側が思っている「ヤバい」と聞いている側の「ヤバい」では感じ方が違う可能性があるからです。
<中略>
 便利な言葉は非常にキャッチーですから、つい使いたくなる気持ちもわかりますが、このようなことがあるため使うときは要注意です。
 特に自分が思っているニュアンスが相手に伝わっていないのであれば、まったく意味がないので、正しい表現を考える必要があります。
 当然ですが、頭の回転の速さには、状況に合わせて言葉を選ぶ力が必ず必要になります。相手との関係性、状況を加味して、使う言葉や表現で正確に伝わるか判断しながら話をする必要があるからです。
 仮に自分が思いついた言葉が適切でないとしたらどんな表現がいいのか、似たような言葉や同じような表現を探さなければなりませんが、それは語彙力がなければ難しいでしょう。
 ここで、「はじめに」にも登場した南海キャンディーズの山里くんの話をしましょう。山里くんは今や売れっ子芸人でバラエティから教養番組まで、彼をメディアで見ない日はないほど大活躍しています。そんな彼がブレイクする前からずっと続けていることがあります。それが「わからない言葉や知らないことがあったらすぐに調べる」です。
 彼は居酒屋でお酒を飲んでいるときでも、会話のなかで知らない言葉が出てくるとわざわざ席を立ってトイレでその言葉を調べることを若手時代から現在までずっと続けています。
 彼は典型的な頭の回転が速いタイプです。出演する情報番組でも見ているこちらがストレスのないような表現でスラスラと言葉が出てきます。最初は才能かと思っていましたが、しっかりと裏で努力していることが彼を今の立場へと押し上げていることがわかりました。
 語彙力を上げるというのはすぐにできることではありませんが、山里くんのように着実に進んでいけば必ず力になるはずです。
 焦らず、皆さんにも語彙力を上げていってほしいと思います。

「第一印象」は0.7秒で決まるという話を聞いたことがあります。プレゼンの本や面接の本を見ると、この第一印象が大事ということがよく書かれています。お笑いの世界にも「つかみ」という言葉があり、舞台に出てきてすぐにお客さんの心を掴めるかということは非常に重要視されています。
 ですが、「第一印象」が悪かったからと言って気にすることはありません。それよりも大切なのは「第二印象」だということをこの場でお伝えしたいのです。このことは舞台に立つことが多くなる若手芸人によく教えています。
 当然ですが、第一印象が抜群に良い人はハードルも上がります。皆さんの周りにも最初はいい人だったのに時間が経つと「最初に会ったときの期待感と違う……」と印象が変わってしまう人がいるのではないでしょうか。
 第一印象が良いのに越したことはありませんが、それが、自分の実体に見合っていない見せかけでは意味がありません。それならば、時間をかけて自分のありのままを理解してもらった方が得策です。

 NHK在学中にNHKの新人漫才コンクールで最優秀賞を受賞し、なんばグランド花月の本出番を獲得したコンビ「キングコング」。
 絵本作家として、クリエーターとして、どんどん活躍の場を広げている西野亮廣くん。「YouTuberカジサック」として登録者数200万人以上を誇る梶原雄太くん。ともに自分の見つけた道を歩き、それぞれ階段を登り続けています。
 まだ彼らが20代前半だった頃、西野くんの話を聞いて驚いたことがあります。彼がネットで炎上し、たまたま2人で話ができる時間があり、こんな会話になりました。
本多「よう炎上しとんな?」
西野「アンチが9割ちゃいますかね(笑)。それでもいいんです」
本多「なんで?」
西野「9:1、90:10、900:100ではアンチが目につきますけど、90万:10万になったら、アンチ9割のまま東京ドームで2回イベントできるじゃないですか」
本多「それだけおったら食べていけるよな」
西野「そうなんです。アンチの比率を減らさなくても、分母が増えたらアンチは関係なくなると思うんですよ」
本多「たしかに、そうやな……」
 芸人という人気商売をしていて、20代でこのような考え方ができる西野くんを素直に「すごい子や」と思いました。物は考えよう、捉えようで見方がまったく変わってくるとあらためて西野くんから教えられました。

 漫才志望、コント志望に関わらず、全員の生徒に教えていることがあります。
 それが「話をブロックにわけて考える」ということです。どういうことか、いつもの授業通りお笑いを例に解説をします。
 お笑いのコンテストには必ず、時間制限があります。1分でも2分でも、まずは限られた時間のなかでネタを披露するのが絶対条件です。
 多くの若手芸人は制約された時間のなかできれいな「起承転結」の流れをつくろうとしてしまいますが、実はそうでなければいけないわけではありません。もちろんきれいな「起承転結」があるに越したことはありませんが、必須条件でもないのです。それよりも大事なことは笑いの総数をどれだけ増やせるかです。
 お笑いを見たい人は話の美しさを感じたいわけではなく、単純に笑いにきているわけですから、とにかく笑える箇所をひとつでも多く作る必要があります。
 そこで、私が教えているのが、「話をブロックにわけて考える」です。
 たとえば、2分のネタだとしたら、5秒のフリ、5秒のボケ、5秒のツッコミの合計15秒をワンセットで考えて、ネタ全部で8ブロックの構成にすることができます。ボケとツッコミの両方で笑わせることができたら2分で最低16回も笑わせることができます。
 もちろん5秒という縛りがあるわけではありませんが、目安としてそれぞれの時間を決めておくことで、思考が強制されてアイデアが出やすくなります。
「起承転結の流れがきれいな2分ネタ」と「短いブロックで構成される2分ネタ」では、後者の方がお客さんに飽きられる確率が低くなります。
 起承転結型は、フリが長くなりすぎることが多く、余程言葉を削って短くしないと聞いている側も飽きてしまいます。ですが、ブロック型であれば短いテンポで話をどんどん前に進めることができるため、聞いている側もストレスを感じづらいのです。
 もちろん、内容がおもしろいことが絶対必須条件なのはどちらも同じです。
 なぜ、このような話をしたかというと、何度か参加させていただいたビジネスプレゼンのほとんどが起承転結型で、聞いていて飽きてしまったことがあるからです。
 しかも、その多くが内容はおもしろいのにもかかわらず、前置きや説明が長くて損をしているように感じました。
 もっと内容のところに時間を割いて、ガンガン強みを押し出すやり方でもいいように思います。定番の話の進め方としても「起承転結」を否定するわけではありませんが、それはときに自分の良さを消してしまうことにもなりかねないということも知っておいてください。
 そんなときのために、相手に飽きられることなく話を進めるための技術として「話をブロックにわけて考える」ことを覚えていただけると幸いです。

「なんでやねん!」というワードをこれまで何度も聞いてきました。若手からベテランまで大阪を中心に今や聞かない日はないぐらいの言葉です。
 NSCに入ってきた生徒たちも最初に覚えるのは「なんでやねん」かもしれません。それは言葉そのものを覚えるというよりも言い方を覚えると言った方が正確でしょうか。
 プロとアマチュアの違いはこの「なんでやねん」という1ワードに詰まっていると言っても過言ではありません。
 プロは自分にぶつけられたボケに対してちょうどいい温度のツッコミをします。たとえば、中くらいのボケがきたら、ツッコミも中くらいのレベルで返します。
 対して、見習い中の芸人は、中くらいのボケに対して大きなツッコミで返してしまいます。大げさに見えてしまうのです。
 漫才は普段の会話の延長線上にあります。ですので、大げさにすればするほど、お客さんとの距離も遠のいてしまいます。
 そのことを念頭に生徒にはむやみやたらと大声で「なんでやねん!」と言うのではなく、ボケにあったツッコミをしなさいと教えています。

 本書も終盤に入ってきたので、お笑い芸人たちの真髄をお教えします。お笑い芸人たちは毎回おもしろいことだけを言っているのでしょうか。答えはノーです。
 多くの芸人に怒られてしまいそうですが、彼ら彼女らの発する言葉のすべてがおもしろいわけではありません。ほとんどの場合、言い方や状況に合った言葉を選ぶことで、普通のことをおもしろく感じさせているのです。
 この説明だと、あたかも、お笑い芸人がつまらないことをしているように感じるかもしれませんが、普通のことをおもしろくするのが一番難しいことです。
「普通のこと=当たり前のこと」ですから、本来、笑えるわけではありません。それを技術だけで笑えるものに変えられるわけですから、やはり特別な能力と言えるでしょう。
 本レッスンでは多くのお笑い芸人たちのように、皆さんの発する普通の言葉に大きな影響を持たせることをテーマに話したいと思います。
 さりげない一言にも意味を持たせるために必要なのは、本レッスンのタイトルにもなっているようにフリを効かせられるかどうかで決まります。
 フリが効いていればいるほど、人は正解がきたときにどんな単純なものがきたとしても心地よさを感じますし、逆に散々振ったフリに対してハシゴを外されるようなことをされるとがっかりしてしまいます。
 皆さんの大好物がカレーだとして、朝の段階でご家族から晩御飯はカレーであることを予告されました。その日は1日、晩御飯が楽しみで、街を歩いてもカレーのことが頭をよぎります。仕事も頑張ってカレーを食べようと思ったら、急きょ焼き魚に晩御飯が変更になっていました。
 どうでしょう。わかっていても楽しみにしていたわけですから、絶対にカレーが出てきてほしいですよね。
 このときに感じるのはサプライズではなく裏切りだと思います。
 そこで予告どおりにカレーが出てきたら誰もが嬉しい気持ちになるでしょう。
 このようにフリを予告として活用することで、こちらがなにをするのかわかっていたとしても相手を確実に喜ばせることができます。
 たとえば、フリを効かせた会話の典型例は次のような形です。
 司会「Aさんはどんな人なの?」
 A 「きれい好きですね」
 司会「たしかに、清潔感があるもんね」
 A 「はい、お風呂も2回入っています」
 司会「朝と夜⁉︎」
 A 「春と秋」
 司会「お彼岸か!」
 お笑い番組などでも見る定番の流れです。「きれい好き」のフリがあることで、聞いている側も「2回」「朝と夜?」や「1日に?」と、つい反応してしまいます。
 この流れを意図的につくることができれば、芸人のように話のコントロールができるようになるでしょう。

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Posted by ブクログ 2023年06月11日

なんとなく気づいていたが面白いヒト=頭の回転が速く気の利いた言葉を出せるヒト、は先天的な天才でなく絶え間なく繰り返した努力による後天的なスキルとのこと。
その努力を仕方、実際に芸人が鍛錬しているものを教えてくれる。
例えばつまらない会議では常に突っ込みを心で言いながら参加するとか。日常で使えるものば...続きを読むかりだから、努力すれば我々も気の利いたコメントを入れる一人になれるかも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月07日

お笑いの講師とあって面白い本だった。阪神巨人さんの体内時計はすごいと思った。
•頭の回転の速さは情報量に比例する。
•先延ばしグセは仕事の遅延だけでなく、考えるスピードにも影響してします。
•最初から正解が出るわけではないと割り切る。
•間をとって自分のペースを作る。見切り発車を防ぐこと。そして、話...続きを読むの流れをまとめる。
•返事をしながら考える。
•人生にリセットボタンはないけらど、スタートボタンは何度でも押せる。
•アドバイスは聞くものではなく、実行するもの。
•場を温めて空気を作る。
•経験を自分の引き出しとしてストックする。
•9:1の理論
•伝えたいキーワードは、丁寧に、ゆっくり、はっきり伝える。
•プロデューサー目線で、俯瞰的に自分を見る。
•コメントはベターとバットの2種類も用意しておく。
•5秒で目的、5秒で過程、5秒で結果
•考える時間を数文字で作る。

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

ビジネス書としては、参考になるところもあるしならないところもあるし、まあそれぞれが取り入れられるところを取り入れればいいんじゃないでしょうか、という感想だけど、お笑い好きとしては、筆者や芸人たちがいかに真摯に笑いに向き合い、準備と努力を怠らないかということがよく伝わってきて、一読の価値はちゃんとあり...続きを読むました。

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

手に取った時は、お笑いに使えるスキルだけだと思ったが、実際見てみるとビジネスに使えるスキルも沢山あり勉強になった。
普段テレビで見てる方達の実体験なども織り交ぜながら、書いていて面白かった。
『目に入る情報に興味を持つ』『内容の相槌』の2点は直ぐにでも実行していこうと思う。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

吉本芸人NSCの人気講師のオンライン記事形式で、手軽に講義の擬似体験ができる本。著者も仕事でもお笑い芸人の頭の回転や機転の効いた対応は役にたつとあったが、実践してみる価値のある内容が多かった。経験を自分の引き出しとストックする内容が特に響いた。自分の感想に加えて、相手に興味がありそうな情報を盛り込む...続きを読む事を実践しよう。

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Posted by ブクログ 2024年01月31日

良書。吉本興業で30年以上講師や作家を務める著者が、芸人を目指す人やビジネスマン向けに発想法を綴る。
著者が教え、育ててきた一流芸人の思考=具体を、ビジネスマン向けに抽象化。とてもわかりやすい言葉でありながら、再現性の高い内容になっている。
芸人が好きな方がより面白いが、知らなくても◎

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Posted by ブクログ 2024年01月25日

ボケは常識という土台があって初めて相手に伝わる言葉
考えに締め切りを設ける
同時進行で考えない
発想力=論理的に考えること
自信を持ちつつ自分を疑う
目でメッセージを伝える

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Posted by ブクログ 2023年07月22日

お笑い見るのが好きなこともあって読書がすこぶる捗った。
テレビで活躍するお笑い芸人を見る度にその頭の回転と切り返しの速さに感心していたが、本書を通して彼らの思考を知れた気がしている。
切り返しの良さはお笑いに限らず社会における様々な場面で必要とされているが、本書はそれを意識して執筆されていた。
定期...続きを読む的に読み返して、何ができるようになって何をこれから実践していくか見直したい。

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Posted by ブクログ 2023年07月16日

お笑い芸人がNGCで学ぶ切り返し方法47をまとめた本。具体的な方法は本に譲るとして、お笑い芸人侮るなかれ。人を笑わせるのは非常に難しいと感じていたものの、具体的なプロセスを本書で公開されたことで、人を笑わすのには頭が良く、さらに地道な努力が必要である事実が分かった。本当に尊敬する職業である。

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Posted by ブクログ 2023年05月25日

テレビで頭の回転が良いと感じる芸人はいるが、才能ではなく、訓練で身につけることができるという本。身につけるための道のりは険しい。。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月03日

相手を意識したわかりやすい伝え方、世間を知っておくべきという今に対応した考え方、共感を大切にした聴き方…お笑いと教育は繋がっていると感じた。

話の上手な先生は、長さに関わらず引き込まれていく。それはその人の話術であり、芸人さんが喋っていて面白いのと同じである。

頭の回転は情報量に比例する。
考え...続きを読むる時に締め切りを設ける。
話を復唱する、そうですねと言うなどして、0.5秒でも良いから考える時間をつくる。
考えていることは口に出す。
難しい話は例え話にする。
5文字の言葉に1秒〜1秒半使う。
緊張をエネルギーに変える。
専門性向上、平均値向上の2種類の準備がある。
5秒のブロックをつくる。

私の場合はまずゆっくり魔を起きながら話すことを意識したい。

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Posted by ブクログ 2023年03月27日

NSCで講師をしている本多正識による一冊。

文章は論理的で、芸人の名前もちょこちょこ出てくるので、読みやすいかった。

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Posted by ブクログ 2023年03月21日

結論として
すぐに実践できるトレーニングが満載で実用性の高い本だと認識しました。
本をよんで、自身に知識として蓄積させることや、自身の行動を変えたいと思っている方にお勧めです。
また内容としては頭のキレという表現をしていますが、ロジカルシンキング的な要素もありビジネスにおいても実用性をかんじます。

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Posted by ブクログ 2023年05月03日

吉本の芸人育成機関で講師をしている著者。
従来は「才能」と呼んでいた職能を、誰にでも学習可能なノウハウとしてまとめている。たしかに才能というものは存在するのだろうが、凡才にも学ぶ術はあるのだと教えてくれる。

<アンダーライン>
・能動的に反応できる頭になる➡強制的にほめる訓練
・常識を起点に非常識...続きを読むを作る➡常識を言い換える
・頭をアイドリング状態に保つ➡返事を「違和感センサー」にする
・予測するクセをつける➡予測は「観察」から始まる
・ハードはそのままソフトを変える➡「ハード」とは設定、「ソフト」はそのなかで使われる言葉
・緊張とは「理想の自分」と「現実の自分」のあいだのギャップを感じ、恐怖が頭をよぎった時に起きる➡余裕のある状態は、理想の自分になる道筋がはっきりと見えているとき
・「やらなくていいこと」を決めて思考をシンプルにする

★★★★★フリを効かせる
司会「Aさんはどんな性格なの?」
A 「きれいずきですね」
司会「たしかに清潔感があるものね」
A 「はい、おふろも二回はいってます」
司会「朝と夜?」
A 「春と秋」
司会「お彼岸か!」

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Posted by ブクログ 2023年12月08日

プライベートやビジネスでの会話の反応速度を上げたく購入。お笑い学校の講師だけあり具体的な方策が多数あった。ビジネスで応用できるかの具体例はないので一旦星3つ。試してみようと思う。

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Posted by ブクログ 2023年11月21日

頭の回転が速い芸人たちは、裏で努力している。
いろんなインプットに触れる。
どこで目立つか、自分の戦略をもつ。
ネタの準備をする。
話し方の技をもち、磨く。
など。

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Posted by ブクログ 2023年07月29日

人によっては基本的と感じるかも。
ただ、見方を変えれば、基本と思われるようなことをいかに徹底するか。

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Posted by ブクログ 2023年04月24日

一瞬で面白い回答や返しができる芸人の考え方について知りたくて買った本。

特に真新しいような内容はなかったが、

①自分の得意分野を認識すること
②未来を想定した前準備が大事であること
 (話のストック)
③100点を目指さずある程度これは達成したい。
 くらいの心持ちで挑むこと

等の大事なエッセ...続きを読むンスは再認識することができた。

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