【感想・ネタバレ】本屋という仕事のレビュー

あらすじ

本屋は焚き火である――本と人が集い、直接触れあえる場所、本屋。なぜ人は敢えて本屋をたずねるのか。書店員は仕事に何を求め、自分の個性をどう生かし、どんな仕事をつくっているのか。本屋という仕事から見える、新しい働き方の形。

▼本文「序」より
この企画をすすめるにあたり、最初、脳裏に浮かんだのが、定有堂書店の奈良さんの言葉でした。私が定有堂書店でお話を伺っていて印象的だったのは、「本屋は焚き火である」というお話でした。
一冊一冊の本には、それぞれ著者の熱がこめられていて、それがまるで焚き火のように読者を温めている。焚き火は暖かいからまわりに人が集まってきますが、みんなが火にあたりに来るだけではいつか消えてしまいます。でも、来る人がそれぞれ薪を一本ずつ置いていけば、火は燃えつづけることができるのだと奈良さんに教えていただきました。私たち本屋は本を並べることで、読者は本を買うことでお互いを支えつづけています。私は奈良さんの言葉を聞いて、はじめて自分の仕事を通して何か世の中の役に立っているのかもしれないと実感することができました。
私たちの生きている世界は、私たちが積み重ねてきた仕事の上に成り立っています。私たちが住む家も、着る服も、食事も、誰かの仕事の結果です。私たちは生きている時間の大半をそれぞれの仕事に費やしています。だから、良い仕事をすることは、より善く生きることと密接につながっています。私は本屋で働いているので本が中心ですが、本屋の仕事について改めてもっと深く知りたくなりました。尊敬する書店員の方たちは、なぜ本屋を選んだのか。働くことを通してどんな価値を生みだしてきたのか。本への愛憎。本棚の耕し方。お客様との対話。お店を成り立たせるためのマネジメントについて、書店員の先輩方にたずねてみることはきっと、ほかの職業にも通底する本質的な問いだと信じています。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

「欲しい本があって買う」という目的に照らせばネット通販などが適しているかもしれない。私自身も一時期ネットでいいや、と思っていた時期もあったが、やはり本屋に帰ってきている。
なんとなく本屋の雰囲気が好きなのもあるし、同じ本だったとしても本屋でなければ買わなかったであろう本もある。そういう上手く言い表せない本屋の魅力が言語化されている本だと感じた。

本屋が焚き火と同じで、火がある場所に色々な人たちが暖を取りに来る、そして薪をくべて行く場所、というのはとてもいい表現で、まさにそう!と思いながら読み進めていた。

私は本屋に対して客以外の立場であったことはないが、書店員の方や経営者の方がこういう風に考えて棚の構成を考えたり本を仕入れたりされているのだということが知れてよかった。あれだけ考え抜かれた本たちが集まる場所だからこそ、それぞれの書店で個性が生まれるのだとよくわかった。
祖父にお気に入りの本屋があり、あの本屋じゃなきゃダメなんだ、と歳を取っても通っていたことをふと思い出した。

著者の作品は二冊目だが、相変わらず素敵な装丁で丁寧に作られていることがよく伝わる。

0
2023年04月29日

Posted by ブクログ

各地で日々本を手渡し続ける人たち。
場を、棚を、その方法そのものを作り続け、実践し続ける。胸に留め置いておきたい言葉に出会えた。

0
2022年07月19日

Posted by ブクログ

書店員さんの話は興味深く魅力的。
家の近くにもいい本屋があったらいいのに。
そういえば独立系の書店で買った本は全部手放してない。出会い方って大事だし、覚えてるもんなんだなあ。


0
2024年04月03日

Posted by ブクログ

大きな書店には気軽に入れる。こだわりのありそうな小さな本屋に入るには、私の本好き程度では恐れ多いのではないかと思っていた私なりの感覚を払拭してくれる本。

本の中に出てくる各書店員には、出会いや縁づくりになりたいとの思いで本屋を開業している共通点があった。

そして、読者が本と出合うために、一冊一冊の魅力をより引き出す棚づくりという演出をしている。この棚づくりから漏れ出す書店員の思いを、棚の前に立ち、感じ取れたらどれだけおもしろいだろうか。

呑むこと、食べること、買うこと、そして子供達へ本の魅力を伝えるなど、本と出合うきっかけづくりは様々あるとして、現代にあったカタチで読書を広げ続けている。

出会いや縁づくりを思い、読書を広げ続けている本屋というものを知り、これから私も小さな本屋に入ってみようと思った。

0
2023年10月07日

Posted by ブクログ

名物書店員さん達でもこれだけ苦しんでる話を読んでしまうと、本屋やってみたいけど、厳しいんだろうな、と思ってしまう。

0
2023年01月03日

Posted by ブクログ

書評で知り、読んでみた。本を揃えるこだわりや、商売として売上を立てるやり方など、各者各様で参考になった。

一点物の古書店は、買いそうな常連の顔が浮かぶと聞いたことがあるが、買取書店も同じスタンスということを知った。

0
2022年11月05日

Posted by ブクログ

書店業が既にビジネスとしては成立せず、茶道や華道のような「道」になって来ているのがしんみりと悲しい。ですが、そうやって生き方としての本屋を模索している人々の姿を確認すると、それだけでホッとするし救われたような気がします。
本好きしか読まない本屋本。やはり好きだなあ。

0
2023年10月26日

「エッセイ・紀行」ランキング