【感想・ネタバレ】他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学のレビュー

あらすじ

生の手ざわりを求めて――。
“正しさ”は病いを治せるか?
“自分らしさ”はあなたを救うか?
不調の始まる前から病気の事前予測を可能にし、予防的介入に価値を与える統計学的人間観。
「自分らしさ」礼賛の素地となる個人主義的人間観。
現代を特徴づける一見有用なこの二つの人間観は、裏で手を携えながら、関係を持つことではじめて生まれる自他の感覚、すなわち「生の手ざわり」から私たちを遠ざける。
病いを抱える人々と医療者への聞き取り、臨床の参与観察、人類学の知見をもとに、今を捉えるための三つ目の人間観として関係論的人間観を加えた。
現代社会を生きる人間のあり方を根源から問う一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

なんかとても時期を選んで出てきた感じ。先は見えない。落ち着いては来ている。いろいろと面白かった。深い時間というのがわかったようなわからないような。

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2022年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自動車事故を恐れるからといって自動車を禁止しない。
アルコール依存症が問題になるからといって禁止しない。
何をリスクとみるのかは何を基準にするべきか。

心房細動と抗血栓療法。出血のリスクを引き受けても抗血栓薬を飲み続けるべきである。飲まなければ必ず心房細動を起こすわけではない。皮下出血を起こしやすくなる。しかし血液サラサラの言葉に惹かれて薬を飲む。血液サラサラは、試してガッテンが最初に使った。

HIVやBSEは、合理性を欠いたパニックがみられた。
ゴンドラ猫の実験=自由に動けない猫は、ゴンドラを降りた後あちこちにぶつかる。=身体体験がないまま情報体験に反応して生きることは生命たりうる所以を骨抜きにする。情報発信者の意図のままに想像力が操作される。

震災時には、仮葬として土葬し、2週間後に掘り起こして火葬にした。冷たい土の中に閉じ込めておくことが耐え難かった。遺体を運ぶ車はトラックではなく、新車を含む10台の霊柩車らしく改造された車をつかった。
コロナのときは、有名人の死が、恐怖をあおるために報道された。
万が一、という留保が過剰反応を作り出している。万が一の連鎖が痛ましい死を作り出す。
大衆は、暴力的な事件を記号として喜んで消費する=ほどよい室温になったワインのように供されるのなら、大衆はそれを好んで飲む。

スマホ脳とファクトフルネス。どちらも狩猟採集民族である人類が今でも残っていることを主張の根拠としている。糖質制限食も同じ。=石器時代への幻想。パレオファンタジー。
農耕開始から1万年は十分な時間であるという主張もある。高地で生活したり、乳製品を効率よく消化する能力はここ数千年である。『私たちは今でも進化しているのか』マーリーン・ズック

平均人の病いの語り。=一般化可能性がある、が客観的事実として認識されやすい。
どんなときも。世界に一つだけの花、=自分らしく、自分らしさ、が強調された。
自分らしさ、を説明するとトートロジーになりやすい。
=大勢がそのようなもの、に対して抵抗すること。内発的に動機づけられていること。しかし、社会の規範を超えない範囲であること。
自殺は、自分らしいとは言われない。死ぬことは、家族との関係性の中で起こること。

統計学的人間観=平均人という概念を支える。
個人主義的人間観と関係論的人間観。

宇宙人と交流することは可能か。関係性をもつことができるか。
共存の枠=互いの間に規則性が生成される。挨拶はその規則性にはめるためのきっかけになる。

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2022年11月29日

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