【感想・ネタバレ】鈍い球音のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本シリーズ直前、東京ヒーローズの名物監督、桂監督が「ほとんど」いなくなった。試合はどうなる…というところから次々に問題発生。

日本シリーズの勝敗が全編を通して1つの大きな問題としてあり、その周りで失踪だとか誘拐だとかが起きています。球界問題や博打屋も絡んで誰がどこにどう関わっているのか、てんやわんやの楽しさと緊張感がありました。

コロコロとスピーディーに展開する物語と凝った構成に混乱。しかし、「ほとんどいなくなった」とか「胴体だけいなくなった」とか独特のセリフとユーモアあふれる文体、個性的な登場人物達が楽しくて止まることができずに一気読みです。

野球には詳しくないので、作中での球界についてや試合などにどれほどのリアリティがあるのかなどは分かりません。ルールを知っているだけという程度のわたしですが、一進一退の展開や終盤の試合などは楽しかったです。

失踪時の状況など、ふざけているとしか思えないような事柄にきちんと整合性があるのが素晴らしい。

ラストの登場人物たちそれぞれの人間ドラマにも感動しました。


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東京と大阪のオーナー二人が実は失踪事件に関係なく、ただ関係上お互いを疑いながらも黙しているというのがとてもうまい。怪しい雰囲気を醸し出しているものの、事件とどうのように繋がっているのかが見えず混乱の元でした。

最後の監禁場面なんかはけっこうピンチな状況でしたが、試合の緊張感や展開と相成って盛り上がったと思います。
谷田貝がいう通り、次々に起こる事件や謎をすべて保留にしてきて、ここまできてようやく真相が見えてくるというのもうまいしすっきり。

全ては桂監督の抵抗心からの知謀だったわけですが、桂監督がなぜこのよう形をとらなければならなかったかの理由にはなるほど、と思いました。
その動機から実行されたこの事件で、立花の実力を知ることとなったというのは運命的です。

ばかばかしいような事件の状況とは裏腹に切ない幕切れでした。

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2013年11月14日

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