植原亮のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
深く考えるプロセスの勉強と練習ができる本。ビジネス書とも、哲学の入門書とも言えると思う。
考え方のコツが練習問題・詳しい解説とともに対話形式で書かれている。本題の性質上サラッとは読めず、考えながら読むのには少し時間がかかったが、それでいて飽きたり眠くなったりもせず、最後まで楽しく読むことができた。
個人的に仕事などで使えそうだと思ったのは、序盤で出てきた「一旦否定してみる」方法。思いついた答えなどに対し、「〜ではない(のではないか?)」と否定してみることにより、他の答えの可能性を探ることができる。否定や疑いの気持ちが生じるか否かと関係なく(そもそもそれが正しいと思い込んでいると否定や疑いが思 -
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【before】この本を読む前の私は、これらのことを知りませんでした。
・「あえて否定してみる」とは非常に負荷のかかる認知課題である。
・「熟慮」は消耗しやすい。「注意力」は、限られた貴重な資源である。
・他の動物も持つ「直感」に対し、人間のみ可能な柔軟な思考→「熟慮」
・道徳的な良し悪しには、感情を含んだ「直感」が真っ先に働く。
・「犬を食べる」と聞くと、多くの人は危害が生じているのと同等に認知する。
・直感は、強制がなくても自動的に働く。熟慮は「自然に逆らって意識的に神経を集中させないとできないから、苦痛を伴う」アリストテレス
・繰り返し練習して熟慮の習慣化に成功したら、快になる。(努力や -
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「頭の回転が早い」「仕事が早い」というと一見有能な感じもするが、これらの早さには思考のショートカットが伴う。それは、経験に基づくヒューリスティックな判断によるものだったり、単に好き嫌いや決めつけ、場合によっては、理屈で説明できない直観による。
速読と遅読を考えると分かりやすいだろうか。速読は、脳内で音声変換しない事によるものと、私が多用するのは、著者の論理や解説が想定できる場合(例えば、リンダ問題を説明しているパラグラフ、何度も他の本で読んだ)、それを目線で追うだけで、次の文章と意味的に繋がる箇所までショートカットする。遅読は、ページを戻る事も厭わないし、ネットで検索したりと本以外の媒体も使 -
Posted by ブクログ
「深くじっくり考える」ために必要なのは『考える型』。この本でトレーニングすれば、思考のクセを知りエラーを回避することと、多様な考えを生み出し思考の質を上げることができるようになるというものです。
・基本は①いったん否定する②条件をなん度も確認する③あれこれ仮説を粘り強く考える
・人間の思考には「直感/熟慮」の2つのモードがある。モードの切り替えや発動条件を把握しておく必要がある。
・はやとちりにはバイアスが関わっている。特に代表性バイアス(代表性ヒューリスティクス)と利用可能性バイアス(思い出しやすいものを優先する)に注意。
・言語の罠に注意し、意味を区別すること。特に言葉の多義性や曖昧さを