パク・サンヨンのレビュー一覧
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映画が今年ベスト級に良かったので、原作も。若いころに読んでいたら確実に多大な影響を受けていただろうな…という傑作だった。映画は原作をとてもていねいに扱っていてそこも良かったのだけれど、やはり原作は当事者ならではの生感や踏み込みが段違いで、激烈にエモかった。
これが自伝じゃなかったら天才だよ、と思わせるようなリアルなディテール。けんかのエピソードがどれもとてもいきいきとしてチャーミング。口が悪くて皮肉屋だけど情が深い主人公の、都会人らしい気質。どんな人ともずっとそばにはいられないという予感が通底しているので、すべての言葉がたまらなく切ない。
バーで読んでいたのだけれど、何度も人目をはばからず -
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これは私たちの、私の物語。
あとがきにあるように、多くの人から寄せられた声、クィアっていったらその通りなんだけど、無視されて、逆に吊し上げられて、罵られて、うるせー!でもそんなの関係ないって、生きてる、恋して、出会って別れる孤独な私たち。
連作でありながら、一人称の「俺」(ヨン)はすべておなじ存在であると同時に異なる存在でもあるという。自嘲ぎみだけどいちばんくつろげる場所を見つけてのびのびして、絶対にその子を、その場所を守ろうとする俺。いたいけな風で、ちょっとかっこ悪いけどそこがグッとくる年上にいかれる俺。イケイケゴーゴーで、ナンパなんかしちゃって?運命?と出会う俺。ひとりになって、おなじよう -
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久しぶりに会ったらきっとお互い「お前超老けたね」って言い合ったりしちゃうんだろうな。大学の近くのモールの喫煙室で、講義終わりにチューハイ片手に馬鹿話に興じていたのが、もう随分昔に感じちゃう。
そんな感じで、本作第一編目を飾る「ジェヒ」は私に大学の友人を思い起こさせた。今となっては彼はもう結婚してしまって、すっかり疎遠になってしまったけれど。特に共通の趣味があるわけじゃないのに仲良く毎日つるんでたなんて、今考えると若かったからできたのかもしれない。だってそうでしょう?今も関係が続いている友人なんて、大体が映画や音楽、ファッションの趣味でつながっている人ばかりだ。
ジェヒと主人公の男の共通点といえ -
Posted by ブクログ
最近豪華キャストの映画が公開された原作はどんなお話なのかが知りたくて。
映画自体はゲイの男の子ジウンと自由奔放な女の子のジェヒが窮屈な社会の中でそれぞれ悩みながらもがきながら仲良くなっていき、同棲して…みたいなストーリーだったが、原作は前半にしか女の子は登場せず、結婚してあっさりと登場シーンは終わる。小説の後半にかけて彼自身がお母さんの病気やHIVなどと付き合いながら様々な男性に出会っていく話。
主人公の彼は独特な人と付き合い方で孤独ながらも人ととの関わりに飢えている印象。長く付き合っていた彼が上海へ転勤になった時も急にさらっと別れていて別れ際潔い人なのか長い付き合いを避けているのか考えのプロ -
Posted by ブクログ
朝井リョウがおすすめ本から
なんとも言えない、今までに読んだことないジャンルを読んだ
正直途中飽きてぷつぷつ読み流したせいで話を完全に理解しきれてないところはある
あと韓国特有の制度とか、固有名詞がわからないから肝心なところでどういうこと??ってなったりした、でもそれも含めて新鮮な体験だった
思い通りにならない人生や自分自身のアンコントローラブルな部分への諦念がヒリヒリする、読みやすいのに読んでて辛くなる感じ
何よりも恋愛感情の描写、自分の性欲・恋した相手に対する描写が今までにないタイプのリアルさ、なんかうまいこと感想にまとめるのがむずい、でも表現のバリエーションがとにかく豊富で印象的だ