マリー・ルイーゼ・カシュニッツのレビュー一覧
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戦後ドイツの作家、マリー・ルイーゼ・カシュニッツの日本オリジナル短編集。
一編一編が高級チョコのように味わえる作品集。幻想的でありつつも、どこか人間の普遍的な不安感が漂う。その暗い感じがクセになる作家。
以下、作品毎の感想。
◯白熊 ★おすすめ
帰ってきたのに何故か電気を付けたがらない夫と妻の...続きを読むPosted by ブクログ -
これはいい。一話一話は簡潔だけれど、人物描写・ストーリー展開・オチが巧みで、いい感じに後味の悪くてサバサバしている。日常的幻想プチイヤミスって感じか。
■白熊 夫が夜中に電気をつけないワケ
■ジェニファーの夢 娘が見る奇妙な夢と奇行
■船の話 間違った船に乗ってしまった娘の末路
■ロック鳥 自宅に...続きを読むPosted by ブクログ -
『「それから?」 夫はきつい口調でたずねた。「白熊がなにをするか知ってるくせに。首を左右に振るのよ。いつまでも右に左に」「きみみたいにな」「わたしみたいに?」女はおどろいてそうたずね、闇の中でいまいわれたとおり首を左右に振った。「きみはだれかを待っていた」夫がいった』―『白熊』
初めて読む作家、マ...続きを読むPosted by ブクログ -
カシュニッツは今回初めて読んだけど、面白かった!
人間心理の闇、奇妙な味、といったような短編集。
日常が少しずつずれていく感じや、夢と混ざり合っていくような感じの塩梅がちょうど良かった。
あまりにも突飛だったり、幻想的すぎる話だと個人的には楽しめないことがあるので…。
迷信かと思いきや否定もしきれ...続きを読むPosted by ブクログ -
カシュニッツは1901年に生まれて1974年に亡くなった作家で、これまでも何冊か翻訳が出ていたらしいが、全く知らなかった。
読んでみると、暗くて不安に満ちていて、うっすらとした恐怖を感じるという全体のトーンは共通しているが、内容はバラエティーに富んでいて、こんな面白い作家、どうして今まで話題にならな...続きを読むPosted by ブクログ -
これは面白かった!というか、実に好み。ホラー寄りの奇妙な味、というのかな。柔らかいのだけれど。
読んでいて、なんか読んだことあるなーと思い、カシュニッツはいくつか読んでるんだと思うんだけど、もっと読みたくなった。でも家を探したが河出の『ドイツ怪談集』しか見当たらなかった。特に『いいですよ、わたしの...続きを読むPosted by ブクログ -
カシュニッツ
カシュニッツが描くのは、市井の人間の平凡な生活にどこからともなくひっそりと忍び込む魔の顕現である。だがそれは外部から不意に訪れたように見えて、実は我々と同居していたことに後になって気付かされるのである。Posted by ブクログ -
あ、たぶんこれ私好きだなと思った一目惚れ装丁。
不可思議はそんなに遠いことではなく、実は身近にあるんじゃないかと思わせる短編集でゾクゾクした。Posted by ブクログ -
15編収められた短編集。作品の配列にとてもこだわったと訳者あとがきにあります。怪異・ユーモア・性が入り混じった作風。ドイツという国が重ねてきた歴史の影の部分も時折見え隠れします。女性の心理描写がきめ細やかで、多くの作品では自惚れや恋心や恐れの果てに死や老いへと主人公は突き進んでいくのですが、少年か...続きを読むPosted by ブクログ
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文章は理知的。怪異譚もクラシカルな趣きで端正。しかし登場人物の心は揺らぎ、不安定な危うさを秘めている。
すっと読み通せるが、収められた各短編には読み流すことを許さない、しっかりとした手応えがある。
表題作は、外国人労働者への依存と無理解、エッセンシャルワーカーの仕事に価値をおかない世界に対する批評が...続きを読むPosted by ブクログ -
戦後ドイツを代表する女性作家の傑作選。全15作。
ふわっとしていて、灰色で、どこか不安になるお話のあつまり。「長距離電話」が好き。わかりやすかった。怖かったのは「いいですよ、わたしの天使」→
もう、死ぬほど怖い。ホラーじゃないんだけど、なんか、怖い。こんなのおかしいよ!って叫びたくなる。読み直した...続きを読むPosted by ブクログ -
短編集15編
不可解な,忍び寄る不安,不条理といった精神を軋ませるような世界が広がる.
「白熊」「船の話」表題作が良かった.少しわかりにくかったけれど「四月」も面白い.Posted by ブクログ -
序盤のいくつかの作品がシュールさしか感じられず読み切れるか不安になったけど中盤以降から面白い作品が出てきたので諦めずに読んだほうがいいかもしれない。同時期にシャーリイ・ジャクスンの短編集も読んでいたが個人的にはこちらのほうが好き。Posted by ブクログ
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15編の短編集。
「長距離電話」は電話の会話だけが延々と続く。
家族の会話が予期せぬ方向へ進む。
表題作「その昔、N市では」が秀逸。
遺稿で70年代以前の作品だがAIが活躍する近未来のような感覚になる。
驚く。Posted by ブクログ -
初めての海外文学。
馴染みのない文化の上に成り立つお話はとても新鮮。難しい話もあったけど殆どが読みやすくて面白かった。Posted by ブクログ -
幻想的な要素を含みつつも後味の悪い話が続き、読んでいる最中は全然楽しくなかった。何が傑作選なのかと思っていたが、そこは編者の妙で、最後に唯一後味のよいあの一編を置いてくれたことで、内容的にもこれまでのすべてが救われた感じになった。Posted by ブクログ
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アメトーーク本屋で読書芸人(2023)ヒコロヒーさんおすすめ本。現実からいつの間にか違う世界に入り込んでしまったような。感情の上げ下げはあまりないものの、じわっとくる闇。他の作品も読みたい。Posted by ブクログ