ぬいぐるみ大好き男子へのメッセージと、ともすればかたよった見方をしがちな外から向けられる常識らしき目線への処方箋。第Ⅰ部、第Ⅱ部とあるが、第Ⅱ部が格段に面白い。女性が書いたぬいぐるみとのつきあい方は、新井素子をはじめとしていくつか名著があるが、男性の手によるものは珍しく、かなり取り残された問題がある
...続きを読むようだ。つまるところ、ぬいぐるみをもつこと、それ自体が結構な苦労を伴っているようなのだ。かわいいものが大好きな男性は珍しくはないよ、もっと胸はっていいよ!と言いたくもなる場面もあるけれど、実感と偏見への対処の間でどのような立ち位置で書くのかは、難しかったろうなあ。ぬいぐるみの作り手のことを考えると、男性の視点は貴重で、ぬいぐるみのありかたがもっと拡がるのではないか、と期待もする。ぬいぐるみが何か曰くありげなものではなくて、自然でさりげなく寄り添うものになりつつあって欲しい。