阿部重夫のレビュー一覧
-
SF要素のない、ディックが自身を投影した準私小説。現代でいう発達障害らしき青年で世間とそりが合わない兄が、わがままだが裕福で世知に長けた妹の不倫に巻き込まれるかたちで物語は進む。序盤から登場人物の言動が強烈でいきなり眼が離せなくなり、徐々に昼ドラ的な愛憎劇に引き込まれていく。世間的には恵まれた存在で...続きを読むPosted by ブクログ
-
ディックの非SF小説。SF的設定がないので個人的にはものたりない。イジドアの妹・フェイの強烈さが印象深い。フェイの夫の退院後の行動も強烈な印象を残す。Posted by ブクログ
-
非SF作品ってことで読んでなかったけど意外に楽しめた。ディックは本当はこういうの書きたかったていうか主流文学を書きたかったのかなと思った。人物造形が丁寧で、描きこみもきっちりしており、アメリカ文学だなって感じする。読んで損はない。Posted by ブクログ
-
訳注が過剰で煩わしく感じてしまった。^^;
ディックファンなら解説本に手を出しちゃうと思うし、今は楽にネットで検索出来ると思うのですが、知らないままで間違った解釈をして欲しくないという意向があったのかな?Posted by ブクログ -
第一次世界大戦前後のドイツ、イギリスの争いと、
その後のイギリスによる統治に至るまでを
主要人物を軸にドラマチックに描く。
やや演出に過ぎ、どっしりとした大局観に欠く
印象を受けたが、魅力的な人物らの所業によって
建国されたイラクの矛盾は興味深い。
個々の事象や人物について、
もっと腰を据えて知りた...続きを読むPosted by ブクログ -
[ 内容 ]
サッダーム・フセインを放逐し、イラクに救済者として降り立ったアメリカは、民主主義という福音がこれほど無力とは思っていなかったろう。
なぜ戦後復興は泥沼に陥ったのか。
宗派や民族の対立、いびつな国土という混乱の種は、イラク誕生時すでに蒔かれていた。
一九二一年、暴発した排外運動を封じ込め...続きを読むPosted by ブクログ -
ディックのSFではない、実質処女長編。エヴァンゲリオンの碇シンジ=本作の主人公ハドリー、という訳者解説で少し構造が見えたような気がする。終末のイメージを旧約聖書やヨハネ黙示録などに負い、魂の彷徨を繰り返した末に見えるものは何か。23歳の若かりし日に書かれた本作は、晩年の宗教的な小説にも通じるものを感...続きを読むPosted by ブクログ