若島正のレビュー一覧

  • 乱視読者の英米短篇講義

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    著者があの『ロリータ』の訳者若島氏であることからも想像できるように、多分にナボコフの『ヨーロッパ文学講義』や『ロシア文学講義』を意識したものである。そのことは、あとがきでも「身のほど知らずにも」と、謙遜まじりに触れられているが、ナボコフの『ヨーロッパ文学講義』は、素晴らしいもので、若島氏でなくても、小説について書いてみようかと思う人なら、一度はその真似をしたくなるものである。若島氏は、ほかにエーコやカルヴィーノの文学講義を挙げ、「彼らの文学講義がすばらしいのはなによりもまず、文学の大切な部分に触れているというその実感というか手ざわりが生々しいからだ」と、書いている。

    エーコとカルヴィーノにつ

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    2014年07月29日
  • 乱視読者の英米短篇講義

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    当時としては(今でも?)、マニアックなメニュー。
    楽しんで選んだのがわかる。
    これを開くと、あれもこれも読みたくなり、広がる。

    ウィリアム・トレヴァーはこの時点で絶版状態だったのね、逆にジョン・チーヴァーはこの時点では入手可能な状態だったんだ…などなど、栄枯盛衰にしみじみ。

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    2011年07月23日
  • 乱視読者の新冒険

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    若島先生の文学講義(「乱視読者の冒険」の加筆修正版)。「冒険」の方は学生時代に読んでいたのだが、先日、丸善で英米文学の棚を眺めていたら、たまたま見つけて、つい買ってしまった。と言っても、「冒険」を読んだのはもう10年以上前の話なので、ほとんど初読のようなもの。あらためて若島先生の芸達者ぶりに感服つかまつった次第。

    最近、「文学」とは縁遠いのだが、久しぶりにカルヴィーノを読み返したくなった。

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    2013年07月14日
  • ディフェンス

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    ネタバレ

    チェスに取り憑かれたルージンの物語。ルージンの妻となる女性に一貫して名前がないこと、彼女も夫をルージンと呼び、作中で登場人物がルージンに名と父称を尋ねてもルージンが答えないこと、最後にルージンが窓から飛び降りた後に、彼がアレクサンドル・イヴァノヴィチと呼ばれることに何か意味があるんだろうか。前書きに、ルージンはイリュージョンと韻を踏む、とあったから、チェスに魅せられた彼の人生は全てチェス盤上の幻で、彼が死んだ瞬間に幻から人間性を取り戻したんだろうか。僕はゲームから降りる、と言って飛び降りたルージンの人生はチェスのゲームであったとは言えそうだけど、そこまでが難しくて頭に入ってきづらい文章だった。

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    2023年12月29日
  • ディフェンス

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    ネタバレ

    3年ほど前に『ロリータ』を40ページほど読んで挫折したのを除けば、人生初・ナボコフ。
    ずっと前からナボコフの著作のなかで特に読みたいと思っていた本作がこのたび文庫化されたので即購入し、奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を』でロシア文学の機運が高まっているのもあり、読み始めた。

    〜2ヶ月後〜

    ようやく読み終わった!!! 初めてナボコフの小説を読み切った感慨よりも、もうこの話に付き合わなくていいという開放感のほうがおおきい。

    文章がうまいのは否定しようがない。単に修辞的で技巧的なだけでなく、「流麗」とでも言おうか、ページの端から端まで一息で読ませる力がある。

    特に好きだったのは(幼少期を扱った序

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    2022年09月28日
  • 乱視読者の英米短篇講義

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    学会の特別講演に来られたので。

    とりあげられている作品を見事なまでに一つも読んでいませんでした。そりゃあ、そうだろう。予測はしていた。でも、語り口も柔らかく、読みやすかったです。文学系の方々は普段こういうことを考えておられるのかしら。

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    2011年10月31日