あらすじ
「助けてください」
「学校でいじめられているわけでもないし、友達や家族と仲が悪いわけでもない。だけど死にたいんです」
「いますぐ命を絶ちたいです」
誰かに頼りたくても頼れない。話したくても、救いを求めたくても、相手がいない――。
日本に暗く横たわる「望まない孤独」を解消するため、一人の現役大学生が立ち上がった。
2020年に開設された24時間365日、誰でも無料・匿名で利用できる相談窓口「あなたのいばしょチャット相談」には、誰にも頼ることができない孤独に苦しむ人々からの相談が、日夜問わず寄せられる。
国会を動かし、孤独・孤立対策担当大臣の設立に繋げた著者が語る「望まない孤独」の正体と、孤独大国・日本が取るべき孤独対策とは。
~目次~
◆第1章
あなたのいばしょ設立までの経緯
~著者自身の原体験~
◆第2章
イギリスで定義された「望まない孤独」とは
◆第3章
増え続ける子どもの自殺相談
~欠けた当事者目線~
◆第4章
懲罰的自己責任論で苦しむ人々
◆第5章
匿名相談チャットデータで見る
“死にたい人”の思考
◆第6章
世界が注目する日本の孤独政策
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Posted by ブクログ
若手の社会起業家。随分テレビで見るようになったし、良い大学出ているので、恵まれたご家庭で育ったのかと思っていたら、なんと壮絶な人生。
そんな著者が、今、時代を一生懸命変えようとしている。冷静に、論理的に、そして、情熱的に。
これからも、彼を応援していこと思う。
Posted by ブクログ
『孤独は愛するものでも、人を強くするものでもない。孤独は社会的なつながりが不足している状態であり、そこから生起される孤独感は、誰かとのつながりをもとめている、身体のサインだ。愛することで乗り越えられるものでも、人を強くするものでもない』
・日本人は交通事故で亡くなる人よりも、自ら命を絶って亡くなる人のほうが圧倒的に多い。
・「子どもの自殺=いじめ」という固定観念が、子どもの自殺対策が進まない背景である。2020年の小中高生の自殺者数の原因動機の上位10項目に「いじめ」は入っていない。
・日本の若者(15〜39歳)の死因の1位は自殺。先進国では日本のみ。病気や交通事故で亡くなるよりも、自ら命を絶つ人のほうが多い。
・自殺相談率が高い都道府県は、自殺率のランキングでは軒並み下位に位置している。
例 相談率が最も高いの東京都は、自殺率では40位。相談率3位の京都府は自殺率では46位。相談率4位の神奈川県は自殺率は最も低い。
・「孤独は自己責任である」と答えた日本人の割合は44%。アメリカ人は23%、イギリス人は11%。
孤独が個人の問題とされていては、永遠に解決されない。
・孤独や自殺といった問題にまつわるスティグマ(負の烙印、汚名、不名誉、差別偏見の意)は、「頼ることは負け」「誰かに頼っているのを見られるのが恥ずかしい」といった感情を喚起させる。このスティグマにより、いくら支援体制を拡充し、民間団体を支援して頼れる人のパイを増やしたとしても、真に支援を必要としている人に届かないといった状況が起きてしまう。
著者は「望まない孤独をなくす」をミッションに掲げ、NPO法人『あなたのいばしょ』を立ち上げ、24時間365日年齢や性別を問わず誰でも無料匿名で利用できる相談窓口を運営している。
個人の問題とされていた孤独は、政治の力によって社会的課題へと広がった。このことは、孤独は個人がひとりで耐えるべき問題ではなく、社会的資源を割いて政治が取り組んでいくべきものだという意味でもある。
ただ、それだけではもはや間に合わない。
『他者が孤独を抱えている人に寄り添い、孤独が重症化しない社会をつくらなければならない』
日本に孤独担当大臣がいるのを知っていますか?