天津佳之のレビュー一覧

  • 和らぎの国 小説・推古天皇

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    奈良県特に盆地にすむ人には身近な地名の由来含めて非常に学びも多い。改めて橿原市、明日香村、斑鳩町(法隆寺)平群町、葛城市などなどの地を巡ってみたくもなる。
    磐余、久米、十市、高市、磯城などなど地元の人しか知らないような地名も多数出てくる。

    歴史としては、なぜこの時代の日本が朝鮮半島に影響を持てたのか、十七条の憲法、仏教信仰、遣隋使、日本書紀というものが必要だったのかなどが腑に落ちる。

    和をもって尊しと為す

    日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す

    この名フレーズに結びつけるストーリーも秀逸。
    著者のロマンチストが炸裂する一作。

    この時代の小説で飽きずに読めた初めての作品かもしれな

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    2024年10月18日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    【「利生とはなんでしょうか」-「衆生に神仏の利益をもたらすことと申します」】(文中より引用)

    後醍醐天皇、楠木正成、足利尊氏の3名を軸としながら、動乱の世とそれぞれの身の処し方を描く歴史小説。著者は、本作で日経小説大賞を受賞した天津佳之。

    時代を切り開いた人物であるにもかかわらず、足利尊氏ってどこか明確なイメージを結びづらい人物だなと感じていたのですが、本書を読んでその理由が那辺にあるかつかめたような気がしました。

    後醍醐天皇ってやっぱり異能の人だったんだなと☆5つ

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    2023年04月03日
  • あるじなしとて

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    ネタバレ

    「本当に願うならば、現実に顕さねばならない。その願いがどんなに途方もないことでも、命懸けで為そうとすれば、ほんのわずかでも実現できるかもしれない」
    空海阿闍梨の為した事を目にして得た想いを、その後も悩みながら苦しみながら、一生をかけて自らのすべきことを見定め、成し遂げた。ただただ優れた人物というだけでない描写に人間らしさを感じられる、そんな菅原道真公が国を活かすために奔走する姿に感銘を受ける。
    恥ずかしながら、もともと歴史、古典に明るくなく、読み始める前は、帯にある"東風吹かば〜"の歌に対して思えることがなかったのですが、参章の終わり、何かがスッと胸に落ちてきました。

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    2022年07月18日
  • あるじなしとて

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    ネタバレ

    「学者で、漢詩の才能にも恵まれた人」「無実の罪で大宰府に左遷された悲劇の人」というイメージとは違った、政治家としての魅力溢れる菅原道真が描かれていました。特に前半の讃岐赴任時代は、左遷に泣いたり、図星をさされて怒ったりと、とても親近感が湧く菅原道真です。
    そんな菅原道真が左遷を経て都に戻り、細心に、大胆に税制改革を進めていくところは本当にカッコいいです。
    自らの地位も名誉も捨てる覚悟で、国を救うための税制改革を進めていく姿に、胸が熱くなります。

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    2022年06月18日
  • 和らぎの国 小説・推古天皇

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    ネタバレ

    歴史小説が好き、しかもこの時代!
    古代の歴史でまず思い出すのが永井路子さんの本、あれこれ。
    また別な角度からの本もあったし、コミックもあったし~
    とにかくワクワクが止まらない古代史。
    歴史小説。

    この本もまた、新解釈で小説として読むのでしたら、手に汗握る場面もあり、本の世界にどっぷり沈み込める!
    史実がどうのより、楽しい読書としておすすめです。

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    2022年03月17日
  • 和らぎの国 小説・推古天皇

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    ネタバレ

    推古天皇が天真爛漫、よく笑う素敵な人。戦闘シーンの迫力が凄いです。
    小野妹子の皇帝謁見のシーンは緊迫しているのにコミカルで笑ってしまいました。

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    2022年03月08日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    太平記など南北朝時代を書いた名作は数多くありますが、この本はそれらに勝るとも劣らないと言えるでしょう。
    足利尊氏、楠木正成、後醍醐帝らをこれほどうまく的確に表現したのはありません。

    皆が明日の皆を生かすために役割を果たすのです。

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    2021年05月09日
  • 菊の剣

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    4人の刀鍛冶との交流を通じて後鳥羽上皇を描いた小説。神剣無くして即位したコンプレックスを乗り越えられず、承久の乱を起こしてしまう姿が痛ましかった。

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    2025年02月02日
  • あるじなしとて

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    志とは、人が、人として生きる上で必要なのだろう。
    志ある人間は、それが良き方向へ向かう、正しいのか?と自問自答しながら、進んでいく。それが、何かを成し遂げた人となるのだろう

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    2024年07月18日
  • あるじなしとて

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    菅原道真壮年時代の話。
    歴史小説にありがちの、結果を知ってるけどどうつなげるの?にしっかりとカタルシスがあるのが好みでした。
    讃岐左遷時の道真に”プライドの高い京貴族感”をもたせ過ぎなのが少し気になったけど、後の公卿とやりあう場面での”気持ちの伝わらなさ”に返ってくるあたりはなるほど上手いな、と。
    一人の政治家としての矜持、生き様が、少し足早ですけどそれでも十分丁寧に描かれていると思いました。
    この本を読む前にある程度律令について知っておいたほうがより深く楽しめる気がします。

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    2023年04月09日
  • あるじなしとて

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    ネタバレ

    菅原道真の左遷されて行った讃岐国での出来事,彼に目を開かせたこの民を思う無私の男の死の場面は胸に迫ってきた.その後の道真のなりふり構わぬ改革への熱意,公家との駆け引きなど面白く,太宰府へ流された顛末もよくわかった.
    それにしても,藤原一族の血は恐ろしい.

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    2022年09月17日
  • あるじなしとて

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    為政者の苦悩と喜び。千年後の今日、空海の目指す浄土に近づいているのか。疫病は、相変わらず、他国で戦争が起こり。

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    2022年09月01日
  • 和らぎの国 小説・推古天皇

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    ■飛鳥時代を小説として読むことは難しい。文献が少なく、欠けた時間を想像で埋め合わせる。人の名前が現代から見るとかなり違っているし、平安時代以降の人名とも異なる。正確性を期すためだと思うが、「推古天皇」「聖徳太子」の名前で語られていない。更に文章が硬い。講談本のような気楽さで読むことはできない。
    ■「和をもって貴しと為す」と日本史で学んでいたが、本書では和を「やわらぎ」と解釈している。詳しくは本書に譲るとして、推古天皇、聖徳太子の事績は344ページに凝縮されて書かれている。また、蘇我馬子と蝦夷の関係なども別ページに書かれている。
    ■小説推古天皇と言いながら、聖徳太子の功績の記載にかなり割かれてい

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    2022年05月15日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    足利尊氏と楠木正成、後醍醐天皇の日本をよくするためにそれぞれ三者三様の行動が興味深く、思ったようにいかないなぁと思いながら読みました。簡単に主君を裏切る様が面白く、わずかながら3人の人物について理解が深まり勉強にもなりました。

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    2021年11月28日
  • 利生の人 尊氏と正成

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     以前、こども版「日本の歴史」で、この時代のものは読んだことはあったのですが、改めて、楠木正成・足利尊氏の復習という思いもあって読んでみました。

     後醍醐天皇が隠岐から出てからとは言え、1冊にまとめるのは大変だっただろうと思います。後醍醐天皇が理想を追い、正成と尊氏も「利生」という点で一致して、気持ちの上では通じ合っていたという「建付け」です(ただ、ここは「そうなのかな~」と少々疑問でした)。尊氏も、とても良い感じで描かれています。

     戦闘シーンもありますが、オドロオドロシイところはなく、全体を通して文章がとても綺麗です。最後の「終 利生」では、湊川の戦い以降を淡々と書いていますが、ここの

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    2021年07月11日
  • あるじなしとて

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    ネタバレ

    讃岐に配属されるところから始まるので 道真のひととなりがよく分からず 話に入っていきずらかったです ただ
    道真が段々と 変わっていく様子は 中々興味深く読めました
    誰かの為にこそ強くなれるものだし 自分も同じ志しを持つと 大きな力となるのですね
    ここにも 国を良くしようと 懸命に生きた人がいて 心が熱くなりました
    最後は 時平との関わりが ちょっと分からなくて ザックリな感じでした

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    2025年10月12日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    尊氏関係の本は何冊か読んだけどそれでも43〜44ページは「お前は何を言っているんだ」とツッコミたくなる。

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    2025年07月19日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    あまりの難しさに、一度は断念しましたが、「極楽征夷大将軍」を読んだ後に、・・読めるかも・・と読み始めたら、読めちゃいました。
    尊氏と正成の描き方の違いなんかを比べながら、興味深く読めました。
    正成の、そこまで後醍醐天皇に忠誠する気持ちが、理解できませんでしたが、志を同じくする人たちが戦い合わなければいけない、そんな時代の哀しい思いがあふれている気がしました。

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    2024年10月31日
  • あるじなしとて

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    菅原道真といえば、学問の神様である。と同時に、死後、怨霊となり、自らを追い落とした者たちを祟り殺したという伝説の持ち主でもある。
    そんな伝説が生まれたのは、彼が、おそらく無実の罪を着せられて、大宰府に左遷され、彼の地で衣食住も満足でないまま、不遇の死を遂げたためだ。以後、都では道真の政敵の急死が相次ぎ、御所に雷が落ちるなどの事件もあった。これが道真の祟りとされ、恐れられたのだ。
    道真は神として祀られるようになり、京都・北野に北野天満宮が、没した地の大宰府には大宰府天満宮が作られた。学者であった道真は学問の神様となり、多くの人が学業成就を願ってお詣りするようになっている。

    本書は道真が主人公の

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    2022年10月17日
  • 利生の人 尊氏と正成

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    物語の構造として、主従や善悪がわかりやすいものが普通は好まれる。そういう意味では非常に描きづらい時代を敢えて選んで描いていく筆者の技術は卓越している。また、起こったとされた史実を「利生」という一つのテーマで物語にしてしまう着眼点は見事である。混沌の世の中に、人は何故生きるのか?という問いに対する筆者なりの答えとメッセージを託した作品と受け取った。それが故に単純明快を望む人には読みづらい点もあるだろう。

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    2022年01月11日