【感想・ネタバレ】ただいま、お酒は出せません!のレビュー

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Posted by ブクログ

『「今日、東京の感染者が四千人を超えましたって。どうなっちゃうんでしょう」「四千人?」思わず訊き返してしまう。これでは、どこにウイルスがあってもおかしくないのではないか』。

2020年に突如世界を襲ったコロナ禍。このレビューを読んでくださっている方で、このコロナ禍と無縁だったという方はいないでしょう。学校に、仕事に、そして家庭に…と私たちはコロナ禍によって間違いなく人生の一時期を翻弄されました。しかもその期間は数週間、数ヶ月というものではなく、実に三年もの間におよびました。

これだけの長い時間影響を与え続けられる中には、望まぬ転職を余儀なくされた方もいらっしゃるかもしれません。特に飲食業に携っていらっしゃる方々は、行政の行き当たりばったりの指示によって右往左往させられることも多かったのだと思います。

 『この政策が、本当に効果的なのかなど分からない。ただ、私たちは従うしかない』。

そう、誰もがどうして良いか分からない中に、その場しのぎの思い付きとしか思えない指示に私たちの人生が左右された日々。過ぎ去ってみれば次第に笑い話にもなりつつある事ごとも、ただただ耐える他なかったのだと思います。

さてここに、そんなコロナ禍の中で苦難に喘ぐ飲食店で働く人たちに光を当てた物語があります。『頼りにしていたバイトたちは、ワクチンの副反応や、熱っぽいからという理由で欠勤者が続出した。けれど、私たちはそれを受け入れるしかない』という中に、『残された者で頑張る』姿を見るこの作品。そんなコロナ禍での接客に『これまで、お客様のためだと信じてきたことは、いったい何だったのだろうか』と思い悩む主人公の姿を見るこの作品。そしてそれは、コロナ禍に身を削られるような苦難の日々を送る中に『今ならば、どんな困難も乗り越えられるような気がする』と自分の心に問いかける主人公の姿を見る物語です。

『えっと、明日から店は休業です。しばらくの間、自宅で待機していてください』という店長の皆見圭吾(みなみ けいご)の言葉に固まってしまったのは主人公の鈴木六花(すずき りつか)。『茫然と立ち尽く』す立花に『さっき、総理大臣が会見したみたいですもんね…とうとう、緊急事態宣言が出たって』と『ベテランアルバイトの桐子』が話します。『首都圏の大型商業施設を中心に、ピザをメインとするカジュアルイタリアンを展開している』『株式会社マルコ』。その新宿店で『パート従業員』として働く立花は、『緊急事態とは、どんな事態なのか。日本は、東京は、マルコは、そして私の生活は、いったいどうなってしまうのだろう』と思います。『二月に国内で死者が確認され』、年度末に感染者が急増、そして、『四月、とうとう緊急事態宣言が出された』という今を思う立花は閉店作業を終えると『出入り口』に駆け出してきた『皆見と料理長』に話しかけます。『お店はこのままでいいの?…とにかく、急すぎるよ。何の説明もないし』と訊く立花に『明日、俺と料理長で片付ける。六花は心配するな』と返す皆見。それに、『私も手伝う!掃除だってしたほうがいいし…』と返す立花ですが、『…本社からは、極力人件費も削るように言われている。売上がない以上、人手を使うわけにはいかない』と言われてしまいます。『この状況で働かせて、スタッフに何かあれば、それも問題になる。今は自宅待機。そのための休業だ。分かるよな?』と畳み掛ける皆見に、『ごめん。困らせた。おとなしく自粛する』と言うと立花は場を後にしました。
場面は変わり、荒川の堤防の上を散歩する立花。『緊急事態宣言なるものが出されて一週間が経つ。それに伴い、私は仕事がなくなった』という立花は『絶対のものだと信じてきた』この仕事の『今後、飲食業界はいったいどうなってしまうのか』という不安の中にいました。そんな立花が皆見に電話をかけると『広尾店のヘルプ』をしていることを知ります。『私もヘルプに行きたい』と言う立花に『申し訳ないが、ヘルプは社員だけなんだ』と皆見は説明します。『そうだよね、やっぱり社員だよね』と電話を切った立花は『結婚を機に退職した』時のことを振り返ります。『結婚すれば、仕事よりも優先するものができる』と思い退職した立花ですが、『やっぱりマルコが好き』という先に『夕方まで働くパートという形』で働きはじめました。『純粋にのびのびと、大好きな接客に専念』できるパートの居心地の良さに満足してきた立花ですが、『これは、楽なほうに流されてしまった自分に与えられた罰なのだろうか』という今を思います。『山形で生まれ育ち』、『突然、故郷を飛び出して東京で就職した』立花は、『上京してから、頑張ってきたという自負』を持っています。『とにかく、早く仕事がしたくてたまらない。今の私にとって、マルコこそが唯一の居場所なのだ』と思う立花は、『いったい、何なのよ。ちょっと前まで、みんなあれだけ、マルコのピザが食べたいって行列を作っていたというのに!』と『広々とした河川敷』で『大声で叫』びます。突如世界を襲ったコロナ禍、そんなコロナ禍の中に、飲食店の『パート従業員』として鬱屈とした日々を送る立花の姿が描かれていきます。

“2020年からコロナ禍で分断された社会の中、もがきながらも光を探す希望の物語。30代でシングル、パートの女性が奮闘する新・お仕事小説”と内容紹介にうたわれるこの作品。『明日から店は休業です。しばらくの間、自宅で待機していてください』という店長の言葉の先に自宅休業を余儀なくされた、人気ピザ店で『パート従業員』として働く立花のそれからの姿が描かれています。

ここに改めて私が言うまでもなく2020年に突如世界を襲ったコロナ禍はあらゆる人の人生に何らかの影響をおよぼしました。そんなコロナ禍の始まりはこんな感じでした。

 ・『今年一月に、初めて日本国内で感染者が発見された新型コロナウイルスは、その頃の私たちにとってはまだまだ遠いものだった』。

 ・『二月に国内で死者が確認されると、にわかに様子が違ってきた』。

 ・『三月に入ると、本社から「勤務時にはマスクを着用すること」という通達が来て、花粉症の時期ですら煩わしかったマスクを着けて、接客に臨むことになった』。

 ・『四月、とうとう緊急事態宣言が出された』。

改めて振り返るとさまざまな記憶が蘇ります。あの始まりの時期にまさかそんな状況がそれから三年以上もの間、人々を苦しめ続けることになると予想していた方もいなかったと思います。しかし、そんな状況が当たり前となる中に私たちが読書の対象とする小説でもその日常を取り上げる作品が登場しました。私が読んできた小説の中で最も早くにコロナ禍を小説に描いたのはこの作品です。

 ・島本理生さん「2020年の恋人たち」(2020年11月20日刊): かなり早い時期に刊行された作品。” こんな2020年のオリンピックイヤーを誰が予想していただろう”という視点でコロナ禍を描きます。

コロナ禍が始まった年は本来オリンピックイヤーであり、そのことを前面に押し出し、コロナ禍の日常を現在進行形で描いた同作品には衝撃を受けました。そして、その後も相次いでコロナ禍を描く小説が登場しました。コロナ禍はあらゆる人の生活に影響をおよぼしましたが、中でも飲食店に関係される皆様の日常は大きな影響を受けたと思います。そんな飲食店の苦境を描いた作品としては、近藤史恵さん「それでも旅に出るカフェ」が挙げられます。コロナ禍で”カフェ・ルイーズ”を開けなくなった主人公の苦境を描く物語は、飲食店を個人経営することの苦労がしのばれます。一方で、この作品は個人経営ではなく、首都圏に展開する『カジュアルイタリアン』のチェーン店で働く主人公の視点、『パート従業員』という立場で働く人たちにコロナ禍はどのような影響をもたらしたかという視点でコロナ禍を鋭く描いていきます。私が読んできた小説の中にこの視点から描いた作品はなく、コロナ禍小説をたくさん読んできた身にもとても新鮮に映ります。では、主人公・立花の心の内を含め、飲食店側から見たコロナ禍を見てみましょう。

 『緊急事態宣言なるものが出されて一週間が経つ。それに伴い、私は仕事がなくなった』。

『飲食業界に就職すれば、けっして食いっぱぐれることはないと思っていた』という立花の日常に突如訪れた生活の危機がストレートに語られます。そんな『緊急事態宣言』の先に一旦感染が落ち着く中営業が再会します。しかし、そこにはコロナ禍以前とは異なる風景がありました。

 ・『今はマスクの着用が当たり前だ。マスク、アクリル板、お客様との間にはいくつものフィルターがある。本社の研修では必須だった笑顔も、これでは十分に伝わらない』。

 ・『店頭で手指のアルコール消毒と検温をしてもらうため、これまでのようにすんなりとテーブルに案内はできない。おまけに、お客様が帰った後のテーブルの片付けも、アルコール消毒が加わった分だけ手間取ってしまう』。

開店できてもコロナ禍に対応しなければならない飲食店の皆さんの大変な苦労がしのばれます。そして、書名にも繋がるこんなやりとりもそこには発生します。

 『お客様、先ほどもお聞きかと思いますが、東京都では終日、アルコールの提供は禁じられております』
 『レストランなのに、ワインも出せないって、それが客に対する態度かよ』
『と言われ、申し訳ありませんと頭を下げる。頭を下げながら、なぜ私が謝るのだと理不尽な怒りがこみ上げる』。

『東京都では、アルコールの提供が禁止』というまさかの状況の中に混乱する店内。当然にそのこと自体は店員さんに何ら罪はありません。そもそも報道をろくに見もせず無視難題を突きつける客がとんでもない輩であることは言うまでもありません。しかし、この辺り、イメージはできても実際の現場の混乱ぶりは全くもって知らない世界でした。行政が行き当たりばったりで決めたその場しのぎの指示に対して、現場で向き合わざるを得ないのは間違いなく飲食店であり、そこには想像を絶するような苦労があったのだろうと思います。

 『この政策が、本当に効果的なのかなど分からない。ただ、私たちは従うしかない。そうしなければ、店を開けることもできないのだ。そんな犠牲を差し出してまで、店を開かせてもらっているともいえる』。

行政だってどうしたら良いか何もわからなかったというのが実際のところだったのだとは思います。しかし、結果として、その右往左往ぶりを末端で引き受けざるを得なかった飲食業に関わる方たちの苦難は言葉にならないものがあります。その他、コロナ禍でお店を営業する中での苦労の数々、『気難しいお客様』への対応などなど、改めて頭が下がる他ない舞台裏を見るにつけ、こんな愚かな時代が終わって本当に良かったと改めて思いました。

そんなこの作品ですが、『ピザをメインとするカジュアルイタリアン』のお店が舞台となることもあって、そんなお店の”食”も取り上げられていきます。そうです。コロナ禍だけでは辟易という読者がホッと一息つけるのがこの描写です。長月天音さんには、人気シリーズである「神楽坂スパイス・ボックス」があります。そこでも、美味しそうな”食”の描写に魅せられましたが、この作品ではそんな長月さんの”食”の描写が見どころの一つとも言えます。では、『ずっとここのピザが食べたくてたまらなかったんです』と訪れた客がオーダーした『シーフードピザ』の場面を見てみましょう。

 『仕込んだピザ生地は、一枚分ずつ丸められてスタンバイされている。オーダーが入るたびに、発酵してふくらんだ生地をつぶしすぎないよう手のひらで伸ばし、ソースを塗り、チーズと具材をトッピングして、素早くパドルで薪窯の中に入れる』。

『薪窯』の中で『ピザ』が焼かれる光景は『ピザ』店の見せ場の一つです。『高音で一気に焼き上げた、薄焼きのピザがマルコの自慢』という『店内には、いつも香ばしい香りが漂ってい』ます。これはたまりません。立花は急いでテーブルへと運びます。

 『チーズがふつふつと踊っている。まさに焼きたてだ』、『波打つように盛り上がったピザの縁』、『適度に焦げ目のついた生地から漂う香ばしい香りは、どこか焼きたてのお餅をも連想させる』。

これはたまらなく美味しそうです。そして、そんな『ピザ』を食べる客はこんなことを話します。

 『僕はね、ピザの縁の部分が大好きなんです。表面はまるで煎餅みたいにカリっとしているのに、嚙みしめると意外と弾力がある。わずかな煤の風味もたまらなくて、小麦の美味しさをダイレクトに感じるんですよ』。

『僕は縁こそがナポリピザの神髄だと思う』と言う客は『マルコのピザはやっぱり最高です』と満足感いっぱいに語ります。なんだかピザが無性に食べたくなってきますが、コロナ禍の最中にはお店でこのように自由に食すること自体が憚られました。改めて、食べたいものを食べたいお店で食べることができるようになった日常には感謝したいと思います。

そんなこの作品は、飲食店の『パート従業員』として働いていた主人公の立花が、コロナ禍の中に苦悩する姿を描いていきます。『山形で生まれ育ち』、『突然、故郷を飛び出して東京で就職した』立花。『上京してから、頑張ってきたという自負』を持っていた立花ですが、『結婚を機に退職し』、『パート従業員』として働いています。

 『パートという立場は、思った以上に居心地がよかった。本社のスタッフに振り回されたり、細かい数字をとやかく言われたりすることもない。純粋にのびのびと、大好きな接客に専念することができた』。

結婚したことを理由に退職される方は減っていると思いますが、この作品の主人公の立花は、結婚を機に退職、しかし、『大好きな接客に専念』できることを喜びに感じながら、『パート』として引き続きマルコに勤務し続けます。やがて離婚した立花ですが、正社員に戻ることはありませんでした。そんな中に訪れたコロナ禍は『会社が行き詰まれば、パートの私の立場が危ういのは間違いない』という立場に追い込まれてしまいます。

 『これは、楽なほうに流されてしまった自分に与えられた罰なのだろうか』

そんな風にも思う立花は、『けっきょく私はパート従業員に過ぎない』と認識する中、どんどん卑屈になっていってしまいます。

 『とにかく、早く仕事がしたくてたまらない。今の私にとって、マルコこそが唯一の居場所なのだ』。

そんな風に思いを強めていく立花。この作品ではそんな立花の日常がコロナの”第○波”にも影響を受けながら描かれていきます。この作品は、兎にも角にもコロナ禍自体をテーマに描いていく物語です。〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた五つの短編が連作短編を構成していますが、なんとその短編タイトルが〈最初の波〉、〈第二の波〉、〈第三の波〉、〈第四の波〉、そして〈たぶん、最後の波?〉とつけられてもいるのです。コロナ禍なくしては物語が成立しない作品は他にもありますが、この作品のコロナ禍の取り上げられ方はもう物語と完全に一体化しているというレベルであり、切っても切り離せないものです。しかもそれは、飲食店業界というコロナ禍に最も影響を受けた側が描かれる物語でもあります。この先、コロナ禍とはなんだったのか?この作品は、コロナ禍の過去の振り返り教材のように、へぇーっ!と昔話のように読まれる作品になるのではないか、そんな風にも思いました。

そして、そんな物語はマルコの苦難の日々を描いていきます。

 『これまで、お客様のためだと信じてきたことは、いったい何だったのだろうか。今の私は、どっいうふうに接することが正解なのか、さっぱり分からなくなってしまっていた』。

一年、二年、そして…と終わることなく続くコロナ禍。そんな中に、それまで培ってきたマルコの従業員としてのあるべき姿、誇りが見えなくなっていく立花。終わっても終わっても押し寄せる『波』に翻弄されていく立花たちの姿はコロナ禍の中にあっては誰もが他人事ではありませんでした。しかし、それでも前に進んで行かざるを得ない私たちの日常。

 『コロナ禍を経験し、人々の考えや価値観が変わったのは確かだ。それに、今ならば、どんな困難も乗り越えられるような気がする』。

そんな言葉の先に続く未来。この作品の刊行は2022年4月21日です。私たちは、この作品に描かれた立花たちの苦難がそれからまだ一年以上も続くことを知っています。しかし、上記した言葉にある通り、どんな苦難にあっても人はそれを乗り越えていくことができるのです。この作品を通じて、改めて人間の強さと、そこに潜在する可能性を強く感じました。

 『緊急事態宣言下の現在、外で食事をすることに誰もが後ろめたさを感じている』。

2020年に突如世界を襲ったコロナ禍。この作品では、そんなコロナ禍自体に鋭く焦点を当て、そんな未曾有の事態の中に、飲食店で働く人たちの姿が描かれていました。コロナ禍の歴史を振り返るように細やかに描くこの作品。そんなコロナ禍で働く飲食店の人たちの”お仕事小説”でもあるこの作品。

コロナ禍が歴史に埋もれてしまう前に、私たちそれぞれがあの時代を是非もう一度振り返るために。さまざまなことを考えさせてもくれた素晴らしい作品だと思いました。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

 現在進行形の出来事なのに、本当にもう第一波当時のことが曖昧になっている。
 追い込まれた時に、希望をどうやって持っていくのか。もがき続ける答えの無さに、どれくらい耐えられるのか。

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2022年11月21日

Posted by ブクログ

コロナ禍での飲食店の苦悩を描いた作品、お酒に罪はないと思います。あなたはどう思いますか?読んでその答えを探してください。

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2022年12月28日

Posted by ブクログ

コロナに翻弄される飲食業界はこんな感じだったのか、と思った。
特に東京は大変だっただろうな。
働きたい思いが強すぎて、一週間の休みすら楽しめない主人公が少し暑苦しかったけど、本の中に出てくるピザが本当においしそうだった。

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2022年09月18日

Posted by ブクログ

サービス業のため共感できるところは多かった。
最近のことながらコロナ禍の最初は不安でいっぱいだったのを思い出しました。
主人公が少し苦手なタイプだったので感情移入できなかったかな。

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2023年09月02日

Posted by ブクログ

コロナ禍の飲食店はどこもこんな感じだったんだろうと思い、本当に大変だっただろうと今は過去を振り返られる。今後もウイルスの脅威は常にそばにあるけど人はそれに対抗する策を考えられるとわかった。飲食店の接客業はバイトでも経験できる仕事だと思うけど正社員で働くということはその仕事が好きだからに違いないと思う。仕事を選ぶ時は適性と情熱があれば邁進できるものなのかな。現実は職場環境というものが重要と思うけれど。

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2023年08月20日

Posted by ブクログ


コロナ禍初期、2020年4月、最初の緊急事態宣言が発令された月。
コロナ禍での飲食店の物語。物語はここから始まる。

新宿の商業ビルに入るテナントのイタリアン。

思い返せば、時短営業、アルコール提供の禁止、アルコール提供の時間制限。効果があったのか否かは不明だ。

あの時期は飲食業に限らず、あらゆる業種が窮地に立たされていた。
「不要不急の外出」を免罪符に自粛警察やら、世の中が殺伐とする。

コロナがもたらした唯一とも言えるポジティブなものは、人との繋がりの大切さを改めて実感させてくれたことくらいだろうか。

前向きな一冊のはずなんだが、あの頃を思い出すと、やるせない気持ちの方が胸奥に燻る。

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2023年06月21日

Posted by ブクログ

コロナ禍でピンチになるイタリアンレストランで働く女性が主人公の物語。美味しい料理とスタッフのおもてなしでお客様に喜んでもらうのが何よりの働きがいだと思う主人公。コロナで飲食業界は打撃を受ける。ソーシャルディスタンスが求められ、これまでのような人と人との繋がりを大事にしたサービスはもう不要なものなのか?悩みながらも前向きな人々が眩しいストーリーだが、、、ちょっと出来過ぎ?と思ってしまうところもあるが、これがリアルな業界の姿なのだろうか??

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2022年08月03日

Posted by ブクログ

なんだろう、キャラ設定?台詞回し?がなんとなーく違和感あって、男の人(主人公と異性)が書いてるのかな?と思ったけど違った。なんか違和感あるんだよなー…。
でもコロナ禍、特に流行り出し〜1年くらいは本当に周りの人のこと考える余裕なんてなくて、ただただストレスだらけで、ようやくあの時の他の人のことを考えられるようになったな。早く身近な人達と実際に会って、「出来ればお酒でもだらだら飲みながら)あの時つらかったよね〜なんて話したい。

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2022年06月28日

Posted by ブクログ

レストランで働く主人公がコロナ禍に直面した時の体験を描く時勢小説。
ここ数年の苦しい抑圧された感情が詰まっていてとてもリアル。飲食業ではないですが、お気に入りのお店に気を付けつつもひっそりと通った日々を思い出しました。
これから少しでも情勢が良い方向に向かいますように。

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2022年04月24日

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