タナカヒロキ(LEGOBIGMORL)のレビュー一覧

  • 陽と月

    Posted by ブクログ

    『陽と月』は、吃音症を抱えながらも太陽のように明るく天然な陽と、繊細で葛藤を抱える月という対照的な二人の物語である。大学で出会った二人は別々のバンドで活動しながらも親友として互いを支え合い、刺激を与え続ける。しかし、プロとしての道を歩む中で、月は思うような結果を出せず苦しみ、一方の陽は順調に成功を重ねていく。そんな状況でも陽の接し方は変わらず、だからこそ月の中には嫉妬や焦り、自己嫌悪といった複雑な感情が生まれる。その葛藤が非常にリアルで印象的だった。

    特に、詩や音楽との向き合い方、人との関わり方が徹底して当事者の視点から描かれている点が魅力的だった。普段からバンドの音楽を聴き、ライブにも足を運ぶ私にとって、バンドマン自身の目線で綴られた文章は新鮮であり、これまで趣味として見てきた世界と重なる部分や新たな発見が多く、とても楽しく読むことができた。

    また、本作を通じて、人それぞれに感情や人生があり、その中でどう他者と向き合っていくのかを改めて考えさせられた。同時に、命の大切さや儚さ、そして本当に大切なものを大切にすることの意味についても深く考えるきっかけとなった。

    さらに、零という存在も非常に大きかった。彼女の視点や何気なく放つ鋭い言葉には何度も心を動かされ、「幸せとは何か」を改めて問い直すことになった。

    そして何より、この作品を読んだことで、著者であり タナカヒロキ が紡ぐ言葉の魅力を知ることができた。これまで LEGO BIG MORL の音楽に触れたことはなかったが、歌詞や文章に触れた今だからこそ、その楽曲を聴けることがとても楽しみであり、嬉しく感じている。作品を読み終えた後には、「大切なものを大切にしたい」という素直な気持ちが心に残った。

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    2026年06月24日