感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
どちらかというとファンタジーの域になるのだろうけど、昭和四十年代の移りゆく時代の中でのそこに生きる人々の葛藤と、映画という失われつつある文化への郷愁とが交差して、リアリティを感じる。
不思議な作品でした。
京都の街を舞台にしていて、そこがまた良い。
喫茶店で長々とお話ししたい。
三谷、早苗さん、そしてとうの昔に亡くなった大部屋女優と恋に落ちる清家。
ストーリーは現実味がないはずなのになんだか懐かしい匂いのする青春の物語でした。
Posted by ブクログ
浅田先生の本で未読だったからとおもいてにとった。相変わらずののめり込ませ方で、不思議な世界へ、登場人物共々誘われてゆく。
笑わせながら泣かせるという手法がお得意の先生の作品、こちらは引き込ませておいてポンと時空空間へ投げ込む形のモノ。
Posted by ブクログ
もうすぐ読み終わるのだけど・・・。こんなに複雑な家族関係の中で生きたり恋愛したりの主人公が登場する小説を高校生のときに読むことができていたら、私の人生もずいぶんと変わっていたのでは?と思った。
清家の生い立ちを知ってみると、高校生の私が読んでいたら、
きっともっと内省的になれていたのでは、と反省した。
今は映画の知識があるからその部分をいっぱい楽しめたけど、
切ない恋愛小説でした。
そうだ、京都行こう。
Posted by ブクログ
日本映画の歴史を知ることができつつ、
映画愛に満ちた作品でした。
映画を愛して、
映画のためにすべてを犠牲にした女、
戦時中の映画館や、
映画の時代から
テレビの時代への移り変わる時の
哀愁など伝わってきます。
Posted by ブクログ
この作品は、語り手が過去を振り返って出来事を語るという形式をとっている。
ところがあまりに時代の空気をリアルに描いているので、奥付で出版年月日を確認してしまった。
2003年でした。
作品の舞台になっているのは昭和四十四年。かろうじて1960年代。
まだ学生運動が残っている頃。
そして、日本映画がテレビに押されて、どんどん衰退していった頃。
親友が、三十年前に死んだ女優に恋をして…だけならまだしも、付き合うとなると、これは相当怖い話だ。
思わず『牡丹灯籠』(有名な怪談)を想像してしまう私。
作品内でも『牡丹灯籠』の話は出てくる。
けれど、死んだ女優・伏見夕霞をよく知っていた、撮影所の倉庫番・辻老人や僕の下宿先のおばさんの語るゆったりとした京言葉や、親友の危機に対しても「それはそれとして」自分の恋に溺れていく僕の生活ぶりが挟み込まれることによって、死んだ女優と付き合う親友の、切羽詰まった状況が薄められてしまった。
もしかするとそれは、昭和四十四年の時間のスピードなのかもしれない。
だけど平成の今、それはあまりにもゆったりとしすぎて、作品に集中することができなかった。
“時代に抗ってはならない。逃避してはならない。そしてもちろん、傍観していてはならない。僕は人間の名誉にかけて、僕らの時代を幻想としてはならないと思った。”
その結論として彼女と別れることにする。
ここがよくわからない。
あまりに飛躍しすぎてしまって、置いてきぼりを食ってしまった。