丸橋充拓のレビュー一覧

  • 江南の発展 南宋まで
    時系列ではない切り取り方で読む中国の歴史、第2弾。
    そもそも中国史をよく知らない自分にとっては学ぶところが多く、かつマージナルな領域についても掴むことができるありがたいシリーズだ。

    この第2弾は目まぐるしい政権交代による変遷を軸としながらも、市井におけるボトムアップ的な変化について語られる。
    強烈...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    本書は主に現代の江蘇省南部〜浙江省北部及び上海を中心とした江南エリア(今風の言葉で言えば「長江デルタ」か?)の南宋までの歴史を軸に、そこから見える中国社会を描いています。「古典国制」を貫徹させようとしてくる中原王朝とそれへの中国社会の反応はどんなものだったのか。
    この関係は現代中国社会を見る際にも重...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    中国の通史をあつかうシリーズの一冊として宋代までの江南史を担当しているのだが、単なる地域史にとどまらず、中国という国の成り立ちにせまるようなスケールの大きい論考。新書でこういうのが読めるのは嬉しい。

    あとがきによれば、士大夫、農民、アウトローのいずれにも共通する「人つなぎの論理」を表す言葉がなかっ...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    シリーズ中国の歴史の第2巻。第1巻では先史時代から中唐までの時代を扱っているが、本巻は南に目を向け、長江流域の古代文明から南宋に至る経済発展のあらましを語る。一元的な君臣関係を社会の末端まで貫く「国づくりの論理」と、同質的な集団が郷党や朋党、あるいは任侠集団など「人つなぎの論理」という2つの旋律をと...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
     〈シリーズ中国の歴史〉の第二巻。
     
     本シリーズは、巨大な中国、多元多様な中国の歴史を、グローバル化の現代にふさわしい形で叙述していくことを目指している。
     本書の射程は、古代から南宋末に至る、揚子江周辺の江南地域を巡る歴史である。

     これだけ長期にわたる時間軸なので、どういったところにフォー...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    備忘録メモ

    中国の歴史を、①国家が垂直的・一元的な君臣関係を社会の末端まで貫き、横つながりを断ち切ろうとする中華帝国の「国づくりの論理」と、②それに対する、民衆が広げていった、いざという時に頼りに出来る仲間との間に横つながりの連携、「人つなぎの論理(幇の関係)」という2つの軸で読み解く。

    「規制...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    中国って、ヨーロッパよりも国土も人口も多い。歴史の叙述はどうしても統治機構の特徴や推移になりがちだけど、本シリーズは、中国の多様性にフォーカスする。日本の教育現場で示される中国って。実は彼の国の1/4の領域でしか語られていない。本書は統一国家はあまり出していないけど、文化と産業を形成してきた江南地区...続きを読む
  • 江南の発展 南宋まで
    三国志を読んでいて、江南には何となく「しぶとい」イメージがあった。その理由を少し理解できたと思う。江南は中原とは地形や気候が異なり、交通の仕組みも異なる。孫呉の時代には海を通って朝鮮と交易していたというのが印象的だった。難しくて、読むのに時間がかかった。