田中拓道のレビュー一覧
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このところ「戦後民主主義」「朝日嫌い」と続けて戦後の保革という政治的対立構造の変化についての新書読みが続いています。今度は「リベラルとは何か」。副題の「17世紀の自由主義から現代日本まで」が示すように、戦後という時間軸をズズッと延ばし、空間も世界視点でババッと拡げ、大きな構造としてリベラルという概念の変遷を捉えることが出来ます。何回も繰り返し使われる、国家中心↔市場中心の横軸とリベラル↔保守の縦軸の4象限の図がわかりやすく、様々な事象の意味がわかりやすくなりました。その中で、リベラルという言葉の変化は世界的な流れの中にあって日本もグローバルとシンクロしていること、しかし、日本の特殊性も存在し、
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リベラルがどのように形成され、どのような挑戦を受けてきたかを知ることが出来た。
日本はやっぱりリベラルの歴史が浅いね。
アメリカのリベラルとヨーロッパのリベラル 大きな政府 小さな政府
完成へと向かう存在としての人間 ミル
17世紀 古典的自由主義 ロック 「統治二法」自然権 アダム・スミス 「国富論」
19世紀~20世紀 自由主義からリベラルへ 幅広い分配 振興中産階級 リベラルコンセンサス 戦後 ケインズ主義的福祉国家 マクロ経済政策 ニューディール
1970 文化的的リベラル 脱物質主義的価値観 権利運動 学生運動 自由の両義性 担い手の不足
1980 第三次産業 ネオ -
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リベラルという概念は、19世紀以降から普及し始め、当初は経済的自由主義としての側面が強かった。20世紀に入ると文化的な側面も加わり、21世紀以降の現代リベラリズムは、個人の価値観、ジェンダー、人種など幅広く結びついて大きな変容を遂げている。
個人的には排外主義との関係と、日本におけるリベラリズムが面白かった。
前者に関しては、リベラル・左派政党のジレンマや、不安定な雇用、さらにはグローバル化が進むにつれ、排外主義勢力も同時に強まっている。リベラルは排外主義に対抗できるのか今後も注目したい。
後者は、欧米のリベラリズムと結構かけ離れているなあという印象。欧米では福祉、移民問題、グローバル化 -
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「価値の多元性を前提として、すべての個人が自分の生き方を自由に選択でき、人生の目標を自由に追求できる機会を保障するために、国家が一定の再分配を行うべきだと考える政治的思想と立場」というリベラルの定義から出発したうえで、その出現の歴史的経緯、現在の情勢におけるその位置づけ、目標とするべき政策パッケージなどを提示する。本書によれば、リベラルの登場は20世紀初頭の欧米に遡る。当初は市場原理主義と再分配との間で路線対立が形成されていたところ、文化的リベラルや新自由主義・「ワークフェア競争国家」の登場とともに、路線対立が複雑化していった。現状ではさほど支持を伸ばせていない(特に文化的)リベラルという立場
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20210314〜0404 「リベラル」について、様々な側面からわかりやすく分析していた。タイトルの通り「リベラルとは何か」といわれると、確かにピンとこない。まず著者は現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再配分を行うべきだ」と考える、と定義している。欧米のリベラルと我が国のリベラルのとらえ方の相違についても丁寧に解説しておりこの手の思想史に詳しくない私にもわかりやすかった。また、著者は現代リベラルの対抗軸としての「ワークフェア競争国家」を定義づけている。これは80年代に英米で選択された新自由主義の発展形であり、分配政策においては市場中心、文化的には保守の立
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田中拓道(1971年~)氏は、国際基督教大学教養学部卒、北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、新潟大学法学部准教授などを経て、現在一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は比較政治経済学、福祉国家論、政治理論。
本書は、「リベラル」と呼ばれる政治的思想について、その歴史を踏まえて、今後どのような可能性を持つのかを検討したものである。
私は、今般米国の大統領選挙で民主党のバイデン氏が勝利したことにより、米国(人)がギリギリのところで良識を示したと思っているが、過去10年程の世界に見る「リベラル」の退潮には大きな危機感を抱いており、その可能性を探るべく本書を手に取った。(最近では、萱野稔人『 -
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ネタバレリベラル
価値の多元性を前提、自分の生き方を自由に選択、目標を自由に追求、を保障のため
国家が一定の再配分を行う政治的思想と立場
アメリカ 自由放任主義から、大きな政府を求める勢力
ヨーロッパ 封建勢力への改革勢力から、社会主義に対抗する小さな政府を求める
ケインズ主義的福祉国家
生産性の政治 階級対立を解消 リベラルコンセンサス 1945~1975年
19世紀 自己調整的市場 実現せず植民地競争、世界大戦
ケインズ 一定の国家介入「マクロ経済政策」
べヴァレッジ ニューリベラリズム 自由市場のための国家の雇用政策、再分配
グローバル化 資本移動の規制撤廃、金融自由化
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政治の素人なので、書かれている内容の全てが初めて知ることばかり!とても勉強になりました。
本書を手に取った時点では、リベラルとは護憲・平和主義を指すと思っていたので、リベラルの定義から確認することに。(リベラルとは、「価値の多元性を前提として、すべての個人が自分の生き方を自由に選択でき、人生の目標を自由に追求できる機会を保障するために、国家が一定の再配分を行うべきだと考える政治的思想と立場」を指す、とのこと。)
今の私は、まさにアウトサイダーなので、国家が一定の再配分をしてくれるととてもありがたく思います。日本でもリベラルの考え方がある程度根付くことを期待します。