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Posted by ブクログ
このシリーズの良さはなんといっても、自己評価低めでありながら、なぜか周囲には評価されてしまうというギャップがある主人公・樋口の魅力に尽きるでしょう。警察という組織における上司や部下との関係を適切に保ちつつも、正しいと信じた道をひとり静かに歩んでいく、そんな力強さを感じるキャラクターはとても魅力的です。本作で秋葉議員が久々に樋口と面会した際に指摘した「静かなエネルギーに満ちて」いる、という表現は的確でした。
そんな樋口が本作では、新聞記者からもたらされた情報がきっかけとなって、所轄が自殺として処理した事件をひそかに洗いなおすことに。部下との別働ということで、人手は不足、所轄からは敵視され、また同時期に発生した殺人事件で捜査本部が設置されているさなかの別働であることに理事官から厳しい指摘をうけ…。
四面楚歌ともいえる状況にあり、自信なさげに捜査をつづける樋口の姿は等身大の人物として描かれていて、なんだかとても身近に感じられます。窮地に立たされながらも最後まであきらめずに真実を追う姿は、多くの読者が当てはまるであろう平凡な人間をも勇気づけてくれるストーリーであり、樋口顕という人物の魅力を最大限に引き出していた内容であったと思います。
「どんなときにも必ず味方がいる」という秋葉議員の言葉もいいですね、さすが政治家、人物をみる目や世の中の”理”に通じていらっしゃる。ちょい役ではありましたが、彼の樋口評やセリフはとても大きな意味を持っていたように思います。
Posted by ブクログ
揉め事、人との言い争いが嫌いで気が弱いと自己分析している樋口刑事。とあることから、自殺と判断された他所の事案について、掘りなおすことに。初めは千住署や遺族に気兼ねをしていたが、納得できない点が出てきたことから追及すると大反発に遭う。自分ならダメージをくらうが、樋口刑事は冷静な心で、淡々と、相手が嫌がるからと引くことなく、やるべきことをやっている。変に相手に迎合するクセがあるので、そういう姿勢を見習いたい。時を置いて再読したい。
「記者に言われたからここにやってきた訳ではありません。記者の言葉はきっかけにすぎないのです」
「刑事に嘘をつくと後でたいへんなことになりますよ」(すると、相手の目が泳ぐ)と相手にプレッシャーをかけ、あっさりと引き上げる駆け引き。「人が隠し事をするのは、自分の不利益になるときか誰かを庇っている時だ。不利益になるというのは怯えているということ。今頃話さなかったことを後悔しているはずだ。恐れるものが増えたんだからな」