小松原織香のレビュー一覧

  • 当事者は嘘をつく
    「あなたには分からない」と、その人(たち)をはね除けることは、結局のところ「私のことを分からないあなたのことが、私は分からない」と自分の心の不透明な部分をはね除けることと等しいのではないだろうか。
    自分の心の中に空洞が残るのは、正にこういった所作によるものかもしれんと思われた。

    「私のことが分から...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    「当事者は嘘をつく」というのは著者が、体験した性被害の経験について語るとき、自分は嘘をついているのではないか、という考えが拭えないということを意味したタイトルである。

    性被害にあった人間が修復的司法というケアの方法を通してどのようにサバイブしていけるのか、ということを主軸に、そこから無限に枝分かれ...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    少し間をあけてだが、一気に読んだ。
    薄々感じている私たち支援者としての欺瞞を、まざまざと突きつけられた。痛みを感じながら、むしろしっかり突きつけられたかったのだと読後に気がつく。
    私の想像を越える痛みを抱えながら、著者は自身の被害体験と研究者としての揺らぎの体験を世に出してくれた。果たして支援者であ...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    ショッキングなタイトルだ。性暴力被害をうったえる者は、必ずと言っていいほど「嘘を言っているのではないか」という疑いにさらされる。だからこそフェミニズムの運動は、まず被害者の言葉をそのまま受け止めることを何より重視してきた。だのに当事者が、自らの語りを疑っているというのだから。
    著者にとって性暴力被害...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    すごい。ぐいぐい読ませる文章に圧倒され一気読み。当事者、支援者、研究者、サバイバーなどクルクル立ち位置が変わっている。言語化するのに大変だったのだろうとしか言えない。私から言える事は最後まで読んだという事だ。大前提として、小松原さんという人に感謝したい。
  • 当事者は嘘をつく
    「私の話を信じてほしい」自分の記憶が正しいのか、もう自分でもわからなくなった筆者は精神的に不安定になり、自暴自棄にもなる。助けてほしい、最後まで話を聞いてほしい、そう思う気持ちに触れると、読んでいるこちらも心が震えてくる。
  • 当事者は嘘をつく
    響きすぎて、読み終えてからしばらくの間、言葉が出てこなくなりました。
    「共振」が起きていたのだろう、と思います。

    「人間の記憶は、秩序と混沌の両方があることで完全になる」という言葉に深く納得しました。
    言葉にできることと、言葉にならないもの。どちらもあっていいし、どちらもあるのが人間なのだ、と受け...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    当事者性ってなんだろうと、非当事者だったらどこまで行っても理解することなんか無理だと思っていたけど、
    それが著者の言葉でちゃんと書かれている。
    私はなんの当事者でもないけど、この本を読んで良かったと、単純に思った。
    著者は強い人である。
  • 当事者は嘘をつく
    性被害サバイバーの著者がサバイバーとして自らが生きていく為に性被害についての向き合い方を学び研究者となるなかで研究者になったからこその葛藤が生まれるというエッセイ的な自伝(?)。性被害者としての自分と性被害について論文を書く研究者としての自分、それぞれが両立し得るのか?研究者でありながら性被害サバイ...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    性暴力の被害当事者である筆者が、加害者との対話によって「赦し」について考え、また、絶対に分かることのできない「支援者」「研究者」とのかかわりの中で苦しみながら、かれらとどう関わり、当事者としてどのように生きていくのかを考える。
    当事者としての立場を明らかにして研究を行うのか、立場を隠しながら研究を続...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    加害者との闘い、支援者との闘い、当事者との連帯してそれぞれへの赦しと距離を検討して何も手に入らなかった著者が、自分と闘う現在進行形の物語(ナラティブ)と捉えた。その勇気に心を打たれた。
  • 当事者は嘘をつく
    「当事者は嘘をつく」という題で書かれた本だが、こんなに嘘のない本はない。
    当事者が語る言葉だろうがなんであろうが、事実の再現は不可能だという大きな壁に著者が一人で責任を負い、その葛藤をそのまま、いかに嘘をつかずに書くか、七転八倒しながら自分に誠実であろうとしている。

    読みやすい文体だが、著者がそう...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    性被害者を名乗りでること、こうした被害者を支援する人たちとの関係性、被害者同士の支援などなど、普段考えもしないようなことを考えさせられる本であった。著者の研究者としての視点と被害者としての当事者性のバランスが見事に取れている。読んでいて、著者の当事者としての苦悩がダイレクトに伝わってくる。ある意味固...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    この作者は性暴力被害者なのか
    冒頭にレイプとあるが
    私の感覚では作者はレイプなどされてはいない
    DVは事実であると思う
    恋愛でそういう関係を持ったのではないのだろうか
    同意の上でそういう行為に至ったと文中にある
    読んでいると作者自身が性暴力被害者であるように感じてしまった
    繰り返しになるがDV被害者...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    ●目的
    性被害者の心理について理解する
    ●内容
    ・性犯罪ではなく、性暴力。
    ・被害者は真実を語らない
    ・修復的司法という世界があり、被害者をサバイバーとして助けて行く
    ・犯罪被害者という観点で水俣病患者のドキュメンタリーにも触れていた
    ・ジャック・デリダが著者の先行研究者
    ・「赦し」がサバイバーにと...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    腑に落ちるような落ちないような。たぶん、私は基本スタンスとして「真実か嘘か」ではなく「どう語ったか」を重視したいと考えているし、当事者という言葉自体学術研究上の記号であってそれが本人にとってどうあるかは別次元の話だと捉えているからだろうな。
    自身の暴力性・権力性を認識するというのは研究やら支援やらに...続きを読む
  • 当事者は嘘をつく
    性暴力(犯罪とは言い難い)の被害者が、自助グループに関わり、精神科医師に反発し、修復的司法の研究者になった自伝。
    90ページまで読んだ。