【感想・ネタバレ】N/Aのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

N/Aってどういう意味か知らなかったのでググってみたら、「非該当」という意味らしい。
どの属性にも該当しない、記入なしの意味。

主人公のまどかは、周囲の人から様々な属性に当てはめられる。生理が来るのが嫌で炭水化物を抜くから「拒食症の子」、同性同士で付き合ってることがバレると「LGBTQの人」、付き合ってる人に別れ話をすると「同性愛者に向けられる世間の目に耐えられなくなったパートナー」、外見的に女子校では「王子役」。

その属性のどれもがまどか自身ではない。
まどかは、属性に当てはめられたまどかではなく、ただのまどかを知って、関わってくれて、「かけがえのない他人」になってくれる人を欲している。


勝手に相手をカテゴライズしてしまう事ってあるよなぁと思いながら読み進めた。
人から「女性だから○○」とか「ゆとり世代は○○」とか言われると、「は?勝手に一括りにしないでくれます?」って思うくせに、自分だって他人に対して同じようにカテゴライズして接してしまうこと、あるある。

印象的だったのは相手への配慮のためのカテゴライズについて。
自分と違う価値観だけど大切な相手を傷つけたくない時、当たり障りのない発言でやり過ごしてしまった経験は誰にでもあるんじゃないだろうか。


「どこかで聞いたことのある定型文のような言葉ばかりだった。全て『家族が病に伏せっている人』に向けた言葉で、オジロのためだけに生まれた言葉はどこにもなかった。文字を画面に打ち込むたびに自己検閲で消していく。
浮かんでは消える定型文は、状況を後退させずには済むけれど、それ以上前進させることもないように思えた。『おはよう』に『おはよう』と返すように、定型文ができるのは保守だけで、何の革命も起こせない。状況を変えられない。変えなくてはいけないのに。」(P103)


カテゴライズすると楽だし、効率的だし、不用意に人を傷つけるようなことも減るのかもしれない。
その結果当たり障りの無い上辺ばかりの人付き合いになって、孤独を感じる事もあるだろう。

先日読んだ金原ひとみのミーツ・ザ・ワールドを思い出しながら読んだ。
漠然と死にたい感情を持って生きているライに対して、ライを取り巻く歌舞伎町の面々の姿勢は、ライを「自殺願望のある人間」としてではなく、ただの「ライ」として関わっていたのかな。

N/Aは「現代の人間関係におけるカテゴライズのメリットとデメリットを描いた小説」だと感じた、なんて簡単に一言でまとめる事自体がカテゴライズなんだよなぁ。
人間関係って優しくて大変で面倒だ。

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

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LGBTQなど、性的嗜好には様々な名前があって、名前を付ける必要性ってあるのだろうか?と、最近ふと感じていたことを思い出した。ただ、何かにカテゴライズされる苦しみもあれば、名前を付けることで得られる安堵もあるなと、そんなことを思った。

何かにカテゴライズされた自分への言葉ではなく、自分自身への言葉が欲しい。拒食症の自分ではなく、同性愛者の自分ではなく、何者でもない自分。そんな自分を見て欲しい。

この作者の方が書く文章が好きだなと、純粋に感じた。繊細なこの文章の中に、どれだけの感情があるのだろうかと、私には読み取り切れていない何かがある気がして、この本に囚われているような自分がいる。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

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生理を止めたくてご飯を抜く主人公、という冒頭文に惹かれて購入。
何かの枠に当てはめられるのではなく、まどかとして扱われたい、そしてそれを愛してくれる人を探している主人公の話。
終わり方があまりにもあっさりしていて、え!もうおわり!ってなった。

心に残ったのは勝手にまどかの写真をSNSにあげてポエムと一緒に投稿していたパートナーの話。
なんだか自分に酔っていて気持ち悪いなと思った。

あと、ロリコンと言われたのを聞いていて、当てつけに嫌味を言う先生の話。
ロリコン言うなや、と返せばいいのに、違うところを攻撃するなんて大人げないなあと思った。

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2023年08月29日

Posted by ブクログ

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生理が嫌で、食べることを控えていたら「拒食症」と、
かけがいのない他人に出会いたくて女性と付き合ったら「LGBT」とカテゴライズされてしまい、
もやもやを抱えている主人公。

勝手にカテゴライズされて、慮られることを嫌がっていたのに、
友達に想定しなかった事態が起こると、何と声をかければいいか分からず、かけるべき言葉をネット検索したくなってしまう。

ただ、それは相手を傷つけたくない優しさも含まれていると思うのよね。
もちろん誰かのお墨付きが欲しいという、自己保身もあるだろうけど。

(話がずれちゃうけど、昔、食べることを強要するようなことを言われたり、
世界には食べられない人がいる云々説教された身としては
今回は的外れとはいえ、好ましい対応になってきている時代の変化が、本音では羨ましくもあった。)

カテゴリーにこだわると、当事者が見えなくなってしまうし、
同じ属性にいても望む対応は違うし、
相手のことをちゃんと知ろうとするのが良いのかな…?

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2023年07月24日

Posted by ブクログ

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すぐ読み終わった。漫画みたいに絵があった方が表情や視覚的な見せ方でテーマがより伝わるんじゃないかと思った。作者の文体があまり得意じゃないからかも。かけがえのない相手や型に嵌まらない独自の関係性を求めてしまう気持ちは理解できたが、受け身の姿勢じゃそりゃ上手くいかないよなと思った。性自認というテーマを生理を使ってあのラストで描くのは凄いと思った。自分が欲しかったものをあっさりうみちゃんは手に入れてて、しっぺ返しのような展開になってしまったのはなんとも言えない気持ちになったが、時には型に嵌まる柔軟性も必要ではないかといい勉強になった。嵌った後に自分だけの型に作り変えた方が順番的には楽なのかも。主人公がまだ高校生で未熟な時期であることを考慮すると、その先の幸せを手に入れるために必要な経験だったのかもしれない。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

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N/A = 該当なし

主人公のまどかは生理が嫌だ、
生理をとめたくてご飯を食べないところから始まる。
女性ならほとんどが“生理なんてなくなればいいのに”って思ったことあると思う。
でもそういう“普通”の感情さえ自分は異常なのではないかと思ってしまう。
本当にこの主人公は“普通”じゃないのか。
当なしなのか。

心に刺さる部分が多くありました。
LGBTQや女子高生、拒食症の娘をもつ母親の在り方、全部一般論に当てはめないと安心できない、その人個人を見ているわけではない言葉を一般的な言葉をかけたくないのにそれしか浮かばないもどかしさ、恋人ではないかけがえのない他人がほしい…

該当なしなんて人いないと私は思うけど。

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

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その人にその人だけの言葉を与えるなんて難しすぎるけど、属性を孕んだ瞬間にそれは自分に向けられた言葉ではないと感じるのはよくわかる気がした。嫌なものは嫌だという簡単なことだけが伝わらずカテゴライズされて多くのうちの1人になるなんてそんなの寂しすぎる
かけがえのない他人から自分だけの言葉が欲しいまどか 幸せに生きてね

最後に会ったうみちゃんはSNSでパートナーの話を甘ったるく呟くうみちゃんとは雰囲気が違って驚いたのだけど、うみちゃんもまどか用のうみちゃんを用意していたのかもしれないそうした方が好かれて楽だから、知らないけど

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2023年08月16日

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