カトリーン・キラス=マルサルのレビュー一覧

  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    ”イノベーションとジェンダー”という副題からも伺えるように、本来「男性的なもの」として捉えられがちな技術革新、発明、テクノロジー…、といったもろもろな事柄をジェンダー論(昨今一般的に理解されているその意味合いは、そのバイアスを正す?的な?)というテーマに従ってひとつひとつ丁寧に解説してくれている書籍である。

    その個別の事象の取り上げ方、掘り下げ方、が、若干の(あるいは過大な?)誇張もあるだろうが、事実(ノンフィクション)を、実におもしろおかしく、興味を引くような脚色で記述されており(もちろん裏付けとなる脚注はこれでもかという位につけられている笑)飽きずに読み進めることが出来た。

    ただ、著者

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    2024年04月06日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    ジェンダー観をベースに、時代ごとの女性(や弱い立場となった人々)の役割・職業の事実と、そこから考えられる現代や未来の良い役割や待遇の考察を、10個のテーマから語られています。
    女性への社会的な捉え方についてはかなり厳しく書いていて、『それは言い過ぎでは』という表現もあります。
    ただこの本はジェンダーに限らず、現代の社会的な役割と、それを取り巻く先入観的なしがらみについて語られてる本であり、色々と考えることのできる本だったと思います。9章のAIと仕事の内容など、ジェンダー観からイノベーションと人間の仕事の変容についての考察は、この本ならではの示唆(ケア業界など、AI後の世界で重要視される仕事自体

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    2024年01月21日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    業界知識と言いますか、スーツケースが1972年に発明されたという事実は知っていたけれど、なぜ1972年まで生まれなかったのか、ということに思考を巡らせたことはなかった。電気自動車ももっと早く普及して良かったものだったのかと、身近な領域の発明の大元について、関心を持ってこなかったことに反省させられた一冊。イノベーションを生み出す要因みたいなものが、より分かってきた気がする。

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    2024年01月15日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    《「ありがちなジェンダー論」より独自的でユーモア》
    イノベーションをジェンダー論の観点から批評した一冊。過去のイノベーションがいかに偏りがあったのか痛感できる。例が多いが、各エピソードともはっとされる部分が多く、読む価値が高く、個人的にオススメ。

    ありがちなジェンダー論に独自の視点を追加しており、ボリューミー。ジェンダー論初心者も読みやすい一冊。(というより、初心者は教科書よりこれを読んで自身が抱えるステレオタイプに気づいたほうが楽しめるだろう。)

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    2023年11月13日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    これはちょっと想像の斜め上を行っている内容だった。非常に面白い!「盲点」とはこういうことかと思う。
    自分が男性であるからこそ、余計に見落としていることがあったということか。
    これは十分に反省しなければならない。
    男女の区別(歴史的には「差別」と言った方が正しいかもしれない)が、これだけイノベーションを阻害してきたということだ。
    だったら停滞している日本が打つ手としては、簡単なはずだ。
    男女比がアンバランスな組織においては、女性をもっと参画させて、「5対5」まではいかずとも、少しでも比率を補正することで、イノベーションが起こりやすくなるはずだ。
    私自身が今は会社の中で人事部門に身を置いているのだ

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    2024年03月23日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    なぜ、私たちは、車輪をつけたスーツケース、つまりキャスターバッグを5000年間発明できなかったのか。それは、旅行や冒険するのは男性であり、女性は長距離の移動をすることはないと思われていたこと。重たい荷物を持つことは男らしさの象徴であったこと(この鍛え上げられた腕に、こんな小さな荷物が持てないとでも?)。イノベーションの阻害要因の重要な一つとして、ジェンダーバイアスの存在を指摘する一冊。経済成長や技術革新、事業化だけでなく生活とのものまで、ジェンダーの観点で見直してみると、新しい切り口が見い出せる。また、自動化、AI化で奪われる仕事というのも、これまで主に男性が担っていた内容だったりする。これは

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    2023年12月02日
  • これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー

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    少し読み進めてみて感じたウィットに富んだ文体と話題の興趣に、著者略歴を辿ってみれば「アダムスミスのーー」と同作者ということでなるほどとなる。

    副題の「イノベーションとジェンダー」の観点から見つめる歴史上の諸発明という筋書きは、終章に近づく頃には朧気になっている感もあるが
    小気味よい衒学趣味を満たす内容でありながら、発想の転換を促し、無意識裡の価値観に疑義を投げかけるジェンダー論の端緒としては手に取りやすい。

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    2023年10月08日