ディーパアーナパーラのレビュー一覧

  • ブート・バザールの少年探偵

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    今とても評判のインド版少年探偵団の物語。インド小説というだけでも気になるけれど、ここ数年、子どもが主人公の翻訳作品が続出していること、そのどれもが、例外なく読んで後悔のない優れた作品であること、などの事情を考えるに、非英語圏諸国の小説も、英語版・日本語版翻訳へと推進力がついてきたのかもしれない。だとしたら読書の楽しみが隅々まで広がってくれて大変有難い。

     それにしても、今のインドと言えばコロナ。インド株の急激な拡大に国家的危機が拡散しているのではないかと恐怖を覚える現在。本書はその少し前の時代なのだが、コロナがなかろうと、インドのカーストの底辺にはこんなにも深い闇が広がっているのか驚きあきれ

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    2021年06月27日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    「ミステリだと思ったら全然違った。底知れない闇と人々の生き生きした様子が例のない感慨を残す。凄かった」と、高野秀行氏がXで絶賛されていた。旅の合間に読まれ、最後は夜を徹して読破されたという。
    おっしゃる通り、これは確かに新感覚!「続きが気になって仕方がない」焦りを久々に呼び起こしてくれたし、読み進めたら読み進めたで、「これはジャンル分けが難しい…」と思案に暮れる一冊であった。

    インドのバスティ(スラム街)で家族と暮らすジャイは、刑事ドラマが大好きな9歳の少年。
    ある日彼のクラスメートが行方不明になるが、学校や地元警察は真面目に取り合おうとしない。ジャイは友人のファイズやパリに、自分たちで捜査

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    2025年08月01日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    読み終えるのにとても時間を要した。
    インドの固有名詞などになかなか慣れないせいもあるかもしれない。
    内容は、少年(子供)たちが活躍する話しかと思ったら、なかなか重い、インドの社会問題を描いたものだった。
    インドという国に漠然と抱いていた印象以上に、現実は恐ろしいようだ。

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    2024年02月11日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    インドのスラム街を舞台とした少年探偵ミステリー。インドのお話をきちんと読んだの初めてだったのですごい色々びっくりした。衛生状態めちゃくちゃ悪い。治安も悪い。とにかくひどい。このことを知れただけでも貴重な本

    9歳の少年ジャイの目線で物語が進むんだけど、合間に入る三人称の物語がキツい。訳者さんのあとがきでもあるけど、作者のジャーナリストとしての視線がすごい反映されていて読んでいて苦しくなる。
    でも、ジャイの視点は明るくて元気で、なんかまたそれがキツいよなぁ。
    いやぁ、すごい物語だわ。

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    2022年02月18日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    ネタバレ

    ハヤカワミステリー文庫から出版されていること、エドガー賞の候補作、タイトル…それでもあえて先に言っておく重要な感想は、この小説は所謂ミステリー小説ではないってこと。そこを大きく期待してしまうと「で、オチは?」とのたまう無粋関西人のような感想を持ってしまうと思う。

    既定のジャンル枠にとらわれず、現代インドのスラムの闇も病みも汚れをも、子供目線で照らしつける小説とだけ頭の隅に置いて読めば、この本にどっぷり嵌れると思う。

    行方不明となった同級生を探す、無邪気な少年探偵団たちが次第に自信を失い、世界の無情にさらされ、ついには「僕はもう探偵じゃないから…」と言わせてしまう、なんともニヒルな成長譚。

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    2022年02月16日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    インドでは毎日180人もの子どもが行方不明になる。年間ではない。月間でもない。毎日である。その衝撃的な事実を基に、元ジャーナリストである著者が書いたのが本作。

    雑多で混沌に満ちたインドのスラム社会を、探偵に憧れる少年ジャイの視点からリアルに、時にコミカルに描いた話題の作品である。作家の深緑野分さんがTwitterでべた褒めしているのを見て手にした。

    主人公ジャイをはじめ、優等生の女の子パリやムスリムの少年ファイズなど、スラムに生きる本作の子どもは皆したたかで、たくましい。貧困問題、女性差別、宗教問題、そして誘拐事件…扱うテーマは複雑で重いが、暗くなり過ぎないのは、登場人物の彼らが希望を捨て

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    2021年09月08日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    刑事ドラマが大好きな少年ジャイが子供の失踪事件を追いかける。刑事ドラマの知識で事件を見たりする幼さや暮らしている地域で起こる失踪事件に対して思うことの怖さが徐々に増していく展開の面白さ。ジャイと友人たちとの探偵ごっこのようなものとそれを続けることで見えてくる現実。失踪事件がどんどん身近になってくるにつれて緊張感を増していく。インドの貧富の差や、暮らしに対する考え方、宗教、差別と様々な物語どんどん浮き彫りにされていく。ジャイが目にする現実が物語の中だけでありますようにと願いたくなるけれど世界で日本であることだと読み手も現実を見る。

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    2021年05月02日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    ネタバレ

    タイトルと表紙はかわいらしく、一見学生も読めそうな本、

    しかしインド社会の闇をテーマに取り扱った、バリバリの社会派小説。

    日本人からすると信じられないような、インドの子供達が直面するさまざま問題や堕落した警察事情が衝撃的。

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    2022年11月02日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    スラムで起こった子供の連続失踪事件の真相を追い求めるべくテレビの探偵の真似事をする9歳の男の子の目線でインドの暗部が描かれています。といっても主人公は常に活発で腕白で、生き生きとした物語。ジャーナリストとして長年インドの貧困層の子供をとりまく教育問題などを取材していたというインド出身の作者による作品です。ミステリーというより9歳の男の子の冒険譚と言った方が良く、謎解きやサスペンスを求める人には物足りないと思いますが、インドのリアルを描く書き物として素晴らしい一作。
    本筋とは関係ないが、多数の食べ物の名前が出てくる。画像検索しながら読み進めていったらインド料理屋に駆け込みたくなること間違いなし。

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    2022年01月21日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    ミステリーという枠ではないことだけはまず。
    インドのスラムに生きる子供視点で描かれる、リアリティーのある話。毎日180人もの子供が消えるインドの、日常とも言える話。ただただ悲しく、やるせない。
    日本に住んでいては想像もできないような生活がこの本には詰まっている。あとがきにもあったが、そういった問題提起としての意味合いが強い。ニュースで出る数字の裏には、人の顔がある。まさにそういうことなのだ。

    作品としては、子供視点なので思考、内容、セリフ回しに慣れるまではちょっと読みにくいかもしれない。最初からその姿勢でいけば問題ないだろう。

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    2021年12月04日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    あとがきにあった作者が伝えたかったものは、子どもたちの日常描写からよく伝わってきた。宗教上の対立、リンチ、誘拐、貧困など社会の様々な問題が子どもの視点を通して語られる。元気でちょっと生意気な子どもたち自身も、ときに無意識に差別をしてしまっていることも。
    最終的にミステリーの謎が解けるのかと思っていたけど、解けないままなのが現実逃避をさせない感じだった。実際に警察が本気で捜査を全うするまで、毎日消える180人の子どもたちの行方はわからないままなんだと思う。
    最近は早川書房の海外文学を通して英米以外の国の人々を描いた作品に触れることで、自分が知らなかった世界について知ることができて勉強になってる。

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    2021年08月31日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    平積みにされていたのでなんとなく手に取りました。
    主人公が本当に8歳だか9歳の子供の思考と言動で、作者さんすごいなって思いました。子供特有の、テレビのまねっこやら、自分の周囲の狭い世界の中で容疑者を特定したりとか、大人たちの噂話を何も考えずに口に出しちゃったりとか、移り気で一つの事に集中できないところとか、子供ってそうだよねぇというのを大人が書けるのがすごいな、と読んでいて思いました。その分、きちんとした捜査が出来るはずもないのでお話は遅々として進まないんですけどね(笑)

    インドでは毎日約180人の子供が行方不明になる、と帯に書かれてましたが、犯罪に巻き込まれて命を落とす子も多いんだろうなぁ

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    2021年07月03日
  • ブート・バザールの少年探偵

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    インドのスラム街に住む、刑事ドラマ好きの少年ジャイ。
    ジャイのクラスメートの失踪から始まる子供たちの連続失踪事件。事件は、終始、少年の目線で語られる。
    そこで、明らかになる、学校の無関心(ことなかれ主義)、賄賂を要求する警察、持つ者と持たざる者の分断、宗教と差別。
    インド社会の歪みとそこに潜む闇の深さに衝撃を受ける。

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    2021年05月15日