【感想・ネタバレ】越境学習入門のレビュー

あらすじ

越境学習とは 〝冒険者〞を育てる学習のメカニズムである

日本企業にはイノベーションが足りない、と言われるようになって久しい。
足りないイノベーションを求め、多くの企業で毎日のように会議が行われている。
だが、足りないのは、イノベーションではなく、〝冒険〞なのではないだろうか。
「冒険だなんて、中二病じゃあるまいし…」と笑わずに聞いてほしい。

未知なる領域に足を入れ、思いもよらないような出会いをしたり、
これまでの常識が通じない世界で、自分の意外な能力に目覚めたり、
仲間と共に困難を乗り越える経験を通して、新たな智恵を授かったり、
広い世界を知ることで、自らの新たな使命に気づいたりする〝冒険〞。
トラブルに巻き込まれて道に迷ったり、
リスクを取って挑戦してみたものの、大失敗したり、
想定外のことばかり起きる〝冒険〞。
苦い現実と格闘し、泥沼を夢中で進んでいった先に見える新しい世界、新しい道、
新しい自分、なにか新しいものを手に入れる〝冒険〟。
ドキドキハラハラする…からこそ、ワクワクする〝冒険〟

日本企業に足りないのは、そんな〝冒険〟であり、
冒険する力を備えた〝冒険者たち〟ではないか。
そして、境界を超え、冒険に身を投じる力、冒険を楽しむ力、冒険し続ける力を持った
冒険者たちを育てるプロセスこそ越境学習なのではないか。
それが、働く人たちを対象とした越境学習の研究を通して、我々が見出した仮説だ。

本書は、企業がどうすれば〝冒険者たち〟を育て、
その力を企業が前進する力にできるのかを、
企業における越境学習の研究を通して著したものである。
ただし、〝冒険者たち〟と共に進む道は、これまで歩んできた道から外れ、
行く先も分からない道なき道になる…かもしれない。
そんな〝冒険者たち〟と共に自らも〝冒険者〟となる覚悟のある方にこそ、
この『越境学習入門』を勧めたい。

越境学習の世界へようこそ

越境学習とは、個人にとって居心地のよい慣れた場所であるホームと、居心地が悪く慣れない場所だがその分刺激に満ちているアウェイとを往還する(行き来する)ことによる学びです。越境学習者は、アウェイで違和感を抱き、葛藤や無力感、もどかしさを味わいますが、それを乗り越えた結果、前提を疑い、不確実な状態に耐えられようになります。

つまり、越境学習とは冒険者を育てる学習のメカニズムなのです。

近年では、越境学習に多くの企業が注目していますが、そのプロセス、全体像は明らかになっていませんでした。

本書は、多くの越境学習者への詳細な調査に基づき、その全体像を解説し、企業と個人が越境学習を開始・実践する方法を詳細に提案します。

【目次】
序 章 ホームとアウェイを行き来する
第1章 越境学習とはなにか
第2章 なぜ今、越境学習なのか
第3章 越境学習でなにが起きているのか
第4章 「越境」人材を組織に活かす
第5章 ケーススタディ

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

学術的な根拠と、丹念な調査結果、そして越境者の生の声を組み合わせ、わかりやすくかつ納得感がありました。

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2023年11月30日

Posted by ブクログ

サブタイトルが「組織を強くする冒険人材の育て方」である通り、あえて、異文化に飛び込むことで、「人材」を育てるための指南書。
正直なところ「なんでそんなことをあえてするの?」と思う自分は、3〜5年で異動したり転勤したりと仕事環境が変わるので、自然と「越境学習」する環境で育ったんだな、と思いながら読んだ

特に気になったところを3つ述べてみる。

1つ目。P76付近の「述語主義」。本文から引用すると「述語主義とは、日常的にいつも同じ文脈で暮らしてる人が、だんだん守護を省略するようになること」とある。
越境して最初に感じる違和感はこれだなと思う。確かに、ずっとそこにいる人は主語を省略しても文脈から推測できるから問題ないだろう。ただし、越境者からすると、最初に困るんはこの主語の省略であり、仕事を進める上で、毎回確認が必要になる。
これは、越境者のみならず、新卒採用者に対しても仕事を教える上でボトルネックになるし、日々のやり取りの中で、いわゆる「現地にいる人」ですら主語を取り違えて仕事上のミスを起こしていることがある。特に、ビジネスがグローバル化している現代では、電話やメールで「越境」して連絡をすることもあるわけで、「通じるだろう」という楽観的な推測は必ずあてはまるとは限らない。原点に帰って5W1Hを必ず確認することは必要だろう。

2つ目。P186付近の「迫害をどう防ぐか」。越境者は必ず迫害される。
迫害というと大げさだが、そういうものである。
1つ目でも述べたように、述語主義で通じる集団に異物が入ってきて、毎回確認したり、いわゆる「現地にいる人」の「常識」が通用しないからこそ、「あの人なにしてんの?」と白い視線を感じる。「越境者は2度死ぬ」の項でも述べられているが、異質な文化に混ざるということは、実は大変な労力を要するし、元の組織に戻っても「かぶれてる」と冷ややかな態度をとられがちである。
越境に対して、セルフケアが可能な人材なら問題はないが、そうでない人には組織的なケアが必要となるであろう。
さらに、「迫害」とまで行かなくても、「異分子に対しての態度」は、気をつけないとグローバルなビジネス交流についていけずに、自社が滅びる結果になりかねないと思う。
組織の「対外的な対応」にも通じる部分と思えた。

3つ目。P204付近の「発信スタイルの変更」。
越境者が「こうあるべき、こうやるべき」と自分の意見を述べたところで冷ややかな目でしか見られないのはごく当然のことだ。であれば、「自分はこんなことやりたい!こんなことが好き!」とポジティブに楽しく仕事して人を巻き込むしかないと思う。
これについては、越境に限らず、日々、そういう態度でありたいと思う。

日々の「当たり前」と思っていることが、実は、他の文化圏に行けば当たり前ではなくなる。「視野を広げる」とは「越境したことも想定して相手の気持を慮ること」だと思う。
そんな当たり前のことを改めて気が付かせてくれる、そんな1冊。

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

会社を辞めることなく、異業種へ飛び込み自らもがき苦しみつつ学んだことを、元の職場に戻ってその経験を活かす。越境学習とは、こんなようなもの。キャリアの自立ではなく自律を目指すこと。越境学習を経験した人たちの体験談も読むことができる。興味深い。

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2023年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

近くの異業種、離れた同業種での学びを実践しているが、この本の以下の点に納得。
越境=個人にとってのホームとアウェイの間の境界を越えること
アウェイ=見知らぬ人ばかりの、普段の言葉が通じない慣れない場で、ちょっとした違和感や居心地の悪さを味わう。
上下関係のなさ×異質性×抽象性。自分が何ができるかを見つめ直す機会になる。やりたいことにも気づく。

越境学習=ホームとアウェイを行き来することによる学び
アウェイで、違和感や葛藤を抱えながらも、なんとかやろうとする中で、新たな自分に気づき、力の発揮方法を学ぶ。
ホームに戻って今までと違う見方をする自分に気づき、ホームに違和感を感じる(二度目の葛藤大)。俯瞰ができる。

越境学習の効果→分かったつもりを打破し、組織内にイノベーションを起こす人材を育成する
不安定に持続的に耐えられる、不確実性の中で探求し続ける、異なる世界に飛び込める(冒険力)
アイデア発見に必要な力=関連づける力、質問力、観察力、実験力、ネットワーク力

混乱するジレンマ→自己検討→これまでの前提の批判的検討→前提越えの気づき→行動計画・試行→自己の再統合

越境学習7つの特徴
学習プロセスが非直線的、葛藤が原動力、もがくことが重要、ホームアウェイを俯瞰、戻っても葛藤、よい組織でも葛藤、必要資源を動員できる

人事の役割は調整
越境学習者の交流コミュニティ

"越境して恥ずかしい思いをしたり、苦しい思いをしたりする「混乱するジレンマ」に、直面するとリフレクション(内省)が起こります。"

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

違う組織に行って戻ってくる。行った先で一回、戻ったあとでもう一回の違和感を覚える。
全体として納得感はあるものの、目新しさがあまり感じられず。誰もが行ったり来たりできる(単発的な往復だけでなく)、そしてそれぞれの異なる背景が混じり合う、そんな流動性のある状態が心理的安全性のある状態で実現できればよいが。

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2023年11月21日

Posted by ブクログ

越境するだけでなく、越境して戻ってくることによって、より学びにつながるというのは新たな気づきでした。避けたいこととして「迫害」「風化」そして「活躍を過度に期待すること」が挙げられていて大きな納得感。

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2023年07月23日

Posted by ブクログ

思えば、ずーっと、
入社三年目から越境学習していたのかもしれないと、
最近
過去の振り返りをしていて思うようになった。

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2022年05月16日

Posted by ブクログ

前半はエンゲストローム、ヴィゴツキーといった学習理論から越境学習の系譜を紐解き、後半に向かうにつれ、越境学習がもたらす個人的体験と組織との関わりが事例を交えて紹介される。人事や働く人の現場をよくわかる人が書いたかなり入門的ではあるが網羅的で実践的にまとめられた良書だった。

後半で特にページが割かれていた越境学習者のカスタマージャーニー的なプロセスの記述は興味深く、自らの社会人大学院通じた越境学習体験と深く重なり納得感があった。確かに私も二度死んだ。ただただ分かりやすい。概念浸透の段階で、難解な学習理論の書籍が多い中で、この分かりやすさは社会の宝だ。

これから制度の導入もそうだが越境学習者への支援も組織課題として組み込まれるようになるだろう。
越境学習のルーブリック評価基準は大変実用的に見える。

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2022年04月13日

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