【感想・ネタバレ】ロング・アフタヌーンのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

題材、設定、構成がとても好き

一気読み。個人的ヒット

出版社勤務
本を愛してやまない
生き悩む女性たちが主人公
男性性への疑問、人間の課題の根源
彼らに都合良く作られた社会構造

親友への思慕
人生の選択、自分で選び取ってきたこと自体の大切さ
『それぞれの選択は思い描いた通りの結果を招かなかったかもしれない、でも、その場その場では切実に選んできたじゃないか。』

自分の記憶を整理しているはずの夢、支離滅裂だったり悲しかったり幸せだったりアンコントローラブルなもう一つの世界

親友自体がつくりあげられた物語だったとは…。
『私たちの物語の始まりだけを切り取った夢。
私たちは何度でも出会い、何度でも親友になれる』
号泣

フィクションの中に、これは自分のことだ、と
心の底から思える言葉がある 文章がある
『これは私の物語だ
フィクションに触れた時時折訪れる、奇跡のような感覚』

物語の力が魂を掴み、この世界に押しとどめる
それくらいの力が、本には、確かにある。
たくさんの世界に出会いたい
本を読まない人生なんて、考えられない。
そう改めて思わせてくれる本だった。

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2024年04月26日

Posted by ブクログ

出版社の小説部門で働いていた主人公。その時に小説を投稿してきた女性が、7年の月日を得て、再び主人公に小説を送るところから物語は始まります。

その物語もとても興味深いというか、特殊というか。(なんでデビューさせなかったの?と言うぐらい、印象に残ります)

テーマは、愛に負けるな!じゃないかなと思います。

愛とは、いいものばかりではなく、押し付けがましい愛もあり。そんな愛に負けるな!ということなのかな?と思います。(この作家さん、テーマも分かりやすくて好きです)

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2023年12月29日

Posted by ブクログ

編集者の梨帆に届いたのは、七年前に新人賞の最終候補に残ったものの、落選した志村多恵による新たな小説だった。「長い午後」というタイトルのその小説に、梨帆は引き込まれていく。そしてこの小説は事実を描いたものではないのか、という疑念が強まるなか、小説の主人公は大きな決断をすることになる。本好きは特に必読かもしれないミステリです。
「長い午後」の主人公も、そして梨帆も自らの人生の選択に悩んでいます。いや、そもそも一度も悩まない人なんてないし、そのあとで「あの選択は正しかったのか」と後悔してしまうこともありがちなのでしょう。現状に満足できなくても、これで良かったのだと、自分は幸せなのだと自分自身に言い聞かせる……多少なりともそうして生きている人がほとんどなのじゃないのかなあ。そしてそのことに気づかず、自覚していない人の方が実は幸せなのかもしれません。だけど気づいてしまったら……そりゃもう戻れませんよね。自分に当てはめてみると、少しぞくっとしました。深く考えないようにしよう(苦笑)。
出版を巡る状況も本好きにとっては興味深く、そして少し切ないところがあります。良い本と売れる本は違うとか、良い本でなくても売れる本がなくては出版が立ち行かないとか。それでも熱意のある書き手と編集者がいてくれることは、本好きにはとても心強いことです。
ミステリ部分に関しては、終盤に至ってからの展開なのであまり触れないことにしますが。ぞくりとさせられると同時に、どこかしら清々しくも思えてしまいました。そう思えた時点で、読者ももう「共犯者」になってしまっているのかも。

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2023年12月17日

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ネタバレ

女の午後は長いというけれど、
で始まる7年前に新人賞で落選してしまった志村多恵から突然届いた原稿。

ミステリーのような、シスターフッドのような、絶妙なバランスと素晴らしいストーリー構成。面白い!どんどん先読みたくなる。

今回は社会派なストーリーではない。

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2023年10月27日

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本作には物語を書く女と編集者の女が登場する。編集者の女は次第に彼女の書く物語に魅了されていく。
本作はとても意地が悪い。書き出しからして男性への嫌悪が剥き出しになっている。男性優位の社会で打ちひしがれ、認められなかった女の怨念のようなものを強く感じた。
長い午後、というタイトルがとても良い。作中作と現実を行き来する果てに見えてくるものとは。じわりじわりと泥に溺れるが如く浸りたい一冊だ。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

冒頭の挿入小説も不気味でしたが、タイトルにもなっている小説を読み進むにつれますます気味悪さが膨らみ、ページを捲る手が止まらなくなりました。もう1人の主人公の編集者はもうひとつイメージがピンとこない感じでしたが、ストーリーや構成は文句なしでした。予想を裏切るエンディングにもまた私は好感を持ちました。葉真中さんの本は4作目ですが、今のところ全て凄い作品ばかり。次も期待です。

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

編集者の元に、1人の小説家志望の主婦から原稿が送られてくる。
最初はその原稿からで始まるんだけど、その小説自体も切り口がすごくて唖然とした。
これは小説にしかできない表現で、呪いを解いていく女の話で、もうなんか言葉にできない。

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2023年06月27日

Posted by ブクログ

ものすごく良かった!!
葉真中さん、これで7作目ですが、最初に読んで驚いた「絶叫」と同じくらい、今作は面白かったです。

作中作である、志村多恵の作品が占める割合も多いのだが…特に冒頭の『犬を飼う』という作品にはビックリ!(何じゃこりゃ!レベル)しかし、ここでの過激さに引いてしまわずに、続きを読んで欲しいお話です。深いのですよ〜、ここからが。

「女の午後は長いというけれど…」
という文がある。人生80年を1日に例えたら、私なんて18時くらいになるので(^^;; もはや午後でもなく夕方。それこそ、今日はどんな日だったかしらん、と振り返るが如く、若い頃からの自分の人生の分岐点とか、喜びも後悔も、いーっぱい考えてしまいます。

そんな気分もあり、んもう!夢中で読みました。途中で、
「あれ?葉真中さんって男性だったよね?」と確認したくらい、今作は女性の目線が秀でている気がしました。

ラストは微妙な不穏さのまま終わりますが、読後感は私は良かったです。やっぱりさー、誰だって自分の人生しか生きられないんだから、自分で自分を大切にして生き抜いていくしかないよね…などと思いつつ本を閉じたのでした。
やっぱり葉真中さん作品、好きだ〜!

印象的だったところ、少し…
ーーーーー
世界は過剰だ。ものと情報に溢れていて、そのほとんどを知らないまま自分は死んでいく。

物語はいつだって最高の瞬間で終わるのに、現実はそのあとだらだら余計な後日譚が続く。

それぞれの選択は思い描いたとおりの結果を招かなかったかもしれない。でも、その場その場では切実に選んできたじゃないか。

これは私の物語だーーフィクションに触れたとき、時折訪れる、奇跡のような感覚。
ーーーーー
すごく笑えたのが、編集部に送られてくる一番多い自伝的な小説『おじさん武勇伝』の話。ここ、笑える〜〜。

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2023年06月15日

Posted by ブクログ

 スゴい本を読んでしまった。読み終えた今、私の頭の中を占めているのはそんな漠然とした想いだ。

 編集者の葛城梨帆の元に、かつて新人賞に落選した志村多恵から小説が届く。小説の私と現実の梨帆がリンクしていき、梨帆はこの小説に自分の〝ほんとう〟に触れ、世に出したいと強く願うようになる。

 まず、冒頭に物語があって、この世界観のまま物語が進むのは辛いなと思っていたら、それは志村志帆が応募した作品だとわかる。その後、また志村志帆から作品が送られてくるわけだが、それがどんどん面白くなっていき、やがて現実とフィクションの区別が付かなくなっていき、この物語の行く末が気になって仕方なくなってくる。それと同時に葛城梨帆の現実が並行して進んでいくのだが、それも読ませてくれる。

 欲しくない子どもを生むことへの葛藤や、息子がレイプ加害者になるなど、大いに考えさせられる内容が盛りだくさん。

 読者に考えさせるようなラストも秀逸。文句なしの⭐︎5。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

★5 悲しく、苦しく、それでも美しく生きる女性達 世相を抉る社会派ミステリー #ロングアフタヌーン

■レビュー
この作品、めちゃくちゃ面白いぞ。

結構ヘビーなテーマにも関わらず、最初から最後まで、読ませる読ませる。プロットが上手だし、文章も丁寧だし抑揚もあって流れるようです。
300ページ程の長いお話でもないですし、起承転結もバッチシだし、何から何まで小説としての完成度が高すぎ。

ミステリーとしては決して派手ではない。しかし物語全体として美しくまとまっており、読み終わった後は、ゆっくり紅茶でも飲みたくなるような作品です。

本作の魅力は、何といっても登場人物の主人公の二人の女性。
心情描写が秀逸なんですよ、心に刺さったセリフに付箋を付けながら読んでたんですが、20か所以上付箋を貼ることになってしまいました。

特に作家の多恵。追い詰められたギリギリの叫びが「小説」の中に表現され、悲痛な叫びが聞こえてくるんです。溢れ出る情念の引力が強烈で、男性として心を大きく揺さぶられました。

そして物語の終盤です…二人の主人公の行動に、私はマジで涙を流してしまいました。ぜひ読んでみて、感じた思いを体感してほしいです。

よく小説は映像化がされることがありますが、本作は小説でないと良さが伝わらないと思っています。読書が趣味で良かったな…と思える、最高の作品でした。

■推しポイント
かつてスイミングに通っていた息子が、初めての水泳大会を迎えました。
毎日毎日つらい練習を重ね、ここ一番の大舞台。ガチガチに緊張した彼に、ひとこと声をかけたことがあります。

「胸を張って、いってらっしゃい」

人生、どんなに努力を重ねても辛いことばかりで、上手くいくことなんて少ない。それでもギリギリのところで一歩踏み出す人間にだけ、未来がやってくる。

試合結果は十分ではありませんでしたが、堂々と試合に向かった彼は、誰よりも輝いて見えたんです。

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2022年10月09日

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冒頭短編エグく注意。物語全体のフェミニズム色がかなり強く男性読者は注意。様々なネタや手法が散りばめられているがこの物語の主題はラストシーンで語られている事だと感じた。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

作中作「犬を飼う」からの始まりにして、すでに不穏な雰囲気プンプンです。
小説家志望の女と編集者の女2人の物語ですが、作中作「長い午後」がリアリティにあふれ、どんどん2人の人生にリンクし絡まっていく様は圧巻です。

NANAのいちばん好きなシーンが出てきました。

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

導入の小説で一気に惹き込まれた。
"犬を飼う"は、男性差別の極論のような話で、確かに重箱の隅をつつくような設定の疑問点はあれど、面白い世界観だった。
そして、"長い午後"では共感が強く、本当か嘘か分からないようなラスト。特に、最終選考に残ったことで魔法がかかり、夫に対して食事中、優勢になっていた場面が好きだった。そのスタンスでずっといられたら良かったのに。


「よし!」
今度は大きな声ではっきりと歓声をあげた。
ーーあはは、ター坊、やったじゃない。
有里砂の声が聞こえた気がした。
うん。やった!やったよ!p285

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

読後感はいやーな気持ちになりました。
でも、怖いもの見たさで他の本も読みたくなってしまいました。
志村多恵さんの書く小説と、それを読む編集者、葛城梨帆さんの話になります。
この志村さんの書く小説が薄気味悪いです。
しょっぱなから飛ばしています。
男のいない世界で、男が産まれるとすぐに脳の1部を切り取って無害化→犬として扱う、という志村さんの書いた小説から始まるのですが、この本自体読むのを止めようかと思うくらい印象が悪かったです。
でも止まらなかった。
怖いものみたさが勝ってしまいました。

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2023年10月05日

Posted by ブクログ

新央出版で編集を担当している葛城梨帆が主人公、彼女の元に7年前に新人賞に応募して落選した志村多恵から新たな原稿が届く…。その原稿「長い午後」は7年前の「犬を飼う」からその後のリアルなのか…。「長い午後」の主人公ター坊と友人の亜里砂から呼ばれている女性は志村多恵なのか…。

この7年前の「犬を飼う」が、面白かったなぁ~村田沙耶香さんの作品を読んでいるのかと錯覚しちゃうくらい(^_^;)。「長い午後」を紐解きながら、葛城梨帆のこれまでの人生をも重ねていく…。今まで読んだ葉真中顕さんの作品とは、ちょっと違う印象も受けましたが、一気読みしちゃいました。作中の夫と息子、嫌な奴だったなぁ…!!エンディングが曖昧だと少し思いましたが、これも曖昧にすることで余韻を持たせたのかと感じました。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

実際の話、小説の話が混同してくるけれど、それぞれの登場人物の魅力があって面白い。
夫や息子の、この価値観の人と過ごすのはしんどいなと感じたり、仲が良いと思っていた友達が、実は自分の中の存在でハッとさせられたり。最後のたえさんのイメージもいい意味でギャップがあって、面白かった。

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2023年04月18日

Posted by ブクログ

編集者の葛城梨帆のもとに送られた志村多恵からの小説。この作中作「犬を飼う」「長い午後」両方とも面白かった。特に「長い午後」を一気に読ませず、梨帆の実情や胸中とからめてストーリーが進んでいくのも興味深いというか。

「長い午後」のター坊の現状といい、梨帆の子供を持つかどうかの話といい、こういう話を男性が書けるのがすごいな、って思う。

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2023年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭の「犬を飼う」が衝撃的で文学賞の投稿作品だった事にある意味ほっとした。この話の流れで長編はきついぞ、と思ったので。当時賞は逃したが7年後、これに力量を感じていた編集者の葛城莉帆の元に作者、志村多恵から「長い午後」という原稿が届く。女性である故に被る夫他からのモラハラや理不尽を私小説風に綴る内容に共感しつつ自分の過去を振り返る梨帆。成人した息子と夫と暮らす小説上の多恵と子ナシバツイチで仕事に邁進する梨帆という立場の違う2人の心象描写がもうあるあるで葉真中さんって男性だったよね?と疑う。犯罪で終わる「長い午後」の多恵は現実の多恵とどこまでシンクロしているのか?という謎が結局明かされない不気味さが上手いと思う。梨帆サイドがある意味では報われて終わるから余計に。カテゴリ、謎があるからミステリにしたけどずれているのは自覚しています。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

穏やかな午後の昼下がりをイメージして読むと良い意味で裏切られる。

物語全体に漂う不穏さとスリリングな展開から目が離せない。

本作には『犬を飼う』『長い午後』と題された作中作が二編登場する。
前者は「小説新央短編賞」の最終選考まで残った作品。
後者は7年後に再び出版社に届いた原稿。

この作中作で語られる男性性への嫌悪は、そのまま作者の実体験が反映されているかの様でノンフィクションを思わせる。

更に女性性ならではの生き辛さに葛藤する編集者の思いと共鳴する事で生まれる共犯関係。

自分の意思を持ちたいと願う女達の想いが刺さる。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

30代の女性編集者と50代の作家志望の専業主婦の人生がシンクロしていく物語。

何だか凄い作品だったな…というのが正直な感想です。前情報なしで読み始めたので、冒頭の作中作に驚かされ、どういうことなのかと気になって引き込まれてしまいました。
二作目の作中作「長い午後」は私小説のような作風で、女性編集者は虜になっていくのですが…
終始不穏な空気が漂い、ドキドキしながらもページをめくる手が止まらない。現実とフィクションの間で揺れ動かされました。

特筆すべきと思うのは、葉真中さんの女性の心理描写の秀逸さです。社会派ミステリーで世相に切り込むのが巧い印象はありましたが、こんなに深く繊細に女性が描けるとは。世代の違う二人のヒロインの生きづらさや心の叫びがダイレクトに伝わってきました。

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2022年10月26日

Posted by ブクログ

二重らせんの物語 - 葉真中顕「ロング・アフタヌーン」★★★★☆

面白い仕組みだな。物語と事実がリンクするような気分になってくる。でも事実も物語なわけだから物語を2つ読んでいる気分になるのか。
すごく読みやすいので、なんか流れちゃった感が強かったけど、面白かったな。どこまでが事実でどこからが物語なのか、背筋が凍る結末だわ。
#引用
・世界は過剰だ。ものと情報にあふれていて、そのほとんどを知らないままに死んでいく。昔は同じことを「過剰」ではなく「豊か」と感じていたような気がする。
・物語はいつだって最高の瞬間で終わるのに、現実はそのあとだらだら余計な後日譚が続く。

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2023年10月27日

Posted by ブクログ

小説の新人賞に応募された「犬を飼う」という衝撃的な短編から物語が始まる。その「犬を飼う」に惚れ込んだ女性編集者の葛城梨帆。しかし選考会では酷評されあえなく落選、その7年後に「犬を飼う」の作者、志村多恵から長編の小説「長い午後」が送られてくる。

梨帆のターンと作中作の「長い午後」が交互に出てくる構成。「長い午後」は志村多恵の私小説を思わせる作品で、それを読んでいる梨帆の心情や状況とも少しずつリンクしていく。梨帆は30代の働くシングルマザー、多恵は50代の専業主婦。年代も立場の違う女性が生きていく上で抱える鬱屈を詰め込んだような内容で、これを男性が描いてるというのがすごいなと思った。

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2023年08月31日

Posted by ブクログ

絶叫が面白かったから読んでみたけど、読む手がとまるというか、最後まで読むのに時間がかかった。編集者が自身と同世代の設定で取り巻く環境に共感を得たし、えっと思わされるシーンも多かったけど、最後があっさり?なかんじ。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

女性の生き方について思い巡らしながら読み進めていった。
作中作の中で、コンビニで見たクレーマーの男が実は自分の夫だった、という表現にはギョッとした。
女性が一人の尊重されるべき人間として、どう生きていったら良いのかを問うている小説なのかな…と感じたが、終わり方は今ひとつよくわからなかった。

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2023年06月08日

Posted by ブクログ

「犬を飼う」というほのぼのかと思いきやとんでもない結末になる小説から始まるお話。

どんん展開になっていくのか楽しみだったけど、ラストはじわーっと終わった印象。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

03月-13。3.0点。
女性編集者の主人公。以前短編で新人賞を取れなかった主婦が、再度短編を主人公に送ってくる。。

作中作の出来はかなり良い。のめり込むように読める。
主人公の心の葛藤と、作中作が共鳴し合うような物語。

面白かったのだが、ラストがあまりにもあっさりし過ぎる気がした。

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2023年03月27日

Posted by ブクログ

最近は主人公の人生を扱った作品が続いていたが、今作は久しぶりに冒頭からガツンと来た。
「犬を飼う」と言う短編小説で幕を開ける。
最初は少女が保護犬を飼う、ほんわかした物語かと思いきや、小説の舞台は近未来。「犬」の正体が明らかにあると、ゾクリとする。
本編の主人公は出版社に勤める葛城梨帆。
年末の最終出社日。デスクの片づけを終えた梨帆の元に「犬を飼う」を書いた志村多恵から突然原稿が届く。
「犬を飼う」の落選から7年。
何の音沙汰もなかった多恵が小説を送って来た真意が分からないまま、原稿を読み始めると、そこには「犬を飼う」を書くことになった経緯から、落選したその後の様子が「長い午後」と言う小説に描かれていた。
「長い午後」に込められた意味が、とても深い。
人生の半分を超えて、何となく「自分の人生、これでいいのだろうか?」と考えた時、この「長い午後」の意味がずっしり来る。
主人公である梨帆も然り。
小説の世界と現実がどんどん混じり合っていく様子や、あちこちに散りばめられた伏線にかなりやられる感じ。
読後感は決して良くないが、気付くと主人公の梨帆と共にのめり込んでいる自分がいて、少し怖い気もする。
やっぱり葉真中作品はこういう方が面白い。

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2022年12月12日

Posted by ブクログ

だんだんと物語と作中作が絡み合って、いまどっちの心情だ?っと思うほど。文章自体は長ったらしい感じがしたが、先が気になってあっという間に読んでしまった感じ。終わり方が「だから?」って感じで残念だった。

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2022年11月22日

Posted by ブクログ

冒頭、ブラックドッグの忌々しい所を
思い出さされ臆病になった。

小説家志望の多恵と編集部に勤めてきた梨帆
自分のこれまでの人生はなんだったんだろうか。
あの時あの瞬間の選択が違えば…
そんなタラレバを思い返して
いや、今の自分を幸せだと思い込もうとしたり
人を呪ったり…そんな二人が必然か偶然なのか
最後の分岐点に立った時に出会う。そして…

私をあなたの共犯者にしてください

に繋がる二人の運命とは。

いつもそう…私にとって葉真中さんの物語は
指の隙間から覗きみるような感覚の描写と物語
重い様で深い様で辛い…
鋭くシュッと切られるではなく
切れない刃物で深く息苦しくなる
でも、必ず次も読んでしまう

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2022年10月18日

Posted by ブクログ

編集者の葛城梨帆宛てに小説の原稿が届く。
それは以前梨帆が大賞を取れると期待させてしまった志村多恵からのものだった。

話の大半を作中作が占めている。
SFチックな短編「犬を飼う」、作者の自伝のような「長い午後」。
「長い午後」は読んでいくうちに全て筆者の実体験なんじゃないかと不穏な空気が漂ってきて、閉塞感がすごい。

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2022年08月03日

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