【感想・ネタバレ】化身のレビュー

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婆子焼庵

タイトルをそのままとらえれば、仏が衆生を済度するために様々な形態で出現する時の姿を、登場人物に仮託していると思われる。出家しても俗なものから抜け出せないのは、男女ともに若い設定であるので、さもありなんと思わせられる。
通俗小説として切り捨てるには、作品の後半に出てくる婆子焼庵という言葉が意味深長に響いてくる。
当時、勝新太郎主演で映画化されたそうなので、いつかそちらも見てみたい。
また、随所に作者の博覧強記が披露されていて、天台のこと、仏教史のこと、寺門経営の内幕から近代絵画や河内・大阪文化に渡るまで、小説の合間に挿入される場面では、物語の本筋を忘れるほど興味深い。
特に尼寺の後継者問題の暴露話では、このようなモデルがいたのかもしれないと想像させるほど、リアルで具体的である。現代の寺院や檀家との関係、本山と地域との関係を窺い知ることのできる一つの生々しい記録のようにも、門外漢には読めた。

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2022年08月14日

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