【感想・ネタバレ】陽だまりに至る病のレビュー

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Posted by ブクログ

コロナのせいで大変な思いをした人は本当に多かっただろうな。特に社会人は。そんな中で、咲陽のように、素直で友達思いで、人を助けるために嘘をつくような、そんな子が報われる世界でありますように。タイトルの陽だまりの解釈がわかった瞬間は鳥肌でした。

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2023年06月12日

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ネタバレ

貧困とミステリーを扱った〈仲田・真壁〉の刑事コンビシリーズ第3弾。

今までの2冊ともおもしろかったけど、今回もおもしろかった。
今回のテーマは「コロナと貧困」。

読んでいくうちに今回は普通の殺人事件の小説かと思いきや急に驚かされる。
主人公咲陽のコロナ感染。
コロナ禍舞台で両親がコロナにより生活が厳しいという描写が何度もありながら、小説に入り込んでいて誰かが感染するなんて思いもよらなかった。
小夜子を必死に庇ってきた咲陽が感染してしまう展開に、驚きと同時に読んでて泣きそうになるくらいの悲しさを感じる。
ここで“コロナ”がタイトルの『陽だまりに至る病』なんだなってなる。

最後の最後で小夜子が咲陽に“陽だまり”を感じたと話す。
最初は咲陽のことが嫌いだったが一緒に暮らすうちに気持ちが変わっていった小夜子。
タイトルの『陽だまりに至る病』は個人的にはこっちの小夜子が咲陽に感じた気持ちなんだと思った。

読者は神視点で全てわかって読んでいるため、上手くいかないもどかしさを感じながら話は進んでいく。
また、しっかりした小学五年生とはいえ、小学生ということでなかなか考えが甘い行動が多い。
ただ大人ではなく小学生同士の咲陽と小夜子だったからこそ生まれた友情、“陽だまり”だったと咲陽も気づく。

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2022年06月20日

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新型コロナウイルスによる緊急事態宣言、時短営業、一斉休校……
先の見えない不安と苦しさで、私たちがいちばん辛かった時期を思い出す。

主人公は小学5年生の少女二人。
コロナ禍による事件や貧困に巻き込まれていく。
この少女たちが、大人を相手に精いっぱい強がって戦う姿が痛々しく、切ない。

コロナという未知の病による不安や怖さ。
仕事や生活などの金銭的なことから、死の恐怖まで。
私たち大人でさえ不安に押し潰れそうなのに、子供たちはどんな気持ちでいるのだろう。
彼らにはこの社会と大人たちが、どんなふうに見えているのだろう。

彼らは大人が思う以上に、しっかりと周りを見て、自分に出来ることをやろうとしているのかも知れない。
事件を解決するのは、〈仲田・真壁〉の神奈川県警刑事コンビ。
仲田さんが想像力を働かせて、事件を解決していく様子が何とも爽快。




この春ようやく、日常を取り戻しつつあるようですね。
みんなでワイワイ集まれることが普通の日々よ、早く来い!

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2023年03月25日

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小学五年生の咲陽は、家の隣のアパートに住む同級生「小代子」を、自宅に匿うことにした。
新型コロナによる影響を受けた子どもたちと、若い女性がラブホテルで遺体で見つかった事件が少しずつ繋がっていく。

新型コロナが広がり始めたころ、ある芸人が「これから若いきれいな女性が風俗に入るから楽しみだ」みたいなことを言ってた。
実際のところ、この本に書かれているような女性の貧困について現実にどこまで起こっていることなのかはわからない。
でも、亡くなった夏帆のような生活を不本意に送っている人が一人でも実在するのであれば、やはりそれは笑って語って良いことではなかったのだと思った。
この本の夏帆の話を読むに、あの芸人のあの発言が頭から離れなくて(それまで、すっかり忘れていたのに)。そんなことを思いました。

小代子の父親である虎生は、よくもここまで生きてこられたなぁと思うような人だ。
なんでも娘のせいにして娘に謝らせるって…。
かなり引いたけど、DV加害者ってこういう思考だよね、相手が悪いって心の底から信じてるよね、と思い直した。
虎生みたいな思考の持ち主は、実は少なくないのかもしれない。ゾッとする。

さて、タイトルの「陽だまりにいたる病」とは何か?
最後にチラと「陽だまり」というキーワードが出てきたが、はっきりとは書かれておらず。
小代子が、咲陽から匿われた一週間の間に、小代子の心に少しずつ芽生えたもの。その感情が「陽だまりにいたる病」なのだろうか。
今回は仲田の登場は少なかったものの、仲田が咲陽にかけた言葉がよかった。
確かにその通りで、人の不幸と自分の不幸を比べて我慢をしていると、他の困っている人にも「あなたより不幸な人はいる」という考えになるし、多分その気持ちを伝えてしまう。そんな風に相手を追い詰めるだけのことを言うのだとしたら、結局、虎生と同じだ。

「誰かを助け、誰かに助けられること」これは、このシリーズの大きなテーマの一つだろう。人が孤独に生きるのではなく、誰かに助けられたり、助けたりする世界であってほしい。
仲田の言葉のように、私もそう思いました。

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2023年02月18日

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小学生なりの一生懸命さが伝わる。

コロナ禍で色んな人が影響を受けたり、苦しんだりしていて、やるせない気持ちになる。

仲田さんが出てくると安心しちゃう(笑)

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2022年12月22日

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コロナ禍で悲劇に巻き込まれた子供たち… 社会は彼女たちを優しく包んでくれるのか #陽だまりに至る病

コロナウイルスによって完全に生活様式がわかってしまった現代社会。
主人公である小学5年生の彼女は、近所に住む困っている友人に声をかけた。主人公は彼女を部屋に招き、二人の秘密の生活が始まる。一方で、とあるラブホテルでは殺人事件が発生した。警察は友人の父親が関係していると捜査を始めていた。

貧困にあえぐ子供たちを護る、仲田シリーズの三作目。本作も素晴らしかったです。

コロナが流行ってもう3年になりますね。
災いが起こると、まず犠牲になるのは弱者からです。そんなコロナ禍のリアルを痛烈に描写した切なすぎるお話でした。

本作の一番の魅力は、やっぱり主役の二人の少女たち。
主人公の太陽のような優しさ、今にも壊れそうな弱さを持ちながらも気丈にふるまう頑張りが切ない。
そしてもう一人の貧困にあえぐ友人は、大人や社会に対する憎しみを持ちながらも、まだ牙をむく一歩手前。彼女の不安定な魅力はとても引力が強く、読者の心を揺さぶります。
ふたりがそっと寄り添うことでどんな影響を及ぼしてくるのか。本作の一番の読みどころでした。

全体的なストーリーとしては比較的シンプルですが、登場人物ひとりひとりの信条や感情描写がとてもうまく、重厚感のあるものになっています。この辺りはさすがですね。
またミステリーとしても気が利いた仕掛けが施されており、最後には本書のタイトルの意味がわかります。

さて本書の最序盤には、公園で子供たちが自由に駆け回っているシーンがあります。あたりまえだった生活のワンシーンが、一日でも早く帰ってくることを切に願います。

今ならではの社会派ミステリー、たくさんの方に読んでほしいです。

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2022年08月05日

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 コロナは色々なことを変えてしまう。コロナが原因となった自殺もあるだろう。でも、一概にコロナだけのせいにできるのだろうか。

 さて、本作も仲田・真壁の刑事コンビが活躍する。

 小学5年生の咲陽は、同級生の小夜子の様子がおかしいのを目にする。居ても立っても居られなくなった咲陽は、小夜子のアパートまで行き、父親がしばらく不在になると知ると、家においでと声をかける。
 世間はコロナ禍。なるべく友達とも接しないように言われた咲陽は、自分の部屋に小夜子を匿うようになる。やがて、小夜子の父親が巷を賑わしている町田の事件の犯人ではないかと疑いを持つようになった頃、咲陽の元に刑事がやって来る・・・。

 相変わらず子どもの心理描写が上手く、また仲田の影響を受けて徐々に変わりつつある真壁の存在も魅力を増してきた。

 さて、まだまだ続くこのコロナ禍。どう過ごしていくかは自分次第。withコロナ。コロナだからといって諦めるのではなく、日々楽しく過ごしていけるようにしたい。

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2022年05月30日

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コロナと貧困の陰に起こったミステリー。

小学5年の咲陽は、裏のアパートに住む同級生の小夜子が、父が仕事で帰ってこないから知り合いのおばさんのところへ行くというのを聞き、家へ連れて帰る。

コロナ禍で友だちと遊ぶのも気にしている母には言えずに内緒で自分の部屋で匿うことにした。

小夜子の父が、近くで起こった殺人事件の犯人で逃げていることを知ったとき…

父のお店もコロナの影響を受け時短になり、母の勤めている病院も患者が減り仕事に行かずに家にいることになると匿うことも難しくなり…

亡くなった女性が、コロナ禍でバイトもなく、家賃も払えず、大学も辞め、風俗に勤めるが、毎日が苦しい状況だった。
そして真実がわかったとき…

なんともやるせない気持ちである。
すべてがコロナのせいなのか…
親の仕事が無いと、子どもにも影響を与えてしまう。
昨日まで、普通に暮らしていたのに…
いつのまにか、という。

今もなお、辛く苦しい思いで生活している人たちは、たくさんいるだろう。
どうにもならないものなのか。

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2022年05月10日

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この作品は一言で言えば3年前から流行中の新型コロナによって生まれた貧困による弱者についてと、二人の小学5年生の少女の友情の話だと思います。

神奈川県の登戸に住む小学5年生の上坂咲陽(さよ)は自宅の二階の部屋に同級生で皆に嫌われている、野原小夜子をいれてあげます。
小夜子はコロナの陰性証明書を持っていて、父親の虎生がいない間、1週間だけここに置いて欲しいといいます。
咲陽は母で看護師の百合香が「家は恵まれているんだから困っている人がいたらなにかしてあげないとね」と言った言葉を思い出して、父母に内緒で小夜子を匿うことにします。

小夜子の家庭は父の虎生だけで、虎生は警備員の仕事をクビになった貧困家庭でした。
そして、咲陽の父の経営するイタリアンレストランの料理をおいしそうに無邪気に食べる小夜子ですが、今、町田市で起き、ニュースになっている、鈴木夏帆という若い女性が殺された事件の犯人が虎生であるかもしれないと咲陽は思い始めます。

夏帆の殺害現場に落ちていたという珍しい飴を訪ねてきた刑事の真壁に見せられ、咲陽は小夜子が好きな飴と同一のものであるのを知りますが、警察から小夜子を最後まで守ろうとします。

新型コロナの流行により、登場人物たちの職がなくなり、貧困に陥っていく状態がこれでもかという程、非情に訴えられています。


一体、いつになったら収束するのかわからないコロナ。
今年の大型連休は何の制限もなくなり、普通に過ごしてくださいということで、交通機関、観光地、宿泊施設などにお勤めの方は少しは安心されたのではないでしょうか。
でも、コロナは収束したわけではなく、これからは経済中心で、ウィズコロナの時代になっていくのでしょうか。


なお、この作品には作者の天祢涼さんの前作に登場した刑事の真壁や仲田が再登場します。

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2022年05月02日

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「コロナと貧困」をテーマにした社会派ミステリ。まったくもって現実の世の中の暗い側面が浮き彫りにされてしまっていて、読むのがつらい面もあるのですが。つらいばかりではない、と信じたいです。タイトルの「病」は悪くないかな。これは救いにも思えるかも。
貧困家庭の同級生・小夜子を家に匿うことになった咲陽。それまでは特に親しかったわけでないにもかかわらず、「自分は恵まれているから」と貧困家庭の子に手を差し伸べようとする咲陽の姿は、口さがない人からすれば偽善でしかないのでしょうね。そもそも親がかりの子供が自分で何かした気になって、などと思ってしまいそうですが。実際そうであったとしても、これだけのことをできる人がどれほどいるの? 咲陽のことを微笑ましく思える一方で、大丈夫なのかな、と不安な気持ちがいっぱいでした。いい子なんだけれど、世間のことを知らなすぎじゃない?
それでも咲陽がさまざまなことに気づき、それがつらいことであってもきっちりと受け止めて立ち上がろうとする姿には力づけられました。そして事件に関わる大人たちの情けなさを見るにつれ、悲しくなるのですが。この責任を彼らだけのせいにするのは、やっぱり違うんだよねえ。それぞれに悪いところはあるけれどそればっかりでもないし。憎むべきはコロナか、本当に。
今回出番はそれほど多くないけれど、仲田の温かさにはほっこりさせられました。が、大丈夫なんでしょうか彼女……たしかに心配になります。

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2022年04月26日

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コロナ禍での負の連鎖。それは大人だけでなく子供にも伸し掛かる。小夜子の図々しさには辟易したが、咲陽の影響もあり打ち解けてゆく。貧困、ネグレクト…小夜子の強がりな寂しさが哀しかった。

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2022年04月20日

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ネタバレ

 小5の咲陽は父親が帰ってこないと言うクラスメイトの小夜子を部屋に匿うことにした。だが、咲陽の母は開業医の小児科の看護師で仕事が激減、父もレストランオーナーだがコロナで仕事が減り、従業員も解雇せざるを得ない状態。そんな両親を見て、小夜子を家に一緒に住まわせたいなどと言い出せなくなり、部屋のクローゼットに極秘で住まわせる事に。だが、小夜子の父が殺人犯かもしれないと疑われ、子供ながらに捜査し始める…

 良くも悪くもお嬢さんな咲陽。母の「困った人を助けよう」と言う言葉に感化され、小夜子に同情心を抱くけれど、傍若無人な態度に少しずつ苛立ち始めるのは判る気がします。
 コロナの所為で咲陽の家も険悪になっていくのが凄くリアルでした。

 ラブホテルで亡くなった夏帆と小夜子の父との関係、そしてそれを追い詰めていく神奈川県警コンビの仲田と真壁。咲陽も小夜子を救いたくて必死に動くけれど、それでも子供のやる事には限界があって。

 全てはコロナの所為で狂い始める人生感。殺された夏帆にも事情があり、貧困層の小夜子親子。
 小夜子の強かさにはビックリでした。でも、納得する部分もありました。貧困層から見れば、咲陽のお嬢さん的偽善は腹が立つだろうなぁ、と。それでも、ラストは救いがあってホッとしました。

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2022年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小学5年生の咲陽(さよ)は、クラスメイトだけどほとんど話したことのないいじめられている小夜子のアパートが見える位置に自室の窓がある。
そこから小夜子が洗濯を取り込んでカバンにつめて座り込んでいるのを見てしまった。
心配になってそっと訪問すると、充血した目の小夜子がでてきた。
家は汚くて変な匂いもするボロアパート。
父親は1週間仕事でいなくなるので、前に住んでいた所のおばちゃんち(親戚ではない)にお世話になるという。
そこで咲陽は「自分の家にこないか?」と誘う。
母にそれとなく「友だちをつれてきていいか?」と聞いたが、おりしも、コロナ禍真っただ中。母は看護師。父はレストラン経営で今コロナ感染するわけにはいかない為、だめだと言われた。
今更「だめだった」と言えず、小夜子はコロナ陰性証明書をもっていることもあって自分の部屋にかくまうことに。
ちょうどその頃、ホテルで夏帆という女性が殺されたニュースが世間をにぎわしていた。ニュースキャスターは「なほさん」と言ったのに、そのニュースをみて小夜子はぼそっと「なつほさん・・」とつぶやいた。
そのあとすぐに警察がた。生活安全課でニュースとは違う意図の訪問だったが、咲陽はそのニュースのこと?と思って聞く。警察の人は「なつほさん」と言う。名前の読み方は、間違って報道されているらしい。ではなぜ、小夜子は本当の読み方をしっていたんだろう?
そしてすぐにまた警察がきた。今度は「裏に住んでる小夜子ちゃんを知らないか?お父さんの行き先をしらないか?」と問われた。
咲陽は、いなくなった小夜子の父親が殺した犯人では・・・と疑い始める。

話はこの殺人事件を軸に進んでいくんだけど、1章が咲陽目線。
母に「家は恵まれているから、困っている人がいたらなにかしてあげないとね」と言われたことが頭にあって、必要以上に小夜子に施してしまう。
それぐらい、子ども。
一方、同い年でも親から虐待されネグレクトされて食べるものも食べれずに育っている小夜子は、もっとしたたか。ほわほわお嬢の咲陽を丸め込むなんてお手のもの。
ベットに乗らないでと言われても、ベットで寝るし、咲陽の分のご飯もケーキも食べつくす。他の部屋に行くなと言われても、姉(すでに外で住んでる)の部屋にも行っちゃう。
「普通」はそんなことしないと思っている。だってかくまってあげているのに、なんで遠慮もないの?だんだん、ちょっと煩わしくも感じている。
何度も警察がきて小夜子を知らないかと聞かれる。ずっとウソをつくのも辛い。
でも、小夜子を引き渡していいのか?ひきわたしたら小夜子は酷い事になるかもしれない。そんなことさせていいのか?
小学5年女子ぐらいだときっとほんとうにこんな風に悩むんだろうなぁ。
私もどっちかっていうと、咲陽タイプの女子だったから、付け込まれたりすると自分がしんどいのに嫌って言えなかったり、下手に大人に言えなかったり。
あ~~もう、つらいねぇ~~っ。
って思いながら読んだ。咲陽の気持ちも分かるし、でもここは大人に任せたらいいんだよっ!って気持ちと。
私的には、結局意外な結末だった。
でもなんでこれを「陽だまりにいたる病」という題名にしたんだろう?ってのはまだつかめそうでつかめてないです(^^;)

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズ3作目、コロナと貧困がテーマの社会派ミステリ。

真相に救いがなくて苦しいぶん、少女の純粋で幼い優しさが沁みてくる作品でした。
本当に追い詰められているとき、正義なんて何の救いにもならないんだろうなあ。

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2024年04月08日

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08月-17。3.5点。
小学5年生女子児童が主人公。同級生に貧困に近い児童が、父親と暮らしている。父親が突然「仕事」と言って出て行き、主人公が同級生を家にかくまうことに。。。

まあまあ面白かった。生安の女刑事の洞察力が素晴らしい。ラストは救いがあって良かった。

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2023年08月30日

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小学生だということを忘れてしまうような思考力や行動力、その中に垣間見える稚拙さと純真さ。大人になりきれなかった大人。コロナによって狂わされた生活。それぞれがなかなか魅力的に表現されていた。ラストの緊迫感の要因はそれか…とは思ってしまったれど、現代の問題を捉えていて面白かった。

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2023年05月28日

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コロナ禍で仕事がなくなる大人、影響を受ける子供。これまで読んだコロナ禍設定の小説の中でもかなりリアルというか自然。

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真壁&仲田シリーズ。といっても、仲田の出番は後半。出てくると解決しちゃうからな。

今回は、ミステリよりもコロナと貧困に焦点が当てられている。一見貧困とは関係なさそうな家庭も一歩間違えば… という不安定さを感じさせる。
仲田の体調も気になる。どこぞのスーパー女性刑事とは違って、生身の人間なのだな、彼女は。
彼女が立ち向かっている問題は、個人の資質でどうにかなるものではない。まさに、政治の力が必要なのだが。
それが及ばないなか、たぶん、現場では、彼女のように誠実に働いている人がいて…… その人から倒れていそうだ。

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2022年07月14日

Posted by ブクログ

❇︎

貧困やコロナはすぐそばにある驚異だと
感じさせながらも、そんな中で何かを信じて
行動する小さな光に切なさが溢れる物語。

〜〜〜〜〜〜〜〜
咲陽の章
真壁の章
咲陽と真壁の章
小夜子の章


コロナで緊迫する情勢の中、仕事は無くなり
生活が立ち行かず絶望感を覚える人。
なんとか生活を維持しようと懸命にもがく人。
自暴自棄になり過ごす人。

コロナ禍で家庭の経済環境は一転し、
貧困は大人子供の区別なく精神を脅かす。

小学生5年生の咲陽は両親のそぶりから、
当たり前だと思っていた生活がコロナ禍で
音を立てて崩れ始めていると知る。

どこか別の場所にあると現実感のなかった
貧困がすぐ身近にあると知った時、
砕けそうになる良心を懸命に奮い立たせて
人のために何ができるのか。

切なさともどかしさに溢れるミステリー。

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2022年06月22日

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ネタバレ

仲田、真壁刑事の第三弾。
話は前半の小学生の部分より、後半の、その殺人事件の内容の方が、重要で、今の社会に対して、訴えかけている部分であると思う。
コロナ禍においての貧困問題。
そして真壁の章の方が面白かった。
殺された女性は、どこにでもいる普通の大学生だったと思う。
しかしコロナ禍で世の中ぎが急変して、生きていくのが苦しくなってしまった。
小学5年生の咲陽が友達ではないクラスメイトを親に内緒で、こっそり何日もかくまう。
食事とか、話し声とか、親にバレているのでは?と思ったが、親は鈍感すぎる。
小夜子のお父さんは、事件に関わっているのでは?と探偵まがいのことをする咲陽。
しかし、結局何もできないまま。
警察の捜査、コロナ禍で、人相が分かりにくく大変そう。聞き取りにしてもモンタージュにしても、カメラからの割り出しにしても、確かに、今のマスク生活は、警察の捜査大きな影響があるのだと改めて感じた。
仲田蛍さんの推理が素晴らしい。
捜査のやり方が丁寧で一流。
被害者の夏帆が、救いの声を上げづらかった地元の町の雰囲気、生活保護を申請しづらい風潮、勉強したいが高い学費を払わないと通えない大学、身体遠売らざるをえない女性にたかる人々、どれも前からあったことだが、それらが絡み最悪の結果に。
大学生の娘がピンチなのにすくえなかった父親の責任ではない。が、死んでしまってからでは遅い。
悔やみきれない。
キーポイントのだいわ飴が気になる。

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2022年03月23日

Posted by ブクログ

小学5年生の咲陽は、クラスから疎まれている同級生の小夜子が困っているのを見て、自分の部屋を誘おうとした。小夜子は、父親が仕事で帰ってこず、一人だった。そんな小夜子を、咲陽は困っている人を何とか助けたいという思いで招いたものの、コロナ禍ということもあり、母親からは拒否された。でも、助けたい思いが勝り、匿うことにした。
そんな時、家に警察がやってきた。殺人事件の参考人として、小夜子の父親を探しているだけでなく、小夜子の行方も気にしていた。本当に小夜子の父親は殺人を犯したのか?


「仲田・真壁」刑事シリーズの第3作品目で、今回も子供の虐待や貧困に関する話題を取り上げています。

コロナによって人生を狂わされた人達。貧困や差別など現実とリンクする部分もあって心が痛かったです。
昔のように普通に子供と遊んだり、人を招いたりといったことが出来づらい状況の中、咲陽の助けたい一心での行動が印象的でした。

なぜ警察が頻繁にくるのか?そんなにしつこいのか?
咲陽の視点だけでなく、真壁の視点も登場するので、裏側ではどんなことが繰り広げられていたのかといった楽しみ方もできて色々楽しめました。

今までのシリーズの中では、あまり衝撃的ではなく、シンプルに話が進行していきます。今までの作品で驚きがあった分、それを期待していたのですが、割と素直に進むので、ちょっとモヤモヤ感はありました。

それにしても、仲田刑事の感性は凄かったです。小さな疑問点など色々な所にアンテナを張っているのですが、あまり活躍ぶりが見られなかったので、ちょっと残念感はありました。

本作品のテーマであるコロナによる貧困や子供の虐待。目を背けてしまいますが、どうしたら良い方向へ迎えるのか?自分だけで解決していくのではなく、周りの協力も必要だなと改めて感じました。

結果的に咲陽が体験する出来事は、小学生にとって辛い現実でしたが、段々と信念が強くなっていく姿にホッとした気持ちになりました。絶対良い大人になると思います。
とにかく小夜子の腹黒さには、憤りを感じずにはいられませんでした。

もしもコロナが存在していなかったら、みんなどんな道を歩んでいたのか?そう思うと、ただただ悲しかったです。
早くコロナが終わって欲しいと思いました。

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2022年03月08日

Posted by ブクログ

シリーズの中では、終盤にワクワクするような起伏はなく落ち着いてた。
一部イヤミスかと思わせる内容はちょっとゾクっとした。
咲陽の精神的ダメージが、とんでもない事になってて辛過ぎる。

ぬるっと事件が済まされたりして、ちょっと読みにくさを感じたり、読み終わった後も、少し納得いかない点はあった。
やっぱりシリーズの1作目「希望が死んだ夜に」を超えることは出来なかったなと少し残念だった。

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2022年02月24日

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