早島大祐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
キャッチーなタイトルの割に、もはや超ガチな歴史学術分析書なんですが(笑)。
初めて歴史学の本を読んだよ、という意味では、自身のなかで、なかなかニューだった。
一応、書きぶりは、一般読者向けになっている。専門用語の詳細な説明もある。
基本的には面白く読んだし、構成の仕方はさすがなかなかうまい感じは受けたが、
ところどころ使われている比喩がああまりうまくない気がしたのと、句読点の付け方がどうもちょっと読みにくい気がしたのと(趣味の問題もあるかもしれないけれども…)は、やや気になった。まぁ、小説ではないので、文のうまさを求めても仕方ないのですが(^^;)。
本編は、徳政令の歴史上の変遷を追いかけていて、そんなピンポイント視点を持ったことがなかったのでなかなか面白かったけど(しかも、何気にそれを取り巻く社会環境も大きく変化していってて面白い)、実は本編最後のappendix的な部分の内容が少し面白かった。「天下」が意味するところが戦国時代辺りをけいきあに変わった、とか。(観念的(宗教的)な全国支配、天下=高さ→実質的、実効性のある全国支配、天下=広さ) -
Posted by ブクログ
人々が徳政令の評価を変えていった流れが書かれた本。
徳政令を巡る騒動を残っている資料を基に解説しながらどう世の中が変わっていったのかが書かれている。
当初は債権者の社会的立場が低かったり、利子が容易に元本以上になっていたりした時代には”徳政”であった法も、時代とともに債権者をないがしろにし過ぎたらにっちもさっちもいかなくなったり、あまりにも乱発されたり、悪用ともいえる上手く立ち回る人間が出てきたりした結果、徳政になりえず社会を乱すだけになっていくにつれて評価も変化してしまう様が解説されている。
相殺の精神とでも言うべき、一つの論拠を基に話を進めるのではなく自分の主張を通すために相手の論理と相殺するための自分の論理を持ち出す、また相手もそれを受けて話を進める文化だったり、徳政令を巡って地域や組織に根付いていた「信用」が毀損されて社会が不安定化する様など興味深い話だった。
あと、いつの時代も財政難は政策を迷走させるのだなとw
ただ、副題の「なぜ借金は返さなければならないのか」は的外れな気がする。
当初は徳政令が受け入れられていたし、現代でも借金の減額なりが求められることがあるわけで、返却そのものが絶対的な正義ではないし、本書の内容でもそのようには読み取れなかった。
大事なのは継続性と信用の担保であり、返す返さないのどちらが正しいかは状況次第なのだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
はじめに
第1章 中世とは何か~債務破棄が徳政と呼ばれた時代
第2章 正長元年の徳政一揆、室町幕府を飲み込む
第3章 法と法のシーソーゲーム
第4章 室町の格差社会
第5章 過剰負荷社会の誕生
第6章 「大法」に飲み込まれる人々
第7章 接触する法と社会
第8章 「裁定者」の誕生
第9章 分断される一揆
第10章 徳政に侵食される社会
第11章 貸借・土地売買と徳政
第12章 シーソーゲームの終わり
終章 「新しい人」の登場~文明の転換期としての戦国時代
<内容>
意外と大部である(310ページ)。ただ、「徳政令」をキーワードに中世から近世へと転換していく室町社会を活写している。室町時代は混沌とした時代だとは思っていたが、なるほど貨幣経済の発展に社会が付いていけず、そこが「徳政」の生まれる訳があったようだ。授業で使うには専門的すぎるが、高校の日本史教師はこのレベルを知っておいた方がいいのではないか?