住吉雅美のレビュー一覧
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ネタバレルールはそもそも、なぜそういうルールが作られたのかという目的を考えなければ理解できず、またルールを守ることで得られる利益と、破ることで得られる利益とを天秤にかける必要がある。そのうえで、守った人が損をするルールはダメなルールである。
ルールの発端は人間と動物に共通して「縄張りの画定」と「序列付けの必要」である。
平常時のルールの目的は、世界や社会を円滑に回すもので、各人の安全な暮らしを守るものである。
第一次的ルールとは「責務のルール」で、第二次的ルールは第一次的ルールの欠落の補完を行う運用ルールである。
ルールがルールとして成り立ち、人々がそれに従う動機を保証する必要不可欠な条件は、「Aの情 -
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大学教授である著者が世の中にあるルールについてその原理と個人的見解を書いた一冊。
ルールの成り立ちから条件、スポーツにおけるフェアプレーの精神からみたルールの意義
結婚や刑罰など法律に関わる部分までルールについての様々な考え方を本書で知ることができました。
そんな本書の中でもコロナ禍でのマスク着用に対する人々の行動からみるルールのあり方やエスカレーターや男性のトイレの仕方の考え方の違いは面白いと感じました。
また、違反しないことによって利得を得ることができることが人々がルールを守る中で効果があることも感じました。
本書を読んでルールとは誰もが公平感のあるものであることが前提であると感じまし -
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小気味良い内容で面白かった。
エスカレーターのルールは本当に謎ルールだと思う。これだけ片側開けて歩くのは良くないと言われているにもかかわらず片側開けや歩行が横行している。特に駅などでは電車を降りてからエスカレーターに乗るまでが非常に混雑して滞留が発生している。いっそ守れないならエスカレーターはやめます、と宣言してもいいのではないだろうか。
自分に都合のいいことしか受け入れないのが人間。完璧なルールや法律などないのだけど、自分以外誰かが被る影響も考慮してお互いさまで過ごすことができれば、もう少し生きやすい世の中になるのだろうけど。人間だけでなく、地球に生きる生命全てに対してもそうだと思う。 -
Posted by ブクログ
法哲学の入門書。哲学的な理論の説明にとどまらず、オリンピックのドーピング問題、結婚制度、コロナ禍の対する日本政府の対応など、記憶にも新しい現代的な問題を具体例に、分析をしてくれているので、とても親近感を持って読み進められた。
それぞれの問題に対しては、筆者の法哲学者としての立場をかなり明確にしている。常識的でありつつかなり鋭い批判を述べるため、個人的には痛快だったが、もしかしたら、そうした筆致自体にアレルギー反応のある読者もいるかもしれない。最後、多種多様な価値観を持った人間が、共に生きていくためには「清濁併せ呑む」「心に毒も栄養も喰らっておおらかに生きる」度量の大きさが必要だ、という言葉は、 -
Posted by ブクログ
法哲学の基本的な問題をとりあげ、わかりやすいことばで解説している本です。
著者は「はじめに」で、みずからのスタンスを「悪ガキ風」と述べて、権威や社会常識に盲目的にしたがうのではなく、それらに向けて大胆な疑問を提出することを読者にもすすめています。また「おわりに」でも、「常識という池の水、ぜんぶ抜いてみようぜ!」という呼びかけがなされています。
ただ、「あぶない法哲学」というタイトルから期待したほどには、型破りな内容ではなく、どちらかといえば法哲学の基本的な問題を紹介したオーソドックスな入門書という印象です。やはり「はじめに」のなかで、著者は「法律は所詮、世界を回す諸システムの中の一つでしか