中村祥二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
香りの勉強を始める第一歩として読み始めると、面白くてあっという間に完読しました。
「香り」に関する言葉の少なさは、言われてみれば確かにそうで、漠然としか捉えることができないものですが、中村さんの丁寧な言葉遣いと表現力で、ふわっと目の前に香りがあるような心地がしました。
実際にどんな香りなんだろう..と心を馳せながら読むのはとても楽しかったです!
ご本人のお人柄なのか、言葉の節々がとても物腰柔らかで、化学式や名称もしっかり出てきますが難しすぎることはなく、体験談などもあり初心者でも十二分に楽しめます!
「新しい香りの教科書」を同時に読みながらだったので、さらに理解が深まりました!こちら本作の知識をかなり簡単にサマライズしてビジュアルと一緒に読めるので、オススメです。
"本に香水で香りを映す"というエピソードがあり、これを読んでいる期間中に出会った香水をムエットに染み込ませ、栞代わりにして読みました。
いまでも本を開くと、ふわっとダマスクローズとレモンやマンダリン、ピンクペッパーとパチュリの香りがします。
CHANELのレゾードゥシャネルParis-Parisです。 -
Posted by ブクログ
匂いが人や動物に与える影響について、知らないことばかりで非常に興味深い内容だった。やや専門性が高く、難しい部分もあったが、筆者が表現するその時々の香りは読み進める度、その場所に訪れてみたくなったり、絶対に嗅ぎたくない匂いだと思ったりと、様々に匂いを想像できて面白かった。訓練されたパヒューマーや香りの研究達の嗅覚がどれほど優れているかを様々な形で紹介していたが、どのエピソードも一般人の私には到底不可能であろう範囲まで嗅ぎ分けていてとても驚いた。シャネルの香水、No.5の名前の由来など、つい友達に豆知識として話したくなるような内容も多くあった。私自身この本を読んでから、これまで気にも止めていなかった日常の匂いに意識を向け、これは何の匂いでどこから香っているのか、そんな事をつい考えたりしたが、嗅覚を敏感にさせ、生活すると不快な匂いも余分にキャッチしてしまい、辛くなる時が多々あることを知った。筆者を含め、普段から嗅覚を訓練している人は嗅覚が鋭いからこそ、ある意味では生活しづらい部分もあるだろうと感じた。アロマテラピーを勉強している私にはとても為になる1冊だった。
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Posted by ブクログ
とても面白かった!
著者は資生堂の研究所で香りの研究を行ってきた人。
芳香とされる香りがどのような成分か、天然香料はどうやって採取されているのか、香道やアロマセラピーのこと、歴史的な人物と香りのエピソード、香りに関わる語彙など、香りに関わることが幅広く扱われている。
やはりプロだけあって、香りを表現する言葉遣いがすごい。
例えば、ニオイザクラの一種、駿河台匂の香りの描写。
「アニスアルデヒドとクマリンが桜餅様の粉っぽいフローラル感を強めている。ヒヤシンス様の新鮮さを感じるのも面白い。」
化学物質名と日常的に親しみのある似たものを結び付けて説明してあるので、化学に明るくない自分でもイメージができる。
香妃が体から放つ香りとはどのようなものだったかとか、生後間もない筆者のお子さんの枕元を走り回るムカデを見て、筆者自身の体臭が一瞬で変化したエピソードとか、本当に香りの世界は奥が深くて面白い。 -
Posted by ブクログ
資生堂の調香師として長らく活躍した氏による実録&エッセイな一冊です。
ばら情報も豊富。ローズの香りの成分のうち解明されているのは全体の半分にすぎないのだそう。量にしたら95%。ただ、残りの5%こそが問題である、と氏は語ります。
ミスター・ローズ鈴木省三さんとのエピソードも。
ほかにも、ふだん香りをあまり感じていない椿やさくらなどの花々からも香りのエピソードがたくさん。氏の文章によって、調香師の感覚をひととき借りることができます。
冒頭の香りをとおして"話"をする植物や虫たちのお話なども面白いです。
専門的なのにぐいぐい読ませるあつくて聡明な語り口に惹かれて、他の本をほっぽり出して一気に読めました。
染織家の志村さんにしてもこの方にしても、感覚を研ぎ澄まされていると
こんなにも語彙が豊かで、なにを感じるのにしても一般人とかなり違うのかと興味深いです。
天然香料については歴史や経済地理学、環境学、政治問題と密接に結びついていること、ある種の香料に関してはほぼ枯渇している状況を思うと愕然としますけれど、
森林できれいな香りを採取しても公害物質なども共に得られてしまうことも書かれていてぞっとしたりします。
じつは20年以上前に書かれた古い本らしいのですが意識せず読めましたし、改訂もされています。
ミステリのような装丁もかわいい。手帖とかいてノオトと読むみたいです。 -
Posted by ブクログ
何十年もの間、様々な香りとつきあい続けてきた調香師による、格調高い随筆集。香りの世界は、ロマンに満ち溢れている。乳香や没薬、ムスクやアンバーグリス、あるいは白檀や沈香・・・クレオパトラや楊貴妃、そして源氏物語も、香りによって豊かに彩られている。
これまで、匂いそのものに対してはほとんど興味がなかった。けれども、嗅覚というシステムについて調べを進めていくうちに、香りの世界が限りなく豊穣な広がりをもっていることに気付かされた。香水というと、これまではむしろネガティブなイメージしかなかったけれども、それはパフューマーの創造した香りのシンフォニーだったのだ。
この本には、多種多様な香りが登場する。けれども、いくら著者が言葉を尽くして説明したくれたところで、実際に嗅いでみないことにはその匂いは決して分からないのが残念だ。これが香りつきの本だったなら、どんなに素晴らしいことだろう。