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個人製作は不可能といわれたレンズ式のプラネタリウムを、大学生にして独力で完成させ、ソニーに就職後も、二足の草鞋で、当時、投影恒星数世界最多、重さ30キロの移動式プラネタリウム「メガスター」を開発した天才技術者、大平貴之。人間関係が苦手で、周囲と衝突を繰り返し、ソニーを飛び出した大平は、既存メーカーとの熾烈な開発競争などの苦難に直面しつつも、世界最先端の独創的なプラネタリウムを次々に作り出していく
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Posted by ブクログ
ドイツのツァィス社が投影式のプラネタリウムを作ったのは1923年。その業界は伝統的に光学メーカーの領分であり、日本でもツァィス以外では、コニカミノルタや五藤といった専門メーカーしかなかった。とても個人が参入や革新できる業界ではないと思っていた。 ところが、そうではなかった。著者の大平貴之氏は1970...続きを読む年生まれ。小学生で簡易なプラネタリウムを製作し、その後さまざまな専門知識や技能を身に着けながら、高性能のプラネタリウムを生み出してゆく。さらには大平技研として起業し、その業界へと本格的に参入。本書に描かれているのは、その手に汗握るプロセスだ。 本書を読むまで、プラネタリウムは裸眼で可視の星(6等星程度)を投影できれば十分だと思っていたが、これもそうではなかった。1998年、大平氏はメガスターで投影恒星数150万個を達成、2004年には、560万個でギネス記録。2023年には、メガスターⅡAでなんと7億個。ギネス記録を塗り替えた。数の単位はもうメガではなく、ギガに突入した。
大平さんの名前は知らなくても、「メガスター」というとんでもないプラネタリウムがあることは多くの人が知っています。 最初に発表されてから、もう20年近くたちますが、その間大平さんがなにをしていたか、報道される「すごいプラネタリウムを開発」の間になにが起きていたのかがよくわかります。 自分が起こしたイ...続きを読むノベーションを、何度も超えていこうと向き合う姿は、技術者の厳しさと美しさを体現しています。 独立したあと、会社を率いるトップとしての資質と行動に悩む姿、あくまでも技術者として新たな世界を現実化する姿、そして毛利衛さんとの関わりがとても印象的です。 実話版「坂本龍馬」というべきか、若いときに読むと、きっと燃える想いを胸に抱けるはずです。
好きなことを仕事にする、というのはこういうことなんだな、と思う。好きだからこそ、スケジュールがきつかろうが、世界で他に誰もやっている人がいなかろうが、いろいろ勉強して実現できる。ハードワークが気にならないようなことが”好きなこと”なわけで、よく若者がいう「好きなことを仕事にしたい」っていうのは根本的...続きを読むに意味が違うのではないかと思ったり。
メガスターをはじめとする著者のプラネタリウム開発史。割と技術的な面(それほど具体的ではないけど)中心。メガスター以降の機械・映像が、バーチャルというかアート的な面を含めてすごいことになっているようだ。一度現物を見てみたいもの。 ただ、ちょっと気になるのはそれがそれだけで完結してしまう恐れ。プラネタリ...続きを読むウムが現実の星空を見るための手段であったというのが置き忘れられないか。というか現実自体が置き忘れられそう。まあ、現実を超えるバーチャルというのが現代の潮流であるのはこれに限らないけど。
面白かった。プラネタリウムでのスティーブ・ジョブズ。 人々をアッと驚かすプラネタリウム製作にかける情熱、思いは清々しく素晴らしい。 感動した。
とても背が高い人だったことを覚えている。 10年近く前、日大二高物理部OB会で一度だけ大平さんに会ったことがある。 俺が二高の物理部でうだうだやっていた2002年からの3年間、すでに当時でも物理部黄金期として過去の話として語られていた伝説のOBである。 日本でプラネタリウム・クリエイ...続きを読むターといえば、この人以外に当てはまる人はいないだろう。 個人で製作したプラネタリウム、メガスターが100万個の星を映し出し日本中の注目を浴びた。 人とは違う価値観ゆえに、人間関係の構築は苦手だった。 ソニーに入社するも、個人的にプラネタリウム製作を続け、それゆえにソニーを離れて独立することになる。 プラネタリウムの星の数の競争から離れ、人が見たことのない景色を追い求め続け、それは今でも続いている。 理系の人間は、極めると芸術になる。 俺が大学で鳥人間サークルだったとき、どこかの大学の教授が「美しい期待ほど、よく飛ぶ」と言っていたらしい。 大平さんが作るプラネタリウムも技術を極めて芸術に昇華している。 読んでて、新幹線でもプラネタリウム投影して、窓に液晶はめ込んで宇宙を猛スピードで駆け抜けていく演出ができたら面白いのになぁとか、 ナイトビュー姨捨で日本三大車窓の夜景とプラネタリウムのコラボは面白そうだなぁと思った。 そしたら釜石線のSL銀河で、すでに車内プラネタリウムの投影やってるのね。今度乗りに行こう。 こんなすごい人が部活のOBにいるのは、パッとしない物理部だったけど、少し誇らしい。
大都会では見ることが困難となった満点の星空を再現するプラネタリウム。従来のプラネタリウムは6等星までの恒星約9000個の投影能力であるのに対し、著者の大平氏が作成したメガスターは11等星までの約100万個の恒星を投影する能力を有します。これをほとんど自力で開発、作製した著者自身による開発ストーリーで...続きを読むす。 自分の好きな事で起業し、それを事業として成立させる過程がどういうものなのか、俯瞰することができる好著です。従来のプラネタリウムを凌駕する最大の要因となった技術要素について、もう少し詳しい記述があったらもっと良かったのにという印象です。これは著者が技術開発よりもプラネタリウム作製を事業として成り立たせる部分に立ちはだかるハードルに困難さを感じた事が原因かもしれません。 しかし、この本を読んだら改めてプラネタリウムに行ってみようという気を読者に起こさせるだけの訴求力は十分にあります。
むかし、プラネタリウムでデートするのが好きだった。夜をともに過ごしているような気がして。その頃のプラネタリウムとは比較にならないくらい綺麗なプラネタリウム。プラネタリムを進化させたのはこの著者とデジタル機器だと思う。よくテレビに取り上げられているので、知ってはいたが、夏だ、久しぶりにプラネタリウムに...続きを読む行ってみたくなる。
(人間が地球から見ているよりも)緻密で解像度の高い星空を、自らの手で作り出した天才の自伝。 テレビや記事で知っていることもあったが、時系列でまとめて読むと、改めて心拍数が上がります。 偉人伝を読むワクワク感。 後世に名を残す人が今まさに活躍している時代に自分も生きているのが誇らしいと感じる。 この本...続きを読むを見つけて即買いしたあたり、私はこの人のファンなのだなと自覚した。
愛好家から高い支持を集めるメガスター、星が綺麗との評判に、以前から興味があった。岐阜県藤橋城では、お城のなかに設置されているとか。近いうちに行ってみようと思う。 「星に願いを〜七畳間で生まれた410万の星〜」も観てみたい。 毛利さんからの厳しい言葉。そして、約束。約束を果たしたシーンは、感動で背...続きを読む筋がぞくぞくした。 エストニアの全天球プラネタリウム、観てみたい。 3Dの星空とプラネタリウム、町の夜景を融合させた企画「東京スターりーナイト」は是非観に行きたかった。次に開催されたら必ず行きたい。「中にはスピード違反で赤色灯を明滅させた覆面パトカーに追いかけられる車まで再現するという凝りようだった。」すごいこだわり。
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