天津佳之のレビュー一覧
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奈良県特に盆地にすむ人には身近な地名の由来含めて非常に学びも多い。改めて橿原市、明日香村、斑鳩町(法隆寺)平群町、葛城市などなどの地を巡ってみたくもなる。
磐余、久米、十市、高市、磯城などなど地元の人しか知らないような地名も多数出てくる。
歴史としては、なぜこの時代の日本が朝鮮半島に影響を持てたのか、十七条の憲法、仏教信仰、遣隋使、日本書紀というものが必要だったのかなどが腑に落ちる。
和をもって尊しと為す
日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す
この名フレーズに結びつけるストーリーも秀逸。
著者のロマンチストが炸裂する一作。
この時代の小説で飽きずに読めた初めての作品かもしれな -
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ネタバレ「本当に願うならば、現実に顕さねばならない。その願いがどんなに途方もないことでも、命懸けで為そうとすれば、ほんのわずかでも実現できるかもしれない」
空海阿闍梨の為した事を目にして得た想いを、その後も悩みながら苦しみながら、一生をかけて自らのすべきことを見定め、成し遂げた。ただただ優れた人物というだけでない描写に人間らしさを感じられる、そんな菅原道真公が国を活かすために奔走する姿に感銘を受ける。
恥ずかしながら、もともと歴史、古典に明るくなく、読み始める前は、帯にある"東風吹かば〜"の歌に対して思えることがなかったのですが、参章の終わり、何かがスッと胸に落ちてきました。 -
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■飛鳥時代を小説として読むことは難しい。文献が少なく、欠けた時間を想像で埋め合わせる。人の名前が現代から見るとかなり違っているし、平安時代以降の人名とも異なる。正確性を期すためだと思うが、「推古天皇」「聖徳太子」の名前で語られていない。更に文章が硬い。講談本のような気楽さで読むことはできない。
■「和をもって貴しと為す」と日本史で学んでいたが、本書では和を「やわらぎ」と解釈している。詳しくは本書に譲るとして、推古天皇、聖徳太子の事績は344ページに凝縮されて書かれている。また、蘇我馬子と蝦夷の関係なども別ページに書かれている。
■小説推古天皇と言いながら、聖徳太子の功績の記載にかなり割かれてい -
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以前、こども版「日本の歴史」で、この時代のものは読んだことはあったのですが、改めて、楠木正成・足利尊氏の復習という思いもあって読んでみました。
後醍醐天皇が隠岐から出てからとは言え、1冊にまとめるのは大変だっただろうと思います。後醍醐天皇が理想を追い、正成と尊氏も「利生」という点で一致して、気持ちの上では通じ合っていたという「建付け」です(ただ、ここは「そうなのかな~」と少々疑問でした)。尊氏も、とても良い感じで描かれています。
戦闘シーンもありますが、オドロオドロシイところはなく、全体を通して文章がとても綺麗です。最後の「終 利生」では、湊川の戦い以降を淡々と書いていますが、ここの -
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菅原道真といえば、学問の神様である。と同時に、死後、怨霊となり、自らを追い落とした者たちを祟り殺したという伝説の持ち主でもある。
そんな伝説が生まれたのは、彼が、おそらく無実の罪を着せられて、大宰府に左遷され、彼の地で衣食住も満足でないまま、不遇の死を遂げたためだ。以後、都では道真の政敵の急死が相次ぎ、御所に雷が落ちるなどの事件もあった。これが道真の祟りとされ、恐れられたのだ。
道真は神として祀られるようになり、京都・北野に北野天満宮が、没した地の大宰府には大宰府天満宮が作られた。学者であった道真は学問の神様となり、多くの人が学業成就を願ってお詣りするようになっている。
本書は道真が主人公の