【聞き手】碓井広義のレビュー一覧
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倉本聰の脚本の魅力はどこにあるのか、その創作の原点が明らかにされる。本書において、倉本聰は「書くというより、創るということをしている」と述べており、ニンゲンは自らのドラマを創り出していると言える。
「創るということは遊ぶことであり、創るということは狂うことであり、創るということは生きることである。」これが倉本聰の生きる極意である。物事を深く極め、本質を捉え、自らの境地と熟練した技術を発揮する。倉本聰の『脚本力』は、単に物語を紡ぐ技術にとどまらず、その背後にある人間の感情や社会の構造を深く考察し、それを作品に反映させる力を指している。
倉本聰は「快感にはね、暴力があり、殺戮があり、残虐 -
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『北の国から』の倉本聰さんの脚本力
一人一人の登場人物の生い立ち、人間関係、住んでいたところまで細かく設定する。だからこそ、登場人物同士が繋がったり、化学反応が起きたりする。
大きな樹木のねっこの部分が、登場人物だという。
登場人物の血液型や親子、兄弟関係、通っていた学校や近くのスーパーまで想像上で明確だからこそ、新たなドラマが導き出せる。北の国からで言えば、純や螢が住んでいた街は新大久保だという。
登場人物や構成がイメージできてしまえば、シナリオはあっという間に書けてしまう。
やはり倉本聰さんは凄すぎる。リアリティをもたせるためのこだわりが。
中嶋朋子さんと糸井重里さんのトークショーでも、黒 -
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ネタバレ『北の国から』などで知られる名脚本家、倉本聰のシナリオ執筆のプロセスがプロットから完成稿まで記されている。
自分も脚本を書いており、書くたびにシナリオ制作の一連の流れに躓くことが多いので勉強になった。
キャラクターのバックグラウンドを住んでる町や、そこでの生活まで考えるというやり方は岸川真の『だれでも書けるシナリオ教室』にも載っていた。
だがこのプロセスを自分は面倒臭くて飛ばしていたのだが、やはりここまでやらないと生きたキャラクターを生み出すのは難しいな、と改めて感じた。
ただ完成稿のドラマは今の感覚だとちょっとどうなんだろう、という面もある。
例えば美麗な女性に対して昔使っていたであろう -
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ネタバレ倉本聰の創作思想や哲学を新作の創作過程をとおして、碓井が聞き手となり明らかにしていく。本書のための新作「火曜日のオペラ」の企画書、全7話のあらすじ、第一話のシナリオが読める。また、随所に過去作品の創作エピソードもあり倉本聰ファンなら楽しめる一冊。
以下、ネタバレ。お気に入りの箇所。
「相手が女優だったら、ほとんど僕、恋愛感情で書いてますよ」「ただ、彼女たちを愛するんだけども、長所が見えただけじゃ、その人を理解したってことにはならないんですよ。欠点が見えないと面白くない。役者って、欠点をきちんと書いてやれば、必ずそれが個性になって出てくる」