瀧晴巳のレビュー一覧
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上橋菜穂子さんの名著「獣の奏者」「精霊の守り人」が生まれ、育まれるまでの道程を、幼少の頃の体験から、文化人類学研究者へ進むところ、作家デビューまでその時の気持ちや想いを中心に振り返って行く。
まるで目の前に獣がいるかのような、そんな表現ややさしい文体をどうやって作って行ったかに興味があった。上橋さんは、幼少の頃から本の虫。勇気も希望も本から得た。指輪物語などの海外の名作をむさぼるように読んで、その世界観を空想の中で育てて来たイメージだ。夢見る夢子さんと自称するほどの、夢見がちな少女。本をいつか書けるという夢。そこに疑問を持たずに、様々な努力が帰結していった結果、アンデルセン賞受賞作家が出来上がって行く。父親が画家だったことも、影響を与えた一つだろう。アートに触れる機会が多かったのかもしれない。また、海外に行ける財力もまた彼女を支援したことの一つかもしれない。
物語ることは、彼女にとって空想の世界を具現化したもの、溢れ出てくるものであると思う。たくさんのドラマが、自分にとって作品へのアイデアやヒントになっていく。ただ、漫然と生きるのではなく、夢に向かってしっかりと生きること。それが物語ることの源泉であると語ってくれていると思う。戸田奈津子さんが、夢はいつかかなうなんて甘すぎる、夢がかなわないかもしれないと思って、それでも準備する。いつまでも、その機会を待って、待って、夢はかなうかもしれないというものよと。日本人の女性は強いんだなあ。 -
Posted by ブクログ
上橋菜穂子さんが作家になるまでの歩みをまとめた1冊。
「おばあちゃんとわたし」という子供の頃の上橋さん(めっさ可愛い)が登場するお話から始まるこの本は、上橋さんがとてもたくさんのものへの憧れを持っている人であること、臆病な自分を何とか奮い立たせて世界を広げてきたことを教えてくれる。
どのエピソードもキラキラと輝いていた。
上橋さんは「靴ふきマットの上でもそもそしているな!」と自分自身に活を入れるそうなのだけど、実際に靴ふきマットの外に飛び出すのにどれほどの勇気が必要なのか。
やはり臆病者の私には勇者にしか見えないのだった。
だからこの本を上橋菜穂子さんという1人の勇者の物語として私は読んでしまった。
あと、やはり広くて深い世界の物語として。
上橋さんの物語は私に世界の広さを教えてくれる。
自分と異なる他者の中にある世界の広さ。そして深さ。
あの物語がどこからやってきたのかの答えの一部がこの本の中にある。
あるんだけど、それだけじゃない。
この本にも世界が広がっている。
上橋さんは本当にすごい。やはり勇者にしか見えないのだった。 -
Posted by ブクログ
なんてこと!
最後のブックリストをみていて、萩原規子さんとごっちゃにしていたことにようやく気付いた。
私、この人の本、読んだことないんじゃあ。
話題の上橋さんの「夢見る夢子ちゃん」になった背景と作家までの驚きの道のりが語られる。
おばあちゃんの語ってくれる昔話。
歴史、考古学への興味と文化人類学のフィールドワーク。
「その道を究めたら、どんな答えが待っているかもわからないまま、ただ、目の前の問いと一心に向き合い、学ぼうとする人間がいる。」こんな人に惹かれるというけれど、すでにあなたもですから!
子どもにもわかりやすく書かれているので、ぜひウチのチビちゃんにも読んでほしい。
「経験は大切です。でも、べつに、人とちがうことをたくさんしなければいけないということではなくて、むしろ、人と同じことをしていながら、そこに人とはちがうものを感じることのほうがたいせつだと思います。」