ロバート・シラーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(いま流行りの)行動経済学の本です。ところで、書名にもなっているアニマルスピリットとは、安心、公平さ、腐敗、貨幣錯覚、物語だそうです。で、こういったアニマルスピリットが、時として、人を(経済)非合理的に振舞わせることになる源泉になるのです。
で、コンキチがこの本を読んで最も印象に残ったアニマルスピリットのファクターは、ズバリ、貨幣錯覚です。
大衆はインフレ率をちゃんと織り込むことができないということです。
つまり、「実質」ではなく「名目」しか眼中にないということ。物価スライド制とかそんなの関係ねぇって感じです。
ちなみにコンキチは、そういった大衆の盲目性を目の当たりにしたことがあります。それは、小泉政権初期のデフレ経済下、(コンキチの大嫌いな)労組の職場会で、次節の要求を話しあうことになりました。コンキチは、所謂ベア(ベースアップ)とは、賃金におけるインフレ調整機能だと考えていたので(実際には全くそうなっていないが)、ベースダウンすることを主張しました。デフレ下で、要求する側自らがベースダウンを切り出せば、ベアのインフレ調整機能としての役割は確固たる地位を築くことになる、そう考えたのです。そして、景気浮揚時にはなんの問題もなく、システマティックにベースアップが実行に移され、結果、実質賃金(購買力)の安定に寄与するという至極あたり前な主張をしました。しかしながら、120%歯牙にもかけられませんでした。
ま、そんなもんなんでしょうね。時の政府も、貸金業規制法改正とか、派遣規制とかの愚策にご執心(とまではいかないか)であったようだし。物事の表層しか見ていないのだ。
皆さんも本書を読んで、アニマルスピリットを学んでみませんか?大衆の非合理性を理解することができるかもしれませんよ♥ -
Posted by ブクログ
経済の仕組みと、それを管理して繁栄する方法を理解するには、人々の考え方や感情を律する思考パターン、つまりアニマルスピリットに注目しなければならない。アニマルスピリットとは、経済の中の不穏で首尾一貫しない要素をさしている。それには下記の5つの側面がある。
1.理論の礎となるのは安心であり、安心と経済のフィードバック機構である。この機構は不穏さを拡大する。
2.賃金や価格の決定は公平さに大きく左右される。
3.腐敗と配信行動への誘惑も認識するし、それが経済でどんな役割を果たすかも考慮する。
4.貨幣錯覚も理論のもうひとつの礎石。インフレ、デフレで混乱し、その影響について理詰めで考えない。
5.自分が何者で何をやっているかという現実感覚は自分や他人の人生のストーリーと絡み合っている。そうした物語の総和が国の物語や国際的な物語となって、経済で重要な役割を果たすようになる。
これらを元に、不況、中央銀行、失業、インフレ、貯蓄、不動産価格、黒人の貧困等を読み解く。
本当の具体的な具体策は述べられていないが、これらのヒントは今後為政者や金融監督機関にとって重要な示唆を与えるであろう。
ジャックウェルチの引用が面白かった。
彼が重視しているのは「死んだ本」の知識や書類ではなく、議論に掛ける情熱であったことと、投資回収分析のOHPにバッテンをつけて無限という言葉をなぐり書きし投資に対する収益が永遠に続くのだという事を強調した事。 -
Posted by ブクログ
アニマルスピリットとは 安心、公正、腐敗と背信、貨幣錯覚、物語
合理的 非合理的
経済的 ? ?
非経済的 ? ?
既存の経済学…?の状況でしか使えない
アニマルスピリット…???の状況で使える
既存の経済学が適応できる標準化された世界(合理的、経済的)はとても狭い
我々が生きる広い現実世界はとても不条理で予測不能でそこではアニマルスピリットがとても重要な役割を果たしている
資本主義は公正なルールと適切な管理者がいてこそ正常に機能する ルールがない(もしくは変化する現実(例えば複雑化する金融商品)にルールが追いつけなくなると)屑商品が出回り、一般市民は(投信や401K経由で)資産をカモられ仲介の金融業者が私腹を肥やす そして市場に対する安心感は奪われ深刻な不況になる -
Posted by ブクログ
好況と不況、経済のターニングポイントでナラティブが担った役割についての考察。全体を通じて「…かも」と今ひとつ歯切れが悪いのは、その威力の全体像がはっきりしないからなのか。現代、急激なAIの進化の真っ最中である。OSINT、NoSQLデータベース活用により、草の根的に経済を読み解き稼ぐ者が増え、悪しき者が強力なナラティブをポイズニングし私欲を満たす様な事態に政府や一般民が巻き込まれた後、学術的にまとまるかもしれない。だが、仮にまとまったとて、そんな未来における経済・社会に占める人の役割の心もとなさ、憐れさよ。脆弱なる我々は何を聴き何を語るべきなのか。
とここまで書いたが、ナラティブに関しては情報技術の相性故に、このような書籍にまとまる頃には既に…。などと思わずにはいられない。訳者あとがきもいい味わいを出している。 -
Posted by ブクログ
これまでの経済学では人間を合理的な存在として考えていたが、実際、人間の行動はそんなに合理的ではない。
経済変化の中にナラティブ(ある特定の物語や物語群の形)の感染を組み込む必要がある。
経済学からほど遠い自分としては、むしろこっちのナラティブ経済学の方がしっくりくるように感じたり。
これからは、人々のナラティブがSNSなどでデータ収集しやすくなる。そうすると、経済の予測もしやすくなるのだろうか?
ただ、この本の具体例はアメリカのものが多く、正直よく分からなかったり…
以下メモ
・ナラティブ経済学を研究することで、経済の変化を理解する、より良い予測ができるようになる。
・ヴァイラル(viral) :ウイルス性の。疫病のように人から人へとうわさが広がり伝染する
・通俗ナラティブの例:ビットコイン
ビットコインは皆が価値あるものと思わなければ何の価値もない。他の人がビットコインに興味を持つから、他の人も関心を持つと信じているから価値が出る
・人が物語を伝えるときにはオキシトシンとコルチゾールの分泌が高まる。人は物語を伝えたい性質。 -
Posted by ブクログ
経済ナラティブというのは、人々が経済的判断をするやり方を変えそうな、感染性の物語を指す。経済的判断とは、労働者を雇うか好機を待ち続けるか、事業でリスクを負うか慎重になるか、事業を立ち上げるか、変動の激しい投機的資産に投資するかといった判断だ。経済ナラティブは通常、流通している中で最も有力なものではないし、それを見極めるには、それが経済的行動を変える潜在力を見る必要がある。ビットコインの物語は成功した経済ナラティブの一例だ。きわめて感染性が高く、世界の相当部分でかなりの経済的変化をもたらしたからだ。本当の起業家的な情熱をもたらしただけではない。少なくともしばらくは、事業の安心感を茂樹したのだ。
■経済ナラティブ 7つの主張
1.流行は速度も規模も様々。流行の時間軸や規模には大きなばらつきがある。
2.重要な経済ナラティブは世間的な話題のごく一部でしかないこともある。ナラティブはあまり耳に入らなくても、経済的に重要かもしれない。
3.ナラティブ群は単独ナラティブのどれよりも影響が強い。群れが重要だ。
4.ナラティブの経済的な影響力は変化するかもしれない。ナラティブが時間とともに発達する中で変わる細部が重要だ。
5.虚偽のナラティブを止めるには、真実だけでは不十分。真実は重要ではあるが、それは本当に有無を言わせないくらい明らかなときだけ。
6.経済ナラティブの感染は反復機会を利用する。強化が重要。
7.ナラティブはつながりで栄える:人間的興味、アイデンティティ、愛国心が重要。
■繰り返さない経済ナラティブ
1.反復と変異
2.パニックと不安
3.倹約VS顕示的消費
4.金本位制VS金銀本位制
5.労働節約機械が多くの職を奪う
6.オートメーションと人口知能がほとんどの職を奪う
7.不動産バブルとその崩壊
8.株式市場バブル
9.ボイコット、不当利益、邪悪な企業
10.賃金物価スパイラルと邪悪な労働組合
本書で私は、一段落丸ごともある引用を異様なほど多用している。それは読者に、影響力を持ち、同じ言葉で繰り返されたら再び影響力を持ちそうな過去のナラティブについて、歴史的な感覚を示したかったからだ。ジョークや歌と同じで、効果的なナラティブは、単語とその語り口がちょうどよくなければいけない。
■訳者あとがき
…人々の経済行動を操る物語をどのようにして考えるべきか?特にミクロ経済レベルで個人がだまされたというレベルにとどまらず、マクロ経済的な景気循環にまでそうしたナラティブは影響しているのではないか?すると、社会全体に流通するナラティブの興亡をたどることで、その後の経済変動について示唆が得られるのではないか?特に現在、ニュースや新聞記事、書籍内の用語登場頻度の検索を通じて、世間的なナラティブの普及や流通について計測しやすくなっている。最近ではツイッターやSNSなどで、各種のナラティブの普及の様子を細かく追えるようになっている。これを使えば、各種の文化や概念的な流行と経済変動との関係を定量的に分析できるのではないか?
ミクロ経済学の方面では、人が様々な物語などを聞いてプライミングされ、経済行動を変える話が行動経済学で大量に実証的に示されている。数字の上ではまったく同じ利得の選択でも、それをどういう文脈で、どういう言い方で提示するかにより、人々の選択は変わる。そしてそれを政策的にどう活かすかについても、…、各種の「ナッジ」戦略などが提起され、人々の健康保険加入や給与天引き式の年金貯金の促進など、具体的な成果も上がっている。
マクロでも同じことができるだろうか?著者はできると述べて、様々なナラティブとそれに影響された(と称する)景気変動の例を挙げ、ナラティブ経済学的なアプローチの重要性を指摘するとともに、今後のナラティブ経済学発展に向けた方向性について述べる。 -
Posted by ブクログ
タイトルでもある「アニマルスピリット」という言葉は、書中に何度も出てくるが、訳者によればケインズの「一般理論」において出てくる言葉であるという。元々の邦訳では「血気」と訳されていたようであるが、本書においては、経済的合理性だけで行動することができない人間の意味で使われているため、言葉の持つ印象と乖離することからそのまま、「アニマルスピリット」としてそのまま引用されている。
さて、そのアニマルスピリットであるが、基本的に5つに分類されている。
1.安心
2. 公平さ
3.腐敗と背信
4. 貨幣錯覚
5. 物語
こうした要素が人々の合理的な判断を限定的なものにし、ときに非合理的な行動をもたらすという。
本書は、著者が書中でも述べているようにマクロ経済学の本であり、行動経済学が主たるテーマとして書かれているわけではない。したがって、R/セイラーのような、実験に基づく人々の非合理的行動のケーススタディはあまりなく、非合理行動をより一般化したものである。それだけに抽象的で難解である。それだけに、読者が投資や実務などの実社会での活動にここで書かれていることを直接役立てるようなことは期待すべきではない、極めて理論的な内容である。
基本的は、フィリップス曲線やインフレなどのマクロ経済の基礎知識がないと理解が難しいであろう。 -
Posted by ブクログ
ケインズ理論とヒックスの乗数効果
安心乗数=安心感の変化がパニックを引き起こす
衡平理論
貨幣錯覚=名目金額の影響を受けること
パニックは理性の外にある
効率賃金理論=需要と供給で決まる賃金より実際の賃金は高い=やる気を引き出すため。サボらないように。
貯蓄率は国ごとに違う。国富とは無関係。
トヨタ自動車とアルゼンチンの国営自動車会社との違いは自信と自負の差による。経済学は考慮できない。
トービンのq
貨幣錯覚も住宅投資をすばらしいもののように思わせる一因。
ローンを売り渡すことができるようになったことが、リーマンショックの遠因である。
ISLM理論。