あらすじ
その歴史と意義が2時間でわかる、著者初の総合的な入門書。
学校で習った「男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会基本法」。これらは、真の男女平等を実現するものではなかった? 女性参政権、性的役割の解放、#MeToo……。フェミニズムはなぜ生まれ、何を変え、変えられなかったのか。その流れを「四つの波」に分けてコンパクトに解説する。
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Posted by ブクログ
第一波から第四派までのフェミニズムの展開、女性学の誕生とジェンダー研究への転換が時系列でコンパクトにまとめられていてとても良かった。第二派世代で女性学の創成期から中心にいた著者独自の見方も随所に反映されていて、単なる概説書ではない。
一例を挙げれば、上野はジェンダー研究が女性学から出てきたことを強調し、男性研究者には男性性の解明に取り組めという。ジェンダー研究とはあくまで女と男、それぞれの当事者研究なのである。その点、竹村和子の『フェミニズム 』とはだいぶ趣が異なる。こちらも近く再読したい。
もう一つ勉強になったのは、「ケアとは非暴力を学ぶ実践」であるという捉え方。ケアする側とされる側は非対称な権力関係にあり、する側は常にそれを濫用する誘惑にさらされている。したがって、それを抑制することを通して、非暴力を学ぶ実践がケアなのだという。
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2時間で読める(我が国の)フェミニズム入門。非常にスッキリとまとまっており、世界と日本のフェミニズムの違いや流れなどが分かる。特に第二波フェミニズム(リブ)が社会運動の内側にあった性差別から生まれたことは忘れてはいけないだろう。最後に東大での祝辞を元にフェミニズムがケアの問題とからみ、弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想であると、多様性の尊重に進む考えとなっているまとめが圧巻であった。
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男女雇用機会均等法、1期生。
40年を経た今、1985年が
「女性の分断元年」
であったという記述に、やっぱり、と感じた。
分断され、利害が一致しない。
「紳士服仕立て」の服を着て、わきまえながらも上り詰めた人たちが、子どもがいてもいなくても、どんなバトンを次世代に渡せるか
自分はもう非正規だけど、しっかり見つめ続けたい。
中学校の教科書に!
何故、学ぶのか、漫画を読むだけではダメなのか
を知るために。
(「道徳」より響く。家庭が具体例の宝庫だから。)
東京都写真美術館のミュージアムショップで、大切にカバーをかけられて置かれていなければ、手に取る機会がなかったかもしれない1冊。
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ーーとりわけ男性は自分の尺度でフェミニズムを理解しがちです。「男児平等?そうか、キミたちはボクらみたいになりたいんだね。それじゃ、女を捨ててかかってこい!」……これが「機会均等」のルールです。(p.113)
ここを読んで、胸のつかえがスッと取れた気がした。今まで自分が何に足を引っ張られていたのかがよく分かった。
「男勝り」を求める思想は「弱さ嫌悪」とセットで、その根っこは父性原理至上主義的なニッポンの働き方にある。
結局、「働き方改革」とかなんとか言うけど、一番にメスを入れなきゃいけないのはここなんだと思う。
オッサンへの忖度よ、さらば。
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上野千鶴子さんの文章はとても好きだなぁと感じます。
淡々とロジカルに、時に皮肉さを込めて
語られるフェミニズムの歩みは
教科書の行間に隠された物語でした。
サラッと読める、とは言わないけれど
著者の冷静な言葉にこもる熱い息遣いを感じられて
本当に良い読書時間だった。
痛みも伴うけれど、知らなきゃいけない。考えなきゃいけない。繋いでいかなきゃいけない。
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フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。
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過去にこんなふうに戦ってくれた女性がいるから今があるのだと思った。また、祖母、母世代が耐え、「子供にはこんな思いをさせないよう」という気持ちも働いたのだと思う。(逆に「私はこうだったのだから」と押し付ける人もいるにはいるが)
「個人的なことは政治的である」子供のお迎えがあるから、家事があるから、フルに仕事をすることができないのは家庭の問題ではなく、そうせざるを得ない社会に問題がある。ハッとさせられた。この言葉は男性にも当てはめられる言葉だと思う。稼げない、稼がない男性は弱者になりがちな社会。男女ともに性別役割分担のない世の中になればいいと願う。
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上野千鶴子の著作を読む度に思う。Twitterに生息するアンフェ、すなわちフェミニズム/フェミニスト、物言う女性の事が大嫌いな連中はTwitterに書き殴られたゴミ同然の140文字の女性呪詛の駄文を追っかけている暇があるなら上野の本を1冊でも2冊でも読んだ方が良い。いくら内容に賛同できなかろうが反感を覚えようが、確固たる決意と思想と経験に裏付けされた文章はTwitterのTLに流れてくる文字列とは全く比べ物にならぬほどの強烈な学びを与えてくれる。
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本文抜粋
人は弱者として生まれ、弱者として死んでいきます。強者である期間は、人生の間で一時のことにすぎません。弱者に強者になれと要求したり、強者に抵抗することを要求したりできるでしょうか。それができないからこそ弱者は弱者なのです。だからといって差別されたり抑圧されたりする理由はありません。弱者が弱者のままで尊重されることを求めて当然でしょう。フェミニズムは、同じである権利を求めるものではなく、ちがっていても差別されない権利を求める思想と実践なのです。
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ネットなんかではよく聞くフェミニズムについて歴史を中心に書かれた本。フェミニズムの考え方は昔からあり、今でも世の中を変えようとしている。物事を正しく理解することは大切。フェミニズムを知らない人に。
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流行り廃りの問題でなく、そこにある事実として捉えるべきフェミニズム。その一人者の手になる本書となると、興味を惹かれない訳に行かない。以下に気になった内容を引いておく。
・フェミニズム以前に前景化していた人種差別や階級差別があり、そのせいで、性別による差別に目が向きにくかった歴史。
・輸入品ではないウーマンリブ:新左翼運動で男性に失望した女性活動家から声が上がったもので、欧米のものとは本質を異にする。
・女性学の最大功績は、「問題は女の側にあるのでなく、社会の側にある」とした点。
・弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想。そうでないと、男性を目指すのが正解になってしまう。
男性の身からすると、ともすると勘違いしがちな部分だけに、身体化するまで繰り返し思い起こす作業が必要。
Posted by ブクログ
フェミニズムの歴史について、とても分かりやすかった。また自分がどこからフェミニズムに関わってきたのかが分かったのも興味深かった。
毎日社会に絶望しがちだけど、先人達の活動は確かに成果をあげているんだと勇気づけられた。
自分が生きているうちには、ほんの少しの変化しかないのかもしれないけど、絶望にめげずに、希望を持って声を上げ続けようと思った。
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フェミニズムが辿ってきた変遷を、簡潔に学ぶことができる一冊。
具体的には、19世紀末〜20世紀初めの第一波フェミニズムに始まり、第二波、第三波、そして現在の状況が第四波フェミニズムとなるのか、というところまで順を追ってカバーしている。
何も疑問を持たずにいた「男女雇用機会均等法」も、成立の時まで辿れば「女性運動の敗北」だったということには驚き。
フェミニズムについて概要を学びたくて手に取った本書。
短時間でさっと学ぶことができ、ありがたかった。
この出版社の「わかりやすく、簡単に」という縛りがあると思うので仕方ないが、参考文献や注釈がなく、上野先生のみの視点から書かれている記述が多いなと感じた。
セカンドオピニオン的に、別の人が書いた同じテーマの本も読んでみようと思う。
【関連図書】
『「女縁」を生きた女たち』上野千鶴子/著(岩波現代文庫)
『新しい女性の創造』ベティ・フリーダン/著(大和書房)
Posted by ブクログ
第一波〜四波までのフェミニズム史が、わかりやすく説明されてる。専門的な主義思想が分かりやすく解説されてるので、特に解説を調べることなく楽しんで読めた
著者上野さんも関わっているフェミニズムの総合サイトやその芸術表現を紹介するなど、関心を広げるのにももってこいの書籍
浅草、田原町駅周辺の 「readin’ writin’ 」という本屋で出会った本 また行きたい
Posted by ブクログ
フェミニズムの進展の歴史と、上野の個人史を重ね合わせ、かつ、コンパクトのまとめた好企画。「弱者が弱者のままで尊重されることを求めて当然」「ちがっていても差別されない権利を求める思想と実践」で結ばれているのは、感動的でさえある。
Posted by ブクログ
自分事として分かりやすかった。
歴史の中で、たくさんの女性たちが悔しい思いをしてきて、でもその人たちが闘ってくれたから、いまの少しはマシな日本の女性への姿勢があるんだな。
ただ、過去よりマシなだけで、現在も全っっっ然尊重されてはいない。
同じ女でもセクハラを正当化するような気が狂った人間はまだまだいるし、男もわたしたちを便所として扱う気狂いがまだまだたくさん蔓延ってる。
女だから、で判断されない世界になれ。
弱者が弱者のままでいて、暴力に曝されない世界なれ。
Posted by ブクログ
ママは、ままならない
だから
ままならない人に寄り添う
ままならない者どうしで繋がる
ままならない人の痛みを思って泣く
ままならない人が
こんなにいたのかと気づく
我が子が生きる社会が
少しでも良いものであって欲しいと願う
ママは、ままなる社会を望む
Posted by ブクログ
フェミニズムやフェミニストという言葉はなぜか良いイメージで使われることが少ないように思えて、フェミニズムとは何ぞや?という所から本書を手に取る。男女雇用機会均等法のくだりなどから、自分の中にあるアンコンシャス・バイアスに気づかされる。弱者を弱者のまま尊重することがフェミニズムだという。本書をきっかけに深掘りした本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
フェミニズム入門には読みやすかったです。
当然のことだけど後半に上野千鶴子さんの政治観が入り、具体的な政治家の実名が出ていました。その辺りのリテラシーや考える力がある人が読んで欲しいなぁと思いました。