松本仁助のレビュー一覧
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アリストテレスの詩学だけ読んだ。
模倣について(この訳では再現とされてる)、まさにプラトンと真逆ともいえる評価をしている。
プラトンは、模倣は、イデア的なものから作られたものを模倣することになるので、イデアからどんどん遠くなっていくものだ、と指摘する。まぁ、それだけでもないのだけど。
アリストテレスは模倣が楽しいのは人間の産まれもったものだとしている。
これは、いわゆる「学ぶ」を「まねぶ」「真似ぶ」ともいうように、子供が親を真似ることから言葉や行動を獲得していくように、正しい指摘だと思う。
むしろ、他人の行動を自分の身体に模倣するときには、他人の行動を一旦、形相化し、つまり抽象化して、自分とい -
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「詩」とあるが、叙事詩から悲劇への発展にみられるように、演劇についてのあるべき姿までを射程に入れた文芸論である。
アリストテレスの『詩学』は主に悲劇のあり方や特性について述べた演劇論で、現代の舞台やドラマ作りに携わる人々にも参考になると思われる理論を展開している。
まず、詩や演劇は、行為する人間を再現したものであるとし、行為する人間がすぐれた者であった場合は悲劇、劣った人間であった場合は喜劇とした上で、再現(模倣)は学ぶために子どもの頃から人間に自然にそなわっているものであり、人間には再現されたものを喜ぶという傾向があるために生まれたのだとする。そして、主に悲劇を取り上げ、悲劇とは一定の大き -
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なぜ詩作というものが生まれるのか。大きな原因は二つあるという。ひとつは人間が何かを再現するという行為を好むため。いまひとつは、人間が学ぶということを楽しむからである。
叙事詩、喜劇、悲劇と詩作の種類は様々であるが、本書では主にすぐれた悲劇はどういったものかであるかについて論じている。
すべての悲劇とは六つの構成要素を持っている。それは
1)筋
2)性格(キャラクター)
3)語法
4)思想
5)視覚的装飾
6)作曲
である。
そして悲劇は、人間の再現ではなく、行為と人生の再現である。したがって、出来事と筋が最も重要なものになるのである。
悲劇は、いたましさとおそれを通じて観客の諸感情の浄 -
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ネタバレ古代ローマ時代の詩人ホラティウスと哲学者アリストテレスの語る文学理論。
「詩人が狙うのは、役に立つか、喜ばせるか、あるいは人生の楽しみにもなれば益にもなるものを語るか、のいずれかである」
「どのような忠告を与えるのであれ、簡潔でなければならない。すみやかに語られる言葉は、心がすなおに受け入れ忠実に守るだろう。余分なものはなんであれ、いっぱいになった心の中に入らず、そこから流れ出す」
「あまりに用心深く嵐を恐れる者は地面を這うほかない」
などなどありがたいお言葉にたくさん出会えます。
内容の批判をするためにはこの時代の悲劇やら喜劇を勉強しないと。