【感想・ネタバレ】死について考えるのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

20年も前に書かれた本ではあるが、その姿勢は現代のターミナルケアに通ずる部分も多い。以下、自分の印象に残ったこと、気づき。

・最期に自分を支えるのは、やはり精神だ。先立たれた大切な人に会える、だとか苦しんでいることを理解してあげることが一番いい。
・延命処置の是非。尊厳死はどうなのか?天寿を全うしているなら、尊厳死でもいいのか?
・ACPは、死に直面したときに初めてスタートする。在宅医の先生の訪問診療について行った時の経験を思い出した。
・安楽死は可哀想だから死なせてあげるという家族のエゴが入っている。尊厳死はその人が死に方を選べる。しかし自殺はダメ。天寿を全うしてないから。
・痛みも生きている証だという考え方。
・結局考え方は人それぞれだから、万人に使える万能のターミナルケアなどない。
・「痛み」ってなんなんだ?心の痛み、神経が痛み刺激を受信している。痛みは薬剤以外でも和らげることができる。誰か共感してくれる人や元気になりたいモチベーションがあれば、痛みとも上手に付き合えるのではないか。
・宗教は意外と大切かも。
・臨死体験をした人は皆、暖かい光に包まれて、自分の身体を俯瞰してみることができたらしい。かつて愛した故人に会えた人もいたのだとか。死後の世界はあるのだと信じても良いかもしれない。禅宗的には、解脱にあたるようだ。
・生活と人生は違う。生活:他者に残すかたみ、人生:自分の素顔。老年において本当の顔をまじまじとみる時がきたのだ。
・天国と地獄。悪いことをしたら、全員地獄に行くのか?死ぬ間際に心から悪いことをしたと思えば神は天国に連れて行くのか?一方殺された人々は、あの人々をお許しくださいと言えるのか?自分の身に降りかかった理不尽を恨みはしないのか?

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2020年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キリスト教徒として、日本人として、作家として、とりとめなく死について語っている。漠然とした恐れが遠のく安らぎと慰め、そして慈愛に満ちた内容だと感じた。
自身の大病の経験から終末期医療と向き合い、心あたたかな医療を願う活動をしていたことを初めて知った。先立たれた苦しみを和らげ、死を恐れる人間の心を落ち着かせる、優しい語りかけだった。
『沈黙』や『深い河』など、なぜあのような小説が生まれたのか、その背景にあるものが分かったような気がする。

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2021年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キリスト教徒である筆者が、”死”について思うところを述べている。だからといって一つの宗教にとらわれるのではなく、語っている。その語り口は圧倒的にやさしい。

2022年8月再読。
ホスピスや延命治療等の内容を聞いていると少し時代を感じる。著者本人も最後に言っているようキリスト教談義となってしまわないようにしたとのことで、別の宗教の観点等も所々でてくる。

P.33
私小説家たちは一種の自己鍛錬というか、自己修行というか、そういうものを無意識に積んでいったんでしょうね。そういうものを一つ一つ積んでいって、円熟というところへ到達したんでしょうね。そうでないほうの、うまく年をとれない作家たちは、老いるにつれて心のみにくさが出て来る人もあるでしょう。そういう日おてゃ、あいつはいやな奴だなあと言われるでしょうか、それは死ぬ前に胃に溜まったものを吐いて死ぬ人生と、ちゃんと消化して死ぬ人の違いで、大きな神の眼から見たらそう大差はないということではないでしょうか。

P.142
「信仰というものは、九十九パーセントの疑いと、一パーセントの希望だ」と言ったのはフランスの有名なキリスト教作家ペルナノスですが、私は本当にそうだと思うんです。

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2010年01月24日

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