Nola編集部のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
僕だって小説の賞に受かりたい。賞金だって欲しい。小説を書いて金を稼ぎたい。いっぱしにそんな野望を持っている。
そのためには、受賞するような小説を書かなければならない。では、どうすればいいのか。本を商売道具にしている編集者に聞くのが手っ取り早いだろう。そう考えて、本書を手に取った。
本書は、小説家と編集者がタッグを組み、賞を勝ち獲るための小説の書き方を指南する一冊だ。とりわけ、編集者が作品のどこに注目し、どのような基準で評価しているのかという「編集視点」が丁寧に解説されている。
結論から言えば、期待に反しない内容だった。
書評サイトでは「こんなことは誰でも知っている」といった低評価も見かけたが、少なくとも僕には知らなかったことがたくさんあった。大いに勉強になった。
キャラクターの造形や世界観の整合性はもちろん、登場人物の名前の付け方に至るまで、編集者は実に細かなところを見ている。作家が推敲を十回は繰り返すという話には、身が引き締まる思いがした。
なかでも収穫だったのは、一次審査と二次審査で、下読みがそれぞれ何を重視して作品を評価するのかを知ることができた点だ。これがわかっただけでも、お釣りが来るというものだ。
ただ、一つだけ気になったことがある。
受賞したければ編集者の視点を持て、という主張には大いに納得できる。実際、それこそ僕が求めていた情報だった。
しかし、編集者の視点を持つことまで作家に求められるとしたら、編集者の仕事の一部が作家に割り当てられてしまうことにはならないだろうか。
作家と編集者には本来それぞれの役割があるはずだ。その境界が曖昧になっていくことには、ほんの少し危うさも感じた。
とは言っても、僕が本書から得たものは大きい。
自分の書きたいものを書く。それだけではなく、自分の作品がどのように読まれ、評価されるのかを考える。賞を目指すのであれば、そうした視点も必要なのだ。
これまで見えなかった編集者の頭の中を、少しだけ覗くことができた。僕にとっては、それだけでも読む価値のある一冊だった。