西山圭太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
DXの本質について説明を試みた書籍であり、それはアーキテクチャーやレイヤーといったもので表現される産業構造を変革する道具であり、思想であることと受け止めた。特に「本棚に無い本をみつける」といった表現にあるように、既存の技術やサービス(本棚に存在する本)をしっかり把握した上で、それを組み合わせたアーキテクチャーとすることで、新たな本に相当する価値を生むことができる。それを徹底的に探究することがこれからの時代求められていることであると。
メッセージは世界がテクノロジーを活用して変革に向けて邁進している中で、自らがどうあるべきかを徹底的に考えるべし。というのが本書から得られたメッセージであると受け止めた。 -
Posted by ブクログ
DXが何なのか、ということを知ろうと思ったときに最初に読むには良い本なのではないかと思う。
DXの事例などをまとめた書籍を読んだことはあったが、それは言ってみればデジタル化の事例集のようなもので、その背景にある思想には考えが及ばない。
本書は、DXの背景の思想、GAFAが描いている戦略などをある程度抽象化した視点から述べている。このため、自分の仕事に適用しようとした場合、考える必要があるが抽象化しているため汎用性も高いのではないかと思う。
一方で、料理を例として多用するなど、抽象化されているからと言ってわかりにくいということもなく、著者の独りよがりになっているということもない。
本書の解説では冨山和彦氏が”本書を読んでデジタル化の本質的な意味合い、そしてIXの衝撃の実装をりかいできない(中略)とすれば、今後、ビジネスの最前線で戦い続けるのは難しいかもしれない。”と書いており、意味合いを完全に理解できているといい難い自分に不安もあるが、何度か読んで理解を深めたいと思った書籍。 -
Posted by ブクログ
ウォードリーマップという整理が参考になった。
プラットフォームは
①内製開発すべきもの→
②パッケージをカスタマイズして使うべきもの→
③外部調達すべきもの
という段階に分かれており、徐々にSaaSとして調達可能となっていく。
自社の競争優位性に繋がる領域は開発なりカスタマイズすべきという判断になり、優位性に繋がらないなら外部調達すべき。
そして内製開発したものを外部にSaasとして販売することで新しいビジネスモデルが生まれたりもする(AWSやキーエンスのBIとか)
データ=情報を解釈可能でアクションを促す情報(示唆やインサイト)に変換する仕組みをこの本ではコンポーネントと呼んでいる。
同じレベルのコンポーネントを並べたものがレイヤーで、レイヤーの集まりがアーキテクチャだという。
いわゆるエコシステムのようなものをコンポーネントやレイヤーという表現をしていると理解した。
DXとはビジネモデル変革のために、こうした外部のエコシステムを有効活用しながら取り組むべきというのが本書の趣旨かな。
確かにエコシステムを構築した企業、そして次にそのエコシステムを使い倒している企業が高成長していると思う。 -
Posted by ブクログ
本書の最後には冨山和彦氏による解説がある。その中で「この本を読んで腹落ちしなかったらヤバいでしょ」と語っているのを読んで、少々焦る。前半は比較的分かりやすいが、だんだんと専門用語が増えてきて話についていくのが難しくなってくる。
しかし参考になったことはあった。日本企業はかつて、一つの企業内で色んな仕事を経験することで「ヨコ割」の組織になりそれが強みに繋がる時代が長く続いたが、他国の影響か効率化を目指した故かタテ割りになっていった。
日本は昔から外の技術を勤勉に研究・応用して強みにしていったが、デジタル化が進んだ結果「じっくりと」考えている間にどんどん追い抜かれてしまう時代になっていった。
情報量も処理能力も人間の力を遥かに凌ぐ情報技術の世界にあっては、次々と出てくる技術を乗り換えていく割り切り思考がないとついていけなくなり、その加速が止まらない世の中が進行しているのだと思えた。 -
Posted by ブクログ
この高度成長期を支えた発想、つまり「工場内ではヨコ割り、事業部門間・企業間ではタテ割りで経験を積み、熟練を磨きこむことが強い」「業種というタテ割りの中で戦う/政策を考えると勝てる」という、我が国官民に共通のふたつの発想を打ち砕いたのが、デジタル化である。政府もビジネスも、かつてはIT産業、いまでいうデジタル、スマートビジネスを上記の発想・ロジックの延長線上でイメージした。つまりは新しく「IT産「業」が既存の業界の外側にできたかのように考えて戦い、敗れた。それが我々の経験したことである。だからこそ、我々はいま新しいロジックを理解し身に刻まなければならないのである。
■上がってから、はじめて下がる――まずは抽象化、そののち具現化してみる
このビジコンとインテルとの出会いにはデジタル化の本質の全てがある、と私は考える。まずデジタル化のロジックとは「具体ではなく抽象」だということ、つまり「この手を打てばいま目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、何でも処理・解決できてしまうのではないか」という発想である。1種類のものを、もし可能であれば1種類に落とし込めないか、そしてそのときに今は目の前にはない計算機、さらには他の電子機器のことも「探索」しイメージしようという発想である。
少し脱線するが一つの経験談をお話ししたい。私が東京電力の経営に参画していた時代、旧知のスイス企業を訪ねたことがある。ランディス・ギアといってスマートメーターでは世界のトップ企業であり、訪ねたのは社長のウンバッハ氏である。一時はシーメンスの傘下だったのだが、当時は東芝と産業革新機構が株式を保有していた。サイモン氏も実はドイツ中堅企業にスイスのドイツ語圏にある企業を含める場合が多いので、「隠れたチャンピオン」企業の一つと言ってもよいのだろう。しかし、ウンバッハ社長を訪問した理由は、スマートメーターの件ではない。世界の電力会社、ガス会社、水道会社と取引のあるランディス・ギアの社長から見て、電力会社の次の10年の課題は何であり、どんなエネルギー企業の動きに着目しているか、それが聞きたい点であった。ウンバッハ氏は、独自の資料に基づいて雄弁に説明してくれた。そしてその話は、世界的なコンサルティングファームなどから聞く話とはまた一味違う「芯を食った」話であった。これもまた、隠れたチャンピオン企業は、顧客の将来課題から発想しているということを示す忘れがたいエピソードである。
ミン・ゾンはアリババが担っているメカニズムは二つだという。一つがネットワークコーディネーションであり、いま一つはデータインテリジェンスである。それを中国的に「陰と陽」として表現している。ネットワークコーディネーションが陽、データインテリジェンスが陰である。ネットワークコーディネーションは、アリババが創業以来関わってきた、オンライン小売市場のタオバオに関係するプレイヤーの間のコーディネーションを指している。関係するプレイヤーは、売り手としての出店者、買い手である消費者、卸売、メーカー、決済事業、ソーシャルメディア、広告、そして出店者をサポートするサービスプロバイダーなどである。その間をデータでつないで最適になるよう調整することをネットワークコーディネーション、と言っている。
…デジタル化とは、最も単純なゼロイチの物理的な表現から、現実に存在する複雑な人間の実課題を解決することの間を共通のレイヤーをいくつも積み重ねることで連結しよう、というメカニズムである。
人間の実課題とコンピュータの物理的基盤がどんどんつながり始めている。それは、単なるゼロイチの計算の速さ故、半導体の能力故、そしてデータの量故ではない。アルファ碁の事例で説明したように、囲碁の盤面のパターンと勝ち筋の探索を純粋な計算能力だけで突破しようとすれば、超天文学的なことになる。もともとアルゴリズムとは(ディープラーニングまで持ち出さずとも)、できるだけ早く計算結果に到達できる手順のことを指している。ミン・ゾンがアルゴリズムで動いていない会社はスマートビジネスでないというのは、言い換えれば、会社自体が計算結果(データから価値を生むソリューション)に早く到達できるかたちになっているか、を問うているのである。その「早く到達できるかたち」を、アリババのようにかなり内製化しているか、あるいはクラウドサービスを利用して外部のものを大幅に利用するかは別として、どちらにしてもそれを実現しているのはレイヤー構造をしたソフトウェア群である。
そして、このレイヤー構造をしたソフトウェア群は、データを処理すればするほど、使えば使うほど精巧になるという進化を指向する存在でもある。
当時聞いた話で最も目から鱗であったことの一つは、製造業の仕組みは、とどのつまり二つのタイプに分類できる、ということである。一つが組み立て加工型、いま一つがダイセルを含むプロセス産業型である。この二つには大きな違いがある。
組み立て加工は、ラインを組んだ流れ作業であり、その間で部品・中間材の受け渡しが行われて最終製品に至る。換言すれば、人が工具などを使って働きかける作業を幾重にも繰り返して成り立っているということになる。トヨタのカイゼン方式が活かされるのはこうしたケースである。この方式では不具合があるとラインを止めることになるのだが、その不具合の原因となった人の行動を洗い出し改善することで、ラインを止める時間がどんどん短くなり、かつ流れ自体も速くなる。第2章で紹介した小池和男の分析対象となった日本の熟練の典型的なケースはこちらであろう。
プロセス産業はこれとは大きく異なる。これも単純化すれば、液体や気体が設備配管のなかを流れている工程だからだ。こちらの場合は、不具合があって設備の稼働を止めるというのは本当の最終手段であり、その時間の長短を梃子に生産性を改善するということはできない。稼働を停止しないために行われるのが、前述した安定化のための予兆監視と介入だということになる。
また、組み立て加工産業の仕組みを模式化すると、工場の入り口には多種多様な部品があり、出口には限られた数の完成品が並ぶというイメージになる。N(多数)から1を作るという考え方である。これに対して例えば化学産業の工場やサプライチェーン全体を見るとその逆になる。極端にいうと、入口には原油しかない。これに対して出口でできる製品は多種多様である。1からNを作る作業だ、ということになる。
■アーキテクチャ理解の急所
データの場合/夜食のラーメンの場合
・アーキテクチャの目的
データを転換して価値、 ソリューションにする。
/食材に手を加えて美味しいラーメンにする。
・コンポーネントの役割
データを変換して、得たいデータの状態にすること。それで達成したい差分。
/食材に手を加えること。それで達成したい差分。麺を好みの硬さに茹でること。
・間違ったコンポーネント理解
ソースコード自体と同一視する。
/「100℃のお湯で3分間茹でること」と同一視する。
・レイヤー構造とは
データを転換するステップの積み重ね。
/食材に手を加えるステップの積み重ね。
・レイヤーとは
同じレベルのコンポーネントを並べたもの。
/同じ段階の手順(「麺を茹でる」「スープを温める」)を並べたもの。
・インターフェースとは
コンポーネントの中で行 われている処理を他のコ ンポーネント、上位のレイヤーから見て隠すこと。
/スープは「温めたもの」 は「茹でたもの」といちいち言わずに済ますこと
とは
・レイヤーを積み重ね、コンポーネントを増やすとできること
人間の実課題のソリューションの多くをデータから作ることができるようになる。新しい価値を持ったソリューションも生み出すことができる。
/ラーメンはもとより、世界中の料理が作れるようになる。新しい料理も生み出される。 -
Posted by ブクログ
流読。おそらく肝をつかみきれていない。
要再読。
世界をパターンの組合せでとらえなおすことの重要性。
膨大なデータを価値に転換するシステムを表現・設計すること、この違いをどう理解するか。
◯企業が「地図」を読んでデジタル化の時代にビジネスを展開するということは、エコシステムの一部になることを通じて、その地図自体を描き換えるということを意味している。あるいは描き換えられるかどうかが、企業のDXそして経営の成功を意味している。
◯高度経済成長期を支えた発想
「工場内ではヨコ割り、事業部門間・企業間ではタテ割りで経験を積み、熟練を磨き込む」「業種というタテ割りの中で戦う」
→暗黙知化、デジタル化の中ではコード化できるか
◯上がってからはじめて下がる
「まずは抽象化してみて具体化する」
→この手を打てばいま目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、何でも処理・解決できてしまうのではないか
・世界の中ではヨコ割りだった日本企業の経営が、いつしかタテ割りになった
→グローバル化・デジタル化により、共通的な手法で解が出る水位が上がっている
◯デジタル化のかたちは
「深いレイヤー構造を使ったネットワーク」
→共通するOS、特定の目的のためにアウトプットするアプリケーションの間に何層もの言語翻訳、中間解があることで深み(様々なニーズにたどり着く)
→完全に定型化でもランダムでもない、適度に良いつなぎ方をすることでイノベーションを生むネットワーク
○アーキテクチャの機能:スマートシティであれば、エネルギー効率、移動の便利さ、教育の質、高齢者への配慮、プライバシーの保護など様々視点があり、それら複数の軸に分かれているものを、あr棚横断的なレイヤーをつくることで、両立可能なパターンを探索。パターンランゲージの活用。 -
Posted by ブクログ
なぜだか分からないが地元の県庁関連で、DXに関する意見交換会をしたいから参加してくれと言われ、付け焼刃で読んだ一冊。世の中にあふれているDXという名の単なるICT活用術とは一線を画した書籍であり、本質に迫ろうとしている(迫っている?核心をついている?)書籍であるとは思うが、なにせ自分の理解が追い付かない。久しぶりに仕事以外の書籍で、線を引き引き読んだものの、なんだかなあ。手っ取り早いHow toを求めている人にはまったく向いておらず、また、本質的にDXを考えたい人にとっても、どこまで著者とシンクロして理解できるかは、なんとも評しがたい。
-
Posted by ブクログ
抽象的な話が基本だが、たとえや具体例が豊富なので面白かった。
乱暴にまとめるなら、「DXの本質は抽象化で、ハード部分からUXまでレイヤー構造で捉えることが重要。それに合わせて組織構造を変える必要があるし、課題に応じた地図を作成してそれを見ながらDXサービスのパッケージ選択&内製開発を進めていくのが良い」といったところだろうか。
そして、それをまとめて比喩的フレーズにするなら「本屋にない本を探す」になるだろう。
世界一のレストランと言われたエルブジ、漱石のF+f、ネットフリックスの組織作り、ダイセルの生産革新といった具体例が印象に残っている。
自社のDX戦略を考えるにあたって、ウォードリーマップに本棚を書き込むという方法は面白いし、簡単に始められそう。 -
Posted by ブクログ
業界毎にみるのではなく、レイヤーごとにビジネスが構成され、よりユーザーに近いレイヤーの闘いに遷移してきている。
レイヤーを意識した考え方への転換がDXのポイント。
経営とデジタル化、双方から歩み寄って産業構造を変革する(IX)
これまでの日本
業種という仕切られた枠の中で競争してきた
デジタルはデジタルという業界を考えていて負けた
デジタル時代に必要な考え方
・いきなり具体化して細部に入るのではなく、一度抽象化して何でも一気に片付けられないか考えてみること
レイヤー構造
アリババはクラウドベースの膨大な計算能力を支える物理的インフラと、その上に乗るデータ解析のためのアルゴリズムという大きく二つのレイヤーがある。
API連携でさらにレイヤーを増やせるようにし、UIUXが最も上にくる。
レイヤー構造を通してシステムと人との距離を埋めていく。
ネットフリックス
・組織がイノベーションを目的としているならば、コンテクストによる経営が合う。その前提として、有能な人材で構成されている必要、部所同士が緩やかにつながり自由に動ける必要がある。
・組織がミスを犯さないことを目的としているならば、規律とコントロールによる経営を志向すべし
・成功を支えるマイクロサービスという疎結合を実現するテクノロジーは、膨大な塊のソフトウェアを分割し、独立したマイクロサービス毎の塊を作り、これを結合する機能を持つレイヤー上に載せた。それぞれのマイクロサービスは試聴データベースに個別にアクセス可能。
この、アーキテクチャーが別々に自由に活動しても一つの方向を目指せる組織風土を支えている。
ウォードリーマップ
横軸: 開発、カスタマイズ、プロダクト、コモディティ化するほど右へ、左が自社要素
縦軸: 下から01に近い層、上に行くほどUIUXに近づく。
このマップを書く中で自社の課題、向かうべき方向が見えてくる。