ビジャイ・ゴビンダラジャンのレビュー一覧
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「リバース・イノベーション」という概念、たぶん日本で有名になったのは、ハーバード・ビジネス・レビューでGEのケースが紹介されてからだと思いますが、本書を読んで、GE以外にも多くの事例があることを知り参考になりました。本書の前半はリバース・イノベーションの理論的な側面と、やりきるための組織、人材的な留意点が記述され、後半は色々な業種に属する企業のリバース・イノベーション事例が紹介されています。
後半の事例集を読むだけでも非常に示唆に富んでいますが、著者も強調しているように、リバース・イノベーションはそれをやりきるのがとても難しいと思います。つまり先進国企業(例:日本企業)がホームカントリー( -
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先進国の多国籍企業の視点に立ち、新興国市場向けに顧客ニーズの把握、ゼロベースからの製品開発、バリューチェーンの構築を進め、最終的には先進国市場のニッチを突いたり、先進国市場製品にとって替わる製品となる、新興国から先進国へ、市場や技術成熟の川下から川上へ逆流するイノベーション。
まさに今の日本のデジタル家電の苦戦をイメージしながら、読み進めました。
なるほどと納得!
このリバース・イノベーションというコンセプトの、バーノンモデルとイノベーションのジレンマとの整合性および発展性に期待したいです。
さらに、顧客ニーズを深く理解することと、経営資源の重要性の2点について、改めて重要アイテムであることを -
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『グローカリゼーションは、国境を越えたマイナーチェンジには対応できるものの、富裕国と貧困国のギャップを解消するまでには至らない。
ほとんどの場合、富裕国向けに設計した製品をただ持ち込んだり、微調整したり、コスト削減のために二、三の機能を省いたりする程度で、これでは中国やインドで急に大ブレイクする製品は生まれない。
10ドル使える人が1人いる市場と1ドル使える人が10人いる市場との基本的な違いに対処しようとするのであれば、もっと変革をもたらす何かが必要となる。』
読みやすく、シンプルで、実践的。
具体例も豊富で説得力もある。
自国での先進国的成功体験に漬かりきった企業への痛烈な警告に聴こ -
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現在のグローバル市場が、先進国で生まれたイノベーションを新興国向けに単にカスタマイズ(多くの場合品質と価格を落と)して展開する「グローカリゼーション」のアプローチだけでは太刀打ちできない、新たな競争ステージに入っていることをふまえた経営戦略と、その実践のための方策をまとめた一冊。
筆者が主張するリバース・イノベーションでは、先進国と新興国の間にある「5つのニーズのギャップ」に着目し、新興国ならではのニーズにフォーカスした製品・サービス、ビジネスモデルを一から開発することを提唱する。そして新興国で成功したモデルが、先進国のニッチ市場、さらには主要市場にまで「さかのぼる」ことで、既存製品・サービ -
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「あ!そこ!?」思わず唸る課題発見の実例が充実した一冊。
特に新興国をマーケットにした場合、今あるものをカスタマイズすれば売れるという発想では通用しないという事が痛いほど腹に落ちる。
携帯型心電計開発の背景(電力供給の不安定、設置場所の制約、暑さ・誇りなど設置 型心電計が通用しない) PC用マウスが実は操作性の拡張よりも、 中国都市部ではアパートのとなりの部屋の マウスの干渉を受けて止まる事の克服こそ が重要だったロジテックの戦い
バングラデシュのコレラ脱水症状解決のた めに開発されたゲータレードの事例などなど。
基幹回線網を個人までつなぐ最終段階がなければ通信インフラは利用されない「ラ -
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製造業を始めとする大企業が新興国において、苦戦を強いられる状況が何故起こるか。新興国で成功を収め、且つ先進国市場において波及効果をいかにもたらすか。リバースイノベーションの代表的な成功事例を基に、非常に理解しやすく記述している。
終章の纏めはこれからの会社人生において、幾度と無く読み返していきたい。
新興国市場は先進国のプレモデルではなく、先進国市場に通用していた論理(dominant logic)をそのまま適用する事では成功に至らせることはできない。
新興国市場のニーズ(その地域の生活習慣、文化、マインドも含め)を肌でダイレクトに感じ、支配的論理を取り払い、白紙状態からロジックを形成する事 -
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第一部でリバースイノベーションの概念を簡潔に説明し、続く第二部で事例を次々と説明することで概念の理解を促すという構成が良かった。とても読みやすい。
途上国のニーズは先進国のニーズとはかけ離れていることや、途上国では超割安価格でそこそこ良い性能を持つ製品が求められていることなどは、本書から学んだ重要なことの一部である。そして、これらの主張から「ファクトフルネス」の内容を思い出した。世界の中心は欧米からアジア、アフリカに移っていくという同書の主張はリバースイノベーションの重要性を支持すると思う。一方で、同書は世界の大半が極度の貧困から既に抜け出しているとも書いている。本書が書かれた時代や、本書が -
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ネタバレイノベーションとは、決して富裕国から途上国への一方通行ではなく、昨今は途上国から富裕国へのリバースイノベーションが当たり前のように起こっているという点を、当該理由(途上国と富裕国のニーズのギャップ)、マインドセット、ビジネスモデルの3つの視点で記載されています。
全体的な印象としては、クリステンセンの繁栄のパラドクスの無消費経済に対するイノベーションに違い文脈という印象でした。
①富裕国と途上国でのニーズのギャップ
「性能」「インフラ」「持続可能性」「規制」「好み」に必ずギャップが生まれるという論点がありました。途上国には、富裕国の製品の廉価版を提供しておけばOKという考えでは絶対に成功せず -
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新幹線内で飛ばし飛ばし読み終えた。
リバース・イノベーションという名前に惑わされていたのだが、リバースに力点があるのではなく、新興国でのイノベーションにポイントがあるのだということが理解できた。いかに真剣に、ゼロから新興国対応に取り組むか、それにかかっている、というのが第一のポイントで、それを富裕国に活かすのは、その次。
扱う製品や事業を言い訳にしたくはないが、適する製品、適さない事業があるのではないかと思ってしまった。だからイノベーションが起きないんだな。
[more]
(目次)
【第1部】 リバース・イノベーションへの旅
第1章 未来は自国から遠く離れた所にある
第2章 リバース・ -
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「途上国で最初に生まれたイノベーションを先進国に逆流させる」
リバース・イノベーションの定義を本書ではこう綴っている。
ただし、これはあくまでも最終的な理想形であると考える。
多くの日本企業においては、途上国の需要(特に低価格による低所得者層の囲い込み)に、
ローカライズさせることに成功している企業は少ない。
まずは、このローカライズの実現に向けて、改めるべき日本企業の常識を学ぶ意味でも、
本書は大変意義深い内容になっている。
いくつもの事例が紹介されており、勝てば官軍の印象はあるものの、
このローカライズさせる考えはどれも同じ。
自身の今の仕事にもいろいろ当てはまる内容ばかりであり、良い -
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リバース・イノベーションとは、途上国で最初に採用されたイノベーションのこと。
このリバースイノベーションを興すための施策と戦略について、前半、分かりやすく語られています。
戦略は全部で9つ!
後半はその9つの戦略ポイントが活用されたリバースイノベーションの実際の事例をこれでもかというぐらい紹介してくれます。
ロジテック、P&G、EMC、ディア、ハーマン、GEヘルスケア、ペプシコ、パートナーズ・イン・ヘルス。
全体として、日本語訳も分かりやすく、かつ事例も分かりやすいので理解が進みます。
まず、リバースイノベーションについてです。
私たちが通常、考えている新興国対応については、グローカ -
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ネタバレ先進国のテクノロジーを新興国に浸透させるグローカリゼーションではなく、新興国でイノベーションを起こして、先進国に反映させるというリバースイノベーションの名著。
<メモ>
・富裕国と途上国の間にあるニーズのギャップ①性能のギャップ ②インフラのギャップ ③持続可能性のギャップ ④規制のギャップ ⑤好みのギャップ
・新しいソリューションは白紙の状態から始めるイノベーション
・リバースイノベーションは川上へ向かって逆流する。
・リバースイノベーション戦略の9つの重要ポイント
①単なる輸出ではなくイノベーションに取り組まねばならない
②機会を活用して、新興国イノベーションを他の貧困国、富裕層の取り -
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新興国のイノベーションに着目した本書。とてつもなく可能性に秘めており、今後重要となる概念の一つになる本です。海外マーケット市場に参入する企業は必読だと思われます。
本書の前半はリバースイノベーションの概念の説明で残りが実際のグローバル企業の事例です。クリステンセンのイノベーションのジレンマに通じる刺激的な本で、挑戦的な本です。
実際にこのリバースイノベーションを実践するためにも、組織のコンセンサスが必要であるのと、このイノベーションを興すプロジェクトチームが必要となるという記載まで書いてあり、海外だけでなく、自社の組織内にも着目してるところが良い点だと思います。
苦労している日本企業の海外マー -
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リバースイノベーションとは、途上国向けに開発された簡易モデルが先進国でも採用され、既存の商品を駆逐していくような状態を指すのだと理解していたが、解釈がかなり違っていた。起業家や支援者、研究者など、イノベーションに関る人は必ず読むべき本だと思う。この本では「途上国」を対象にした事例をたくさんとりあげているが、自分の解釈では強烈なニーズが顕在化しつつあり、かつ購買力(=市場)があるエリアと考えた。先進国はいろいろな商品やサービスが溢れ、たいていのものは揃っており、イノベーションにつながるような商品開発は行いにくいのではないか。やはり 強い"Pain"に引っ張られて発明や開発、事