岩田誠のレビュー一覧

  • 神経内科医の文学診断

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    私は、イタリア文学者の須賀敦子氏のファンである。特に、イタリアの詩の翻訳が好きである。
    本書で、著者の岩田誠先生が須賀敦子氏に触れているので嬉しくなった。「19 マルグリット・ユルスナール『黒の過程』―脳腫瘍―」で少し、「30 ナタリア・ギンズブルグ『マンゾーニ家の人々』―家族性片麻痺性片頭痛―」でより詳しく触れている。それで、大いに岩田先生を見直した次第である。

    本書の目次
    はじめに
    1 アンドレ・ブルトン『ナジャ』—クロード教授とババンスキー
    2 谷崎潤一郎『鍵』—足底反射と挙睾筋反射
    3 マルセル・プルースト『失われた時を求めて』—瞳孔反応
    4 ウィリアム・アイリッシュ『じっと見ている

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    2025年10月19日
  • 神経内科医の文学診断

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    季刊誌「Brain Medical」連載、7年半分、30篇。各篇、よく考え抜かれて書かれている。
    古今東西の文学作品を神経学的視点で読み解いてみせる――それがまず驚きだ。著者の若い頃のエピソードも随所に顔を出し、そこに思わぬ発見や気づきがあり、その展開がおもしろい。とくに読み応えがあるのは、シェイクスピア『マクベス』(レム睡眠行動障害)、タブツキ『レクイエム』(帯状疱疹)、キャロル『鏡の国のアリス』(失名辞)、清張『或る「小倉日記」伝』(脳性麻痺)。
    プルースト『失われた時を求めて』では、瞳孔反応をとりあげている。相手の瞳が一瞬広がるのを見て、心の動きを知る一場面。プルーストは、散瞳という交感

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    2025年05月04日
  • 上手な脳の使いかた

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    とても勉強になった!

    ◯意味記憶
    ◯エピソード記憶
    ◯手続き記憶
     ・運動に関するもの
     ・知的技能(将棋など)

    運動に関するものは、何度も練習してできるようになる。
    最初は大脳皮質が働く(ので疲れる)が、上手になってくると大脳皮質はほとんど働かなくなり、かわりに小脳が働くようになる。
    知的技能は熟練すると大脳基底核が働くようになる。
    趣味のピアノも何回も練習して熟練すると、楽に弾けるようになるが、これは大脳皮質から小脳が働くように変わったためだと思うと、練習中に、小脳に移ってきたなと感じられて面白い。

    人間のサイクルは90分が1単位。
    集中が続くのは90分まで。

    脳は発熱器官である。

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    2021年08月18日
  • 神経内科医の文学診断

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    脳と神経の第一人者である筆者が、文学作品中に現れる自身の専門領域の病気や症状について語ってくれる本。書店で見つけて興味を持ち、目次を見る。芥川龍之介の『歯車』に現れる閃輝暗点の記述があった。これはその昔、当時つきあっていた彼女が教えてくれた話で、彼女自身も閃輝暗点を経験していた。

    妙な懐かしさを感じて本を購入した。

     内容には専門的な記述もあるが、話が固くなり過ぎないように配慮されている。なによりも文学好きな筆者の気持ちが伝わってくるのが読んでいてよくわかる。須賀敦子に対する記述などは読んでいて共感できる部分だ。単なる文学論ではない、病の部分に触れた内容は、とても興味深く読むことができた。

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    2010年11月02日
  • 上手な脳の使いかた

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    体験しての記憶の大切さとか、アウトプットによって記憶が整理されるとか、あとは睡眠は脳を冷やすのに必要だとか。

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    2018年06月16日
  • 上手な脳の使いかた

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    東京女子医大の先生~大脳皮質は分業体制・はっきりした役割曖昧な役割・記憶に関わるのは大脳縁辺系/大脳基底核/前頭連合野・エピソード記憶は海馬から・意味記憶は連合記憶で海馬は関係ない/手続記憶や非陳述記憶と呼ばれるのは小脳だが運動と知的技能がある・言語を獲得すると絵も描けるようになる・脳は可塑的・体験学習/表現活動/グループ学習/脳を休めるのも大事~1942年生まれの神経内科の先生で、メディカルクリニック柿の木坂の院長。孫の絵なんかを出してきて愛情溢れる人だね。高齢者は頭を余り使っていないから冷やす必要もなくて眠りが浅くなるが、大抵の場合、夕刻に居眠りしているんだ!←これには異議あり!!

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    2017年02月17日
  • 神経内科医の文学診断

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    ネタバレ

    近頃、何でもない漢字が突然書けなくなったり、しゃべっている途中でろれつがうまく回らなくなり、俗に言う「かんで」しまうことがふえた。人の名前が出て こないことは、ずっと前から少しずつ徴候として出てきてるので、加齢によるボケの始まりだろう、と軽く考えていたのだが…。

    岩田誠氏の『神経内科医の文学診断』という新著を読んでいて、少し不安になってきた。谷崎潤一郎の「鍵」についてふれた一章の中に、失名辞失語の症例が出 てくるからだ。文章そのものの主題は失語症についてではなく、ババンスキー反射という、「大脳皮質運動野から脊髄の下方に至る随意運動の経路、すなわち維 体路のどこかが破壊された」場合に起こる足趾

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    2013年03月06日
  • 上手な脳の使いかた

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    勉強ができることと、仕事ができることは違う。自分で考える力はどうやればつくのか?そんな脳を育てるには?という問いに脳の構造や働きから、わかりやすく解説してくれる一冊。岩波ジュニア文庫なので、大人にとっても読みやすくわかりやすく助かります。
    子どもの絵は、網膜的リアリズムではなく概念的リアリズムであり、自分にとって重要なものを取捨選択できているということなので、もっとほめてあげたい、というくだりに目から鱗。
    プレゼン教育推進の根拠にも帯状回の視床下部の、と続き、なぜなに星人だった人には嬉しい説明。
    答えのない世界をこれから生きていく子どもとそらを見守る大人のためのよきガイドブック。

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    2020年01月14日
  • 上手な脳の使いかた

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    「失敗して覚える」ことの有効性が語られている。また、「第4章 脳を育てる学び方」として、「4・1 現場で学ぶ」(体験学習の有効性)、「4・2 表現活動をして、記憶を整理する」、「4・3 グループで学ぶ」(グループ学習・チュートリアル学習・部活動の有効性とネット学習の問題点)、「4・4 脳を休める」(体内時計をまもる・上手に昼寝する)が挙げられており、いずれももっともといえる。

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    2017年01月03日