四季大雅のレビュー一覧
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これは傑作や。
小さい頃から生きづらさを感じていた少女めだは、就職の失敗を期にバスタブに引きこもってしまう。そんな彼女が周囲の出来事を経て、自らの立ち位置を徐々に確立するお話。
特徴的な比喩表現が素晴らしく、前向きになれる作品運びが良い、素晴らしい作品でした。
本作の一番の特徴はなんといっても比喩表現。能楽を始めとする比喩表現は非常に特徴的で、本作が作り出す独自の世界観にじっくり入り込めました。
その一方、これらの比喩表現はかなり純文学的なので、ラノベ的なはっきりしとた、分かりやすい描写を好む人には合わないかもしれないです。
後は、一度は生きることを諦めていためだかが自身を見つめ直す過程にVT -
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ネタバレ母親が「本買ってあげるよ」と言われ、棚に目立つように並べてあったこの本を選びました。
「バスタブで暮らす」は何かの例えだと思っていたのですが、本当にバスタブで暮らしてて笑いましたw
外へ出る恐怖、自分の居場所から離れる恐怖は誰しもが持っていると思います。バスタブはそんな居場所を表しているのかな。
YouTubeはVTuberなどへの偏見は強く、否定的な親が多いですよね。確かにVTuberとかは何時に起きても良くて、家から出る必要もないイメージがあるし実際そういう人もいるので引きこもりと勘違いするのかも知れません。
その活動があるから救われてる人がいて、娯楽でありそんな配信者を必要としている人が -
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Posted by ブクログ
ネタバレぱっと見の「よくある難病もの」というコーティングを剥がしてみれば、根底にあるのは感動を消費することへの批判と、世の中に溢れる「泣ける作品」への肯定。
特に災害や病気を当事者の意志関係なく勝手にお涙頂戴として軽く消費することについての否定は、揺月だけじゃなくて著者自身の気持ちでもあるんじゃないかなって思った。
(著者さん、地元郡山でなんかそういう嫌な目に遭ったのかな……)
もちろん素直に難病ものとして読むのも正しい楽しみ方だと思う。
この小説自体が「泣ける作品」のガワを纏っている以上、読み手が感動したならそれもまた「アリ」な読み方なんじゃないかなって。 -
購入済み
よき物語
一冊でこのくらいの読み応えがある小説を欲してた。まあ、これを読んだらどう足掻いて多少なり悲しい気持ちにはなるだろうから、めちゃくちゃ楽しくてハッピーな気持ちになりたい時に読むものではないかなーとだけ。
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ネタバレいやあ、なんとも切ないお話だなあ。
個人的には人が死ぬ話は苦手だけど。
瞳を覗くとその人の過去(記憶)が見える主人公が、猫の瞳の中で見えた少女は実は未来を観ることが出来る能力持っていて、猫の瞳を介して過去と未来で会話が出来るというなかなか面白い設定のファンタジー且つミステリ。
物語が進むにつれて少女はすでに死んでいるらしいことが分かってきて、でもそれを回避するために主人公があれこれ頑張るという、なんだかシュタゲやまどマギのような展開になってくる。
そこに連続殺人事件に関するミステリ要素が交わってきてなかなか凝ったストーリーで面白かった。
…のだけど、やっぱりハッピーエンドにして欲しかったなあ -
Posted by ブクログ
ネタバレ前回読んだ「私はあなたの涙になりたい」よりは難しめだった。謎解きだし主人公達の設定もあるしで。コロナって出てきた時にちょっと嫌悪感出たけど読めはした。コロナで授業無かったのは今のM2か?などと邪推。演劇系の用語はなんとなく分かった。シェイクスピアが読みたくなる。ミリとちとせさんが同一人物かなとはぼんやり思ってた。犯人は全く分からなかったけれど。ナイスバディのお姉さんタイプって言ったから整形もそこに合わせたのかな、四季さんの恋愛健気で好きです。甘酸っぱい。あもうさんの演劇にかける思いが熱くて良い人だな、死んでほしくないなと思ってた。ちゃんと読まないと「?」となるけど噛めば噛むほど深い!ただからく
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1巻完結。
前作『わたしはあなたの涙になりたい』のように私たちの日本によく似た地理・歴史が登場する小説世界で、よくよく考えれば鬱で悲惨な状況がコミカライズされたようなフワフワした展開で進んで行く、ざっくり言うと引きこもりお姉さんの再生?再誕生?の話。後半は大切な人の死に行くさまをじっくりと描いていて辛くなります。
作中の重要なアイテムの"能面"の意味が読み解けると面白味が増すと思う。主人公を攻撃する者の象徴?なんて単純なものではないような…
で、主人公もか弱い善人じゃないよね。主人公の親友が見抜いたように相当の切れ者のような気がする。
"家族"のことが多 -
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Posted by ブクログ
ネタバレいやあ、これはもはやライトノベルではないな。
読み終わった余韻がすごい。
内容的には生きるのが下手で挫折した女性の快復物語。
それだけにすごくシリアスで重たい内容なのだけど序盤は話のテンポやエピソードがコミカルで楽しく読めてしまう。
けれど中盤以降母親の病気が進行するあたりからグッと読むのが苦しくなってきて息を詰めて誌面を追っている自分に気づいた。
物語の結末は何かを失う事で大人になるという青春物語のある種の約束を踏襲しているのだけれど、その平明な温かさにやっぱりホッとしてしまう。
あと時代性を感じさせる作中のエピソードがライトノベル的には結構珍しい。
これはラノベ好きだけでなくいろんな -
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ネタバレ本日定時後から読み始めて、先ほど読み終わりました。
『バスタブで暮らす』、最初奇異なタイトルだと感じましたが、いろいろな出来事を経て、めだかがバスタブにこもっていく流れはごく自然に感じられました。また、家族の中でも、妹のめだかの様子に細心の注意を払い、デスクトップPCから冷房から全ての機材をコンパクトにまとめてバスタブ周囲に配置し、快適な空間にして、やりたいことをすべてかなえてしまう兄のいさき、小学校の頃の『腎臓のかたちをした漬物石』と『うんこ太郎の冒険』、いずれも妹に対する思いやりから生まれたエピソードであり、小さいころから大人になるまで、独自のやり方で妹を守る姿にはちょっとほだされるもの -
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Posted by ブクログ
猫の瞳を通じて、美里と出会った窈一が、演劇部に所属しつつ殺人事件の解決に乗り出すちょっと変わったお話。
詳細な資料に基づいた上で描かれたと思われる、作中で展開される様々な演劇が、比喩表現や地の文の表現力の良さと相まって非常に良かったです。
また、所々に現れる日常系ミステリーは、次々に予想外のポイントに視点が移ってゆく所が好み。特に、最初の火事事件は良かったです。
ミリとの対話、演劇、ミステリーの3要素が複雑に絡んだ作品で、視点の変化や登場人物の多さから読みにくさも有りましたが、独特の面白さを感じる作品でした。
ただ、ミステリーと残り2つとの絡み方が微妙で、犯人が誰か?の部分に興味を持って読めな