マイケル・モーパーゴのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレマイケル・モーパーゴさんの作品は大好きでたくさん読んでる。ほとんどの本が戦争が背景にある。
今回の『ガリバーのむすこ』も同じで、アフガニスタンに住む少年オマールは戦争のせいで爆撃で父を亡くし、妹も行方不明になった。難民となり、イギリスへ向かうが途中で船が転覆し気を失う。気がついた時は体を動かそうと思っても動かせない。自分の体の上には小さな人が立って分からない言語で話してくる。本当にガリバーみたいなお話。そこではオリバーはガリバーの息子として接せられることになる。
戦争は大切な人が死に誰も平和にならない。戦争は起こすべきではないことが、この作品を通し感じられた。それと共に作品の中に登場する人々の関わりが温かく、優しくなれるような気持ちにもなった。やっぱりマイケル・モーパーゴさんの作品は好き。 -
Posted by ブクログ
母さんと別れ、ボートに乗り込んだ難民の少年オマールがたどり着いたのは小人の国だった。そこは、300年前に「ガリバー」が訪れたリリパット国で……。とびきり楽しいお話の中に平和を実現するための鍵を閉じ込めた、今読んでおきたい作品。子どもたちにぜひ手にとってほしい。
「まるで病原菌のように、戦争はあらゆる人間をほろぼす。その病気を治療する薬は善意と思いやりと理解しかないと、ガリバーはいっていました。」
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奇想天外な設定で面白さを出した賑やかな話なのかなぁと思いながら手にとったが、さすがマイケル・モーパーゴさん。面白さの中に心にズシリと響くものを描いている。特に、リリパット国とブレフスキュ国の間に平和の橋をかけたガリバーの力の込もった言葉と行動は、今まさに世界が直面している問題と重ねながら読まざるをえず、ぐいぐい引き込まれた。
「難民」であるアフガニスタン人の主人公オマールが抱える寂しさや困難も身に沁みる。だからこそ、「帰る家のある幸せ」や「家族と共に暮らせる幸せ」を確かに実感することもできた。母と同じボートに乗れずに別れなければいけない序盤の場面は胸が痛むが、それがクライマックスの幸せにしっかり結びついていくところもいい。
手こぎボートで単独世界一周に挑戦するジェイジェイに助けられたオマールと小人たちが、摩訶不思議な体験を後日談としてジェイジェイに語る構成もとても楽しい。第4章までが後日談。そしていよいよ第5章で、ジェイジェイとともに、オマールのこれからの人生を切り拓いていく場面に立ち合うことができたのは嬉しい体験だった。
「わたしたちは、おたがいのことを思って生活しなくちゃいけない、そうですよね?」とジェイジェイが語る場面は、そこまで読み進めてきた読者にしかわからない重みがあった。 -
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マイケルモーパーゴは、歴史の一コマを取り出して現代の私たちと繋げてくれるのが、なんてうまいのだろう。これまで第2次世界大戦を舞台にした物語を何作も届けてくれているが、毎回切り口が違って、毎回素晴らしい。
イギリス青年のヴィンセントが、子どもの頃出会った忘れられない物語の一場面と一枚のゴッホの絵をきっかけに南仏カマルグを訪れ、そこで知り合った女性ケジアによって過去の物語が語られる。
ロマの少女ケジアと障害を持ったロレンゾの物語は二人の家族の物語であり、第2次世界大戦末期ナチスによって侵略されたフランス田舎町の時代の空気を伝えるものでもある。
その物語の中に占領軍のドイツ兵カポラルを描くことで、軍服の下には血の通った一人の父親がいることを、立場を超えて心が通えることを教えてくれる。
人が戦争をしているときでも、湿原の情景とフラミンゴの生態が変わらずに力強く美しいことに感動する。
その美しい自然の中の人々の愚行や哀しみに胸がしめつけられる。 -
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自分と同名の画家ゴッホのボートの絵と小さいときに読んだ物語の一場面に出てくるロマのおじいさんの「行き先は道まかせ」に惹かれて、フランス南部のカマルグを旅するヴィンセントは、暴風と蚊と急な体調不良から行き倒れてしまう。目が覚めたところは、暖炉のそばのソファーの上で、そこには、ケジアと犬のアミと変わった中年男性のロレンゾが住んでいた。ロレンゾはきちんと話をするのは苦手だったが、心をよく読み、人も動物も癒やすことができ、何よりも完璧にフラミンゴになることができた。ケジアは、小さい頃から「フラミンゴボーイ」と呼ばれていたロレンゾと自分たちの過去を語り始める。
ロマとして差別され、強制収容所行きの恐怖に耐える少女と、人と違う言動により蔑まれる少年、それぞれの親たち、敵として現れながらも人として協力を惜しまないカポラル、それぞれが協力しあい、希望を持って生き抜こうとする姿を、厳しくも美しいカマルグの自然を背景に描く物語。
*******ここからはネタバレ*******
枠の話、ヴィンセントが旅に出たり、旅から戻らずにそこに居着いてしまったり、さらにそこで、カポとの感動的な再開に出くわしたりというところは、いささか作った感が強く感じます。
でも、ケジアとロレンゾの話は、さすがモーパーゴ、引き付けさせずにいられませんでした。
カポがあまりにも親切で面倒見が良すぎる点には疑問を持ちましたが、もともと優しい人なのでしょう。彼らへの親切は、自分の「仕事」への贖罪だったのかも知れません。
ロレンゾが他のことは違う言動を取ると気づいた後でも両親は、彼を一番いい方法で伸ばしてやっています。他の人から離れたところに住んでいたからやりやすかったとは思いますが、彼のすべてを受け入れて、彼の幸せを一番に考えていたからできたことで、それによって、彼は人や動物を幸せにする力を得たのでしょう。ひとりの親として、これは見習わなくてはポイントです。
ナチスによるユダヤ人迫害は周知ですが、ロマに対してしたことは、まだあまり知られていません(そして今でも差別は根強いように感じています)。戦争をいろいろな形で題材にする著者ですが、この作品が、知り考える機会のひとつになるのではないかと思います。
戦争を扱ってはいるものの、残虐シーンは出てこないので、高学年からオススメします。 -
Posted by ブクログ
南仏にある小さな村の湿地のほとりで、旅行中のイギリスの若者ヴィンセントは体調を崩して倒れてしまった。助けてくれたのはロレンゾとケジア。ロレンゾの話す言葉は断片的でよくわからなかったが、目が雄弁に気持ちを語ってくれた。ケジアは英語を上手に話し、二人がこの農場で暮らしてきた月日、特に戦争中の出来事について語ってくれた。その驚くべき物語とは…。
モーパーゴの語る戦争の物語は、いつも敵や味方、悲しみや混乱を超えて、圧倒的なストーリーの面白さで読ませてくれる。教訓を語らなくても、登場人物があまりにも生き生きとしているために、体験を共有して心に何かを残してくれるのだ。 -
Posted by ブクログ
アフガニスタンの少年オマールは
戦争状態の国から逃げてきた。
港で母と生き別れ、流れ着いたのは
リリパット国と呼ばれる小さな人々の島。
その昔、ガリバーが訪れたという島では
同じ種族がふたたび流れ着いたと
オマールを「ガリバーのむすこ」として
歓迎してくれる。
穏やかで優しい島人との暮らしを
楽しむオマールだったが
彼らには心配事があるらしい。
それは、隣の島ブレフスキュからの侵攻…。
実はちゃんと『ガリバー旅行記』を読んでない。
でも、これ単体でじゅうぶん楽しめました。
オマールは島長グラン・バルタや
友達になったガヤとナトバンたちと
力を合わせ、知恵を絞って島を救う。
こんなふうに共存できればいいのにな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心を通わせて、希望を失わないで。
ある男の回想という形をとって語られる物語。少年の時、旅路で世話になった人の昔話。それは、フラミンゴと話ができる少年と、その少年の隣にいた少女の話だった。
人間は自分と違うものを嫌う。戦争は残酷な行為に理由を与える。発達障害のロレンゾを笑った人もいたし、ロマのケジアにロマというだけで辛くあたった人もいた。サロモン先生はユダヤ人というだけで殺されてしまった。ケジアの両親もロマという理由でキャンプに連れて行かれた。
メリーゴーラウンドは希望だ。すべては元の場所に帰ってくる。乗るのは主に子ども。希望の象徴だ。カポラルはケジアやロレンゾにとって、敵の立場にあたるドイツ兵だ。でも、彼は兵士になる前は教師で、亡くした子を想い、ロレンゾとケジアを守ろうとした。大人たちは警戒した。ケジアも信じきれなかった。でも、ロレンゾは受け入れ、信じた。カポラルは裏切らなかった。第二次世界大戦のヨーロッパにおいて、特にフランスにおいて、ドイツはどうしても悪者である。カポラルのような人もいたのだ。そして、ケジアは自分の希望の象徴である聖女サラをカポラルに託した。彼を守ってくれるように。再会のシーンは光に満ちている。
一時は激減したフラミンゴが帰ってきて、ケジアは両親と再会し、ロレンゾと共に生き、メリーゴーラウンドは今も回っている。優しく、愛おしい物語である。あまりにうまくいきすぎているかもしれない。でも、それは皆が信じたから起きたことなのだ。信じることは難しい。希望は儚い。でも信じてみたいと思う。