あらすじ
イングランド、ウェールズ、北アイルランドとともに「イギリス」を構成するスコットランド。一七〇七年の合同法でイングランドと統合しグレートブリテン王国となったが、近年は独立を模索するなど、独自の歴史とナショナル・アイデンティティをもつ。ケルト文化、デイヴィッド・ヒュームやアダム・スミスに代表される啓蒙思想、「地酒」ウイスキー、ゴルフ、伝統衣装タータン・キルトなど多様なスコットランドを活写する。
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Posted by ブクログ
友人からプレゼントされ、最初は特別興味のなかったスコットランドが、実は世界中に学術的文化的影響を及ぼしたことを知り、スコットランドという地域に興味を抱かせてくれました。アイデンティティに触れた最後の部分は、普遍的テーマとして、日本人の我が身に置き換えて、いろいろと考えさせられました。
Posted by ブクログ
世界の中のイギリス、またイギリスの中のイングランドという視点で歴史を学んだことはあっても、スコットランドの視点について深く考えたことはなかった。本書は、スコットランドの歴史を概説するだけではなく、スコットランドの宗教、ナショナルアイデンティティ、啓蒙思想といった鍵となるポイントについての分析をも試みるものであり、特に途中(宗教の話あたり)からとても面白く感じた。
Posted by ブクログ
【かつて政治的・宗教的に熱意を注いでいたスコットランドは、グレートブリテンに組み込まれてもそうした自由・独立への熱意を忘れることなく、「思想」や「言論」というものに込めてその熱を放射しつづけていたのである】
独立に向けた動きで注目されるスコットランドの歴史を、教育や文学といった面も含めて紹介していく作品。スコットランドがどういったナラティブで独立を希求しているのか、そしてそれが同時に歴史的にも一筋縄ではいかない要求であることがよくわかりました。著者は、神奈川大学で教鞭を取る中村隆文。
本当にイギリスという国は興味が尽きない☆5つ
Posted by ブクログ
スコットランドでスコッチウイスキーが飲みたい!
ウイスキーに詳しくなく、スコットランドにも精通していない一読者に、そんな思いを抱かせてくれた本書。
イングランドによる実質的な支配を受けていた時代、生活の様々なことに制約を受ける中、密かに隠れて製造していたウイスキー。
彼らの文化と民族の誇りとして楽しまれていた密造酒が時のイギリス王にも嗜まれ...
スコットランドの歴史は、イングランドとの長い戦いの歴史でもあり、その歴史は現代まで続いている。
古代、ブリテン島と呼ばれた時代から現代に至るまで、ひたすらにスコットランドにスポットをあてた本書。
スコットランドというフィルターを通して見るイギリスもまた一興。
Posted by ブクログ
イギリスのことを知ってると思っても、そのほとんどはロンドンを中心としたイングランドのこと。あと若干の「スコッチウィスキー」「ネッシー」など断片的な知識だけ。読み始めると、イングランドに王朝ができるはるか前からの歴史、そしてイングランドとの政治的、宗教的なつば迫り合いの数々。アイルランドと手を組むか、フランスと手を組むか、イングランドと友好を保つか…。
スコットランドらしさ、というものがロバート・バーンズによるところが大きいこと、スコットランドと言えば、のタータンチェックのスカートの起源が意外と最近なこと、3世紀の悲願の末にスコットランド議会が生まれたこと…昔訪れたエディンバラの風景が蘇り、それらが持つ歴史を改めて感じて面白かったです。
Posted by ブクログ
スコットランドの歴史を廻るお話。イングランドと地元スコットランドの貴族に加えてキリスト教も関わって、色々とスコットランドの王様たちは生きていくのが大変だね。あのキルトの衣装は19世紀からで、昔は大きな布をマントみたいに巻いていたとか。ハイランドもので出てくるお話も、ちゃんと歴史を知ったうえで読むと分かってくるのですね。