【感想・ネタバレ】虐待・ＤＶ・性差別・災害等から市民を守る社会的弱者にしない自治体法務のレビュー

鈴木秀洋

[ブクログ · ★★★★☆]

本書は、文京区職員として法務、ジェンダー、危機管理、児童福祉等の実務に携わり、現在は研究者に転身している著者による、個々人の安全安心の保障をテーマとした、個々人の権利利益の向上のための自治体危機管理法務（マネジメント）についての学術書であり、実務書である。具体的には、児童虐待、ストーカー、配偶者暴力・DV、ジェンダー、性暴力・性被害、SOGI・LGBTQ対応、高齢者・障害者虐待、共生社会、災害対応、地域の安全・安心というテーマを取り上げている。
本書からは、著者の（社会モデルにおける）社会的弱者の生命をはじめとする人権を守りたいという熱い思いが伝わってくる。著者自身の実務経験もふんだんに反映されており、こうした分野の実務に携わる公務員にとってもとても参考になる内容である。
ただ、学術書としては、性格の異なる論考の寄せ集めという感は否めず、あまり体系性は感じられなかった。