大平貴之のレビュー一覧
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ドイツのツァィス社が投影式のプラネタリウムを作ったのは1923年。その業界は伝統的に光学メーカーの領分であり、日本でもツァィス以外では、コニカミノルタや五藤といった専門メーカーしかなかった。とても個人が参入や革新できる業界ではないと思っていた。
ところが、そうではなかった。著者の大平貴之氏は1970年生まれ。小学生で簡易なプラネタリウムを製作し、その後さまざまな専門知識や技能を身に着けながら、高性能のプラネタリウムを生み出してゆく。さらには大平技研として起業し、その業界へと本格的に参入。本書に描かれているのは、その手に汗握るプロセスだ。
本書を読むまで、プラネタリウムは裸眼で可視の星(6等星程 -
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大平さんの名前は知らなくても、「メガスター」というとんでもないプラネタリウムがあることは多くの人が知っています。
最初に発表されてから、もう20年近くたちますが、その間大平さんがなにをしていたか、報道される「すごいプラネタリウムを開発」の間になにが起きていたのかがよくわかります。
自分が起こしたイノベーションを、何度も超えていこうと向き合う姿は、技術者の厳しさと美しさを体現しています。
独立したあと、会社を率いるトップとしての資質と行動に悩む姿、あくまでも技術者として新たな世界を現実化する姿、そして毛利衛さんとの関わりがとても印象的です。
実話版「坂本龍馬」というべきか、若いときに読むと -
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ネタバレ愛好家から高い支持を集めるメガスター、星が綺麗との評判に、以前から興味があった。岐阜県藤橋城では、お城のなかに設置されているとか。近いうちに行ってみようと思う。
「星に願いを〜七畳間で生まれた410万の星〜」も観てみたい。
毛利さんからの厳しい言葉。そして、約束。約束を果たしたシーンは、感動で背筋がぞくぞくした。
エストニアの全天球プラネタリウム、観てみたい。
3Dの星空とプラネタリウム、町の夜景を融合させた企画「東京スターりーナイト」は是非観に行きたかった。次に開催されたら必ず行きたい。「中にはスピード違反で赤色灯を明滅させた覆面パトカーに追いかけられる車まで再現するという凝りようだっ -
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ネタバレ本書を読んで強く思ったこと
・山梨の科学館の影響力の大きさをしった。
以前からここの番組制作力は素晴らしいと思っていたが、より行きたいと強く思うようになった。
・エストニアの全天球プラネタリウムを初めて知り、そのアイデアを出した女性が強く印象に残った。 一度見てみたい。
・日本における2社のプラネタリウム(GとM)に対してメガスターがどう挑むか。 互いの終わり無き闘いが記してあり、興味深かった。 ツァイスがどういう姿勢なのか、少し気にはなった。
・川崎がそうであるように、やはりプラネタリウムは生解説こそ魅力が充分に発揮されると改めて思った。 古き佳きプラネタリウムをもっと多くの方に知ってほ -
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ネタバレポータブル型プラネタリウムを学生時代に自力で開発。
ソニーに入社し、生産技術部門に配属。花形部門でないため残業が少なく時間確保、資金も増えて開発も継続。
ISP国際プラネタリウム協会の大会で大学の時に作ったアストロライナーの発表を行い賞賛される。
2年後、性能を上げた「メガスター」を製作し、ロンドンの大会で発表。
世間で評判となり、個人の趣味であったものが、上司の薦めにより、役員に認められてソニーでの事業化が決定。知財権利をソニーに許諾することになり、ソニー製「シアタリウム」が完成。一方で同時に500万個以上を投影できる個人の「メガスターⅡ」も完成し、東急文化会館の最後のイベント開催となった。 -
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とても背が高い人だったことを覚えている。
10年近く前、日大二高物理部OB会で一度だけ大平さんに会ったことがある。
俺が二高の物理部でうだうだやっていた2002年からの3年間、すでに当時でも物理部黄金期として過去の話として語られていた伝説のOBである。
日本でプラネタリウム・クリエイターといえば、この人以外に当てはまる人はいないだろう。
個人で製作したプラネタリウム、メガスターが100万個の星を映し出し日本中の注目を浴びた。
人とは違う価値観ゆえに、人間関係の構築は苦手だった。
ソニーに入社するも、個人的にプラネタリウム製作を続け、それゆえにソニーを離れて独立するこ -
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大都会では見ることが困難となった満点の星空を再現するプラネタリウム。従来のプラネタリウムは6等星までの恒星約9000個の投影能力であるのに対し、著者の大平氏が作成したメガスターは11等星までの約100万個の恒星を投影する能力を有します。これをほとんど自力で開発、作製した著者自身による開発ストーリーです。
自分の好きな事で起業し、それを事業として成立させる過程がどういうものなのか、俯瞰することができる好著です。従来のプラネタリウムを凌駕する最大の要因となった技術要素について、もう少し詳しい記述があったらもっと良かったのにという印象です。これは著者が技術開発よりもプラネタリウム作製を事業として成り