岡田芳朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者は、日本史、殊に暦についてを専門にしてきた人だという。
プロフィルによると、その道に進んだきっかけは、神武天皇の紀元の計算方法に疑問を持ったことだそうだ。
本書第二章にも、その話が出てくる。
ここか一番、目からウロコの話だった。
聖徳太子は、隋と対等な国交関係を築こうとして、中国で権威のあった「讖緯説」により建国の年代を定めた。
まだ若い国家だとして軽視されないよう、後漢の鄭玄の説に則り、当時(推古天皇九年)から、1260年遡ったところを神武天皇の建国と定めた、というのだ。
そのために、当時残っている伝承と整合的な説明が出来ず、国史の編纂者たちは混乱して、天皇をやたらに長寿することでつじ -
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数年前に文庫本サイズの旧暦に基づいた72候(各24節気をさらに三等分したもの)が紹介されたものを購入し、それを勤務先の机の上に置いていて、時々眺めています。
現在私達は、正確な太陽暦を用いていますが、旧暦は太陽や月の運行をもとに、閏月を入れて調整しながら行っていたようで、そのカラクリには興味があります。
この本では、様々な暦や、それにまつわるエピソードを取り上げてくれていて、今まで読んだ中では一番面白かったです。今後も暦に関する本に触れていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・昔、中国では、閏月には王様は宮殿で休むことが叶わず、町中のどこかの門の下で休まなければならな -
Posted by ブクログ
・岡田芳朗「暦ものがたり」(角川文庫)は、「あとがき」によれば、「年代順に章を立てており、通読していただければほぼ日本における暦の変遷をご理解いただけるもの」(273頁)である。ただ暦の歴史を述べてゐるだけでなく、暦にまつわる様々なことにも触れてをり、いささか大袈裟だが、カバーの「時代を映す暦の森羅万象がわかる!」といふのもあながちまちがひではない。暦の専門家や暦に縁の深い歴史家ででもなければ、このくらゐの暦の知識があれば十分であらうと思はれる。古代から近代まで、自然暦から太陰暦、太陽暦、更には皇紀まで、暦の「通史ではない」(同前)が、いささか「硬い本」(275頁「文庫版あとがき」)である。正