二井彬緒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
パレスティナ、シオニズムとアーレントの関係という具体的な政治問題へのアーレントの思想を読み解く本。
アーレントの「ユダヤ軍」創設の議論はなかなかわかりにくいものであった。アーレントの政治思想として、非暴力とまでは行かなくても違う価値観の人が共生することを重視するスタンスとの関係がわからず、なんとなく時事的発言かと思っていた。が、著者は「ユダヤ軍」の議論を丁寧に読み解き、アーレントとシオニズムとの緊張感のある関係性も浮かびあがあらせる。そこから、アーレントの彼女のパレスティナのバイナショナリズム提案の意味を構築していく。
そこまででも、快挙なのだが、著者はそこで留まらず、後年の主著の再解釈に挑み、そこからアーレントの主要著作とのリンクを丁寧に読み解いていき、最終的にはアーレントの政治思想全体の解釈が変化するような本だった。
読み終えてみれば、なるほど、それはそうだよな、ある意味、当たり前だと思えてしまうのだが、読み始める前にはそれは全く当たり前ではなかった議論。それだけ、著者の議論の説得力があったということだと思う。