平野聡のレビュー一覧

  • 「反日」中国の文明史

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    「反日」とあるから抗日ドラマをあげつらった偏狭なナショナリズム本かと勝手に予想していたが、それは著者に対して非常に失礼な思い違いであった。中国人の思考に通底する背景と日本に対する複雑な見方を数千年の歴史、思想から解きほぐした良書である。
    中国という国は難しい。日本の知識階級にとっては「年老いた先生」であるが、そうでない階層(ちょっと婉曲すぎるかな)にとっては遅れた新興国に過ぎない。しかし日本から戦後賠償を取らず、逆にそのことが惜しみない経済・技術協力をもたらすなど、戦略的な思考と判断ができる底知れぬ国である。小中華の半島国家とは思想の深さがまるで異なるのだ。
    もう少し中国思想に触れたいと思わせ

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    2021年12月13日
  • 「反日」中国の文明史

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    この本が正確な中国との関係を書いたものかどうかという判断はできないけど、この切り口からの解説は僕の中に入ってきやすくて、すごくおもしろかった。

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    2014年09月23日
  • 「反日」中国の文明史

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    なぜ中国は拡張主義的な政策を取るのか?周辺国との領土問題を悪化させるような態度を取るのか?という疑問について、歴史的あるいは思想的な答えを見出す書。

    上記のような疑問についての氷解した。さらに本書では、中国の態度について、有効な反論(無論、これらについては、かなり説得力がある)をしている。筆者曰く、本書を書く動機に、日本の行く末が案じられるから、とあり、納得。

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    2014年08月19日
  • 「反日」中国の文明史

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    日経夕刊でもレビューがでていましたが,読みごたえのある本でした。個人的には,もやもやしていたものが氷解したという読後感です。最近の東アジア情勢についてすっきりしないとお思いの方にお勧めです。

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    2014年07月29日
  • 興亡の世界史 大清帝国と中華の混迷

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    ネタバレ

    今の中華人民共和国の領土範囲のなぜが分かる良書。チベットや新疆が清王朝の時代にどのように中華に取り込まれたかが分かりやすく、現代中国が清王朝の支配範囲を意識している点を踏まえて読むとさらに面白い。

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    2022年12月31日
  • 「反日」中国の文明史

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    近年の日中関係悪化の背景として、「中国はなぜこう考えるのか」という問題を長い歴史から考える素材を示すことを目的に執筆されている。
    中国の歴代政府のベースにある考え方として、華夷秩序、儒学に基づく「徳治」「礼治」があり、それが近代国際関係とは相容れないものであること、そしてそれを無理矢理近代国際関係に合わせるために「中国人」「中華民族」としてのナショナリズムを清末民初に急ごしらえしたことが、日中対立の根底にあることを指摘している。
    清帝国は、満州人皇帝が、漢民族には儒学的天子、モンゴル・チベットに対しては仏教王、東トルキスタンに対してはイスラームの保護者という顔を使い分けることによって成り立って

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    2016年12月02日
  • 「反日」中国の文明史

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    中国外交の基礎にある考え方を、文明論から説明。対日や対米の戦略だけでなく、中国がウイグルやモンゴル、チベットをどう考えているのかといったところがおもしろかった。漢民族が考えている中国の版図の中には、イスラームや仏教を信仰していてもいいという約束をしていた地域があった。そういった地域は、自分が中国の一部だなんて思っても居なかった。それが近代国家成立のタイミングで強引に「中国の一部」ということになったことから不幸が生じているのだという説明はわかりやすかった。

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    2015年05月10日
  • 「反日」中国の文明史

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    中国近代史を客観的、俯瞰的に総括した良書。

    近年の同国の外交姿勢の背景が良くわかる。

    高校での歴史の授業の副読本にすべき。

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    2015年03月09日
  • 「反日」中国の文明史

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    中華思想史、の超概略を日本の専門家が日本を視点に据えて書いたものである。が、タイトルのような軸ではなく、中国の話がメイン。近現代では先に開国に成功した日本から西洋思想を輸入したり、実際の軋轢が生まれてくる状況も書いている。
    基本的には天命と易姓革命に基づく中華思想が、西洋及び日本に打ち砕かれてまた近年復活している。以前は相入れなかった国民国家の考え方と結びつき、強力なナショナリズムを中国共産党は推進しているという話がわかりやすく書いてあると思う。ちなみに著者の政治的なスタンスは、中国の人の意思に反する以上先の戦争は侵略であるが、今の中国が領土に関する膨張主義を取るのは周辺諸国にとって断固危険で

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    2015年02月22日
  • 「反日」中国の文明史

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    ・社会主義革命はマルクスのみるところ、資本主義が高度に発達し、労働者が自律的に生産を担いうるほどに訓練された条件のもとで起こる
    ・一国の経済はあまりにも巨大であり、限られた党官僚が全てを把握することはできない。だからこそ市場経済は基本的に「神の見えざる手」に頼りつつ、経済政策で調整する
    ・毛沢東の文化大革命は、文化が傾倒する大革命であったが、傾倒した後は何ら新しい価値を生まず、凄まじい精神的荒廃が残った。人々が唯一信じられるものは、ただ単にモノとカネのみとなった
    梁啓超こそ、中国ナショナリズムの最大の功労者であるが、「国民」は「単一の同胞=民族」でなければならないとしたところから悲劇は始まる

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    2018年11月04日