岡野八代のレビュー一覧

  • ケアの倫理と平和の構想 戦争に抗する 増補版

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    10年前に出された書を文庫化することにより現代の状況を補筆されたものである。9・11に対して著名ねフェミニストがいかに反応したか、そしてその問題点はリベラルの根本的な問題点について考察が進む。続き慰安婦問題に関する問題についての論考に進み、個人の尊厳と戦時下の性暴力についての歴史的論考に進み、「修復的正義」によって正義を語る。ジェンダーフリー問題から立憲主義について語り、最後は戦争に抗するために国家の問題についてホッブスから解き明かす。最後の三牧聖子氏との対談も良い。ケアの倫理と題名にはあるが、直接的な論考が少ないのは10年前の書であるからか、しかし、その後の著者のケアの倫理についての論考の楚

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    2025年10月12日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    従来の、社会とか政治とか正義とかについての諸々の言説を、まとめてひっくり返してしまうような、強い衝撃を受けた
    従来の言説が、家父長制の中で、男性性が都合の悪いことに蓋をして、都合がいいところだけで理論を組み立てたものなのだと言うことがはっきりと分かった
    さて、これからあとはどうしたらいいのかな

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    2025年06月11日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    今更ではあるが…『ケアの倫理』という観点を知りたいと思い手に取ってみた。
    岡野八好さんが7年の歳月を掛けて書かれた『ケアの倫理』。
    日本の中で、これだけ『ケアの倫理』領域を深く理解をし、学び続けている人はこの方以外には居ないのではないかと思う。
    熱の籠った熱い想いを感じざるを得ない渾身の著。
    書くのにも時間が掛かったそうだが、読む方も結構、時間が掛かった。
    今年の春に一度読み始めて挫折し、11月から再び気を取り直して読み直し、やっと読み終えた。

    こんな話は理想論。
    と、決めつけてしまうのは簡単。しかし、フェミニズムに限定しなくとも、「必要なケアをお互いに大切に考えて行く社会」はより住みやすい

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    2024年12月21日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    第2波フェミニズムからケアの倫理までの展開。硬めの文章だけど読みごたえがすごい。以下は付箋を貼った箇所の引用。

    “すでに触れたように、ケアはわたしたちの社会に遍在している。だが、女性たちが歴史的に担わされてきたケアは、その価値を貶められ、人間らしい活動とも考えられてこなかった。女性にふさわしいとされたケアを担うがゆえに彼女たちは、人間的に価値ある活動や領域から排除され、あるいはそこにアクセスすることが叶わなかった。その歴史とそこでの葛藤から、フェミニストたちが紡ぎあげた思想が、ケアの倫理である。” pp.11-12

    “むしろ、本書の意図はその逆に、ケアという営みよの特徴を分節化することによ

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    2024年06月29日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    このところ利他とかケアとかというキーワードを書名に掲げる本をこの本棚に登録しています。積み上がる一方ですがなんとなく読んだりもしています。同じようにジェンダーとかフェミニズムとかについての読書もそろりそろりとしています。ということで「ケアの倫理ーフェミニズムの政治思想」このビッグワードがクロスする、なんかでっかいタイトルに惹かれこの新書に取り組みました。なかなかキツかったです。キツイけれど読むの止められませんでした。止められないけど受け取りきれませんでした。頭ではそうですが、なんとなくお腹の辺りがゾクゾクする感覚を得ました。読み進めるにつれ利他とかケアとかジャンダーとかフェミニズムとか…今まで

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    2024年06月24日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    ネタバレ

    自分がげっそりしながら投票していることの説明を始めて言語化してもらえたのがうれしかった。追っかけるのに相当な頭の体力がいる。それだけの価値が私にはあった。
    ケアの倫理が子育てからきているのは当然なのだが、どちらかというと後のない介護の方が問題点がはっきりする気がする。人はケアされる脆弱な存在であること認める。自立できないことを恥じない。ケアの責任配分。ケアを認めること。そもそも不平等を内包するケア関係をより平等で公正で自由を担保するものにする。ケア実践が社会の中でどのような機能を果たすかについてコントロールできるようにする

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    2024年04月07日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    現時点で「ケアの倫理」を学ぶために最もまとまった書籍、ただ読みこなすためには、ある程度の基礎知識と粘り強さが必要である。「ケアの倫理」を読み解くためには、現在の社会を理解するための基礎たきな考え、マルクス、フロイト、そしてフェミニズムの歴史、そしてロールズの正義論、これは押さえておくべき基礎理論である。「ケアの倫理」が示す民主主義的な態度は、主流とは異なる「もうひとつの声」に耳を傾けること、それが今後の私たちの未来を照らす声になるし、そのこと自身でケアを問い直すことが新しい社会を作っていくことにつながる。新自由主義に基礎付けられた現状を続けるのか、「ケアの倫理」に基づいた社会を構築するのか、今

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    2024年02月25日
  • 正義への責任

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    この本は、アイリス・マリオン・ヤングの晩年の最後の著作で、私の考えでは政治的に非常に重要な意味を持ってくるテクストだと思う。参照先はデリダ、アレント、レヴィナス、フランツ・ファノンなど、錚々たる面々で、フェミニズム的な主体性の問題、あらゆる差別や政治的選択の自己責任などが網羅的に論じられる。
    政治的選択は本当に自己責任なのか。(言ってしまえば視野の狭い)生活保護で生活しているような貧しい人たちの政治的選択は自己責任にしていいのか。きわどい問題を論じている。私には、この本は良い意味で、他人事ではなかった。政治の問題を、自分のこととして考えるいいきっかけになる本だと思う。

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    2022年04月21日
  • 正義への責任

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    わぁ、文庫出たんだ。解説とかついてるだろうな。お金できたら買う。
    単行本は出た時買って読んだ。周囲に悪意のない、むしろ善意の人がいても、生活のさまざまな局面で貧困に陥ることがある仕掛け?がしみじみと理解できる。
    この本は講義してた時期、何度も紹介した。学部生にはちょっと大変な本だと思うけど、こういうこと(自己責任論の問題)を考える回路を、持ってもらいたいんだよね、みんなに。
    この本はアイリス・ヤングの遺作となり、同僚の先生が編集なさったとのこと。

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    2022年04月10日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    自己責任論や普遍的(とされてきた)な正義が称揚される昨今においてケアの倫理を学ぶ意義は大きいと感じた。

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    2025年10月13日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    読書会のために読んだ。
    読書会用だからメモしながら丹念に読んだのもあるが、新書なのにとても時間がかかった。フェミニズムの歴史を知っている前提で盛り込まれており、リズムも悪いので非常に読みにくかった。

    しかし、ほとんど知らなかったフェミニズムの歴史や功績を知ることができたこと、そして、女性がケアを担うことが「自発的に選んだ」となってしまう恐ろしさ。つまり、法的には平等で制度的には整っているのだから「あなたが選んだのよ」となるのであることを初めて認識しできた。法的な問題ではなく家父長制を含む社会構造の問題であるのを知ることができたのは大きな一歩である。

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    2025年06月06日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    ちょうど育休をとって新生児の世話をしているころに読み始めた。
    ロールズの正義論のような、統一的な定理を示すのではなく、ニーズへの応答として発生するケアの倫理があり、それこそがフェミニズム思想であるという骨太の内容だった。
    寝不足だし、細切れの時間しかないので、そもそもしっかりとした文章を読むのが難しく、ところどころ理解しきれないところあるんだけど、こういう本を読めるのが嬉しかった。すごく納得したり励まされたりした。

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    2025年05月10日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    家事労働の価値を高めたいと常々思っているので、その期待に応える本だった。
    ケアする側とケアされる側のニーズをつかむことが大事だと思った。男女の違いを尊重し、助け合うことが大切だと思う。
    人に喜ばれることを互いに自然に分かち合える、より良い社会を形づくっていきたいと思った。

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    2025年04月23日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    これ、最終章でむちゃくちゃ大事なこといってる。
    筆致も冴えて、切り込みも鋭い。
    本当に今だから切実に求められている視点を提示している。

    唯一疑問なのは、300ページ超の論考がなんで「新書」?
    この構成なら上製本でいいのでは?

    新書なら、第五章の内容を中心に200ページ+αで読ませる方がより多くの読者に届いたのかなと。

    フェミニズムの文脈で展開されてきた「ケア」に関する議論を丁寧に追うのはよくわかった。
    でも最終章に辿り着かないまま投げてしまった読者がいなかったがいちばんの心配。

    とても大切な提言なので、より多くの人に届いてほしい。

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    2025年03月04日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    「日本でもっとも後回しにされるケアこそが、政治的活動なのだ。こうして、政治以外のケアを、誰かに任せておける特権的な者たちだけが、政治を動かすという社会が強固にできあがってしまった。」p.324

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    2025年02月03日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    誰もがケアされてきた、脆弱なひとであるという点で平等なのだと認め合うこと(本文より)

    男は仕事。女は家庭。それは生物学的なことではなく、政治的なことだと、資本主義が機能するためにあらかじめ与えられた役割に押し込められているだけだと著者は訴える。
    自己責任が社会的風潮の現代、ほんとうに個人だけの問題なのか?疑問を持つことからはじめよう。

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    2025年01月21日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    audible 2025年の1冊め
    新年の1冊目に相応しい。とはいえ、音声だけでは、印象的な部分を聞き取れた、に過ぎず、紙の本をきちんと、と感じた。
    誰も否定できない、本当にそう!ということを語るために、これほどまでに詳細な論理立てが必要なのかと、辛くなるくらい。
    是非もっと、メディアでも取り上げられ、扱われて欲しい。
    社会を変えるために。

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    2025年01月09日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たち。フェミニズムについて、ケアの視点から論理的に分析している。

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    2024年06月28日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    育児、教育、医療、障碍者福祉、介護など、今の日本はどのケアの現場も強烈な人手不足。
    将来的にも解消されていく見込みもない。
    膨らんでいく焦りや恐れに対する何らかの処方箋はないものかと本書を読んでみる。
    もちろん、ケアの「倫理」なので、今すぐにできる何かを説くものではないとはわかっているが。

    ケアをめぐって明らかになる、人間社会の在り方、政治の在り方を考える。
    それが「ケアの倫理」ということのようだ。

    ギリガンの『もう一つの声で』が、この分野の原典であり、重要な著作だとのことで、著者はこの本が書かれ、受容されていく経緯を丁寧に跡付ける。
    たしかに、歴史的にはフェミニストたちが問題として立ち上

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    2024年04月28日
  • ケアの倫理 フェミニズムの政治思想

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    成熟した人間が体得するとされる「普遍的な」正義論が、ケアを受けることを当然視し、なおかつその価値を貶めてきた者たちの視座から構築されたのだとしたら?

    新型コロナウイルス禍を経て、ケアの重要性を実感したわたしたちは、「もうひとつの」正義論に向かわないといけない。全編を読み通し理解するには、かなり骨が折れる本ではあるが、実に現代的な、アクチュアルな本であることは間違いない。

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    2024年04月26日